クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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友達

「あら? 今日は早いわね~」

 

 いつもより早く起きれば、お母さんが驚いている。日直と言えば納得した。私はギリギリまで学校に行かないからな。理由は早く行けば死亡確率があがる可能性があるからだ。

 

 ……わかってるさ。早起きしても学校行かなければいいだけってわかってる。……ギリギリまで寝たいのだ。

 

「お父さんは?」

 

 いつもはこの時間にお父さんが居る。普段の私が起きる時間にはもう仕事場に出かけてるため会えない。今日は珍しく私が早く起きたので会えると思っていたが、見当たらない。

 

「お仕事よ~。今週中に1つ締め切りがあるんだって」

 

 最近、お父さんに会ってない……。そもそも仕事で引っ越すのはおかしいと思う。並盛に来るまでは父さんはほとんど家で仕事をしてたしな。今、何をしてるんだろう……。契約の関係で家族にも話せないことがある。お父さんに聞いても教えてくれない気がする。

 

「今回は大きな仕事らしいからね~。寂しいかもしれないけど泣かないで我慢してね」

 

 ……お母さんよ。引越しした時点で大きい仕事って私にもわかるぞ。そして寂しいからといって私は泣かない。私は何歳だ。それに私は泣く前にお父さんの体調を心配する……という内容を優しい言葉でツッコミしてあげれば、お母さんが電話をかけはじめようとするから必死に止めた。

 

「お兄ちゃんにサクラちゃんが可愛くていい子って教えるだけよ?」

 

 頼むから止めてくれ……。切に願う。私は朝から兄のテンションについていけないのだ。

 

「今日は日直だから」

「そうだったわ! お兄ちゃんに電話すると遅れちゃうわね!」

 

 何とか兄から逃げることが出来た。……なぜ家でも逃げないといけないんだ。私が休まる場所がほしい。少し悲しくなった。

 

 

 

 

 

 

 学校に着いたが静かだった。見渡しても人が少ない。まぁ部活がなければ誰も早くに登校しないよな。私だって日直じゃなければ来ないさ。

 

 そもそも日直だとしても前の学校ではいつもの時間に登校した。やはりこの学校がおかしいのだ。原因は雲雀恭弥だけどな。彼は学校を綺麗にするために日直は早く登校する決まりを作ったらしいのだ。全くいい迷惑である。

 

 職員室にカギを取りに行ったが無かった。日直は2人1組なので今日の私の相方が開けたのだろう。相方はいつから来てるんだ?まぁまだ遅い時間ではないし相方に怒られはしないだろう。……相方じゃなく名前で呼べって? 忘れたんだ。沢田綱吉達ではなかったのは覚えているけどな

 

 教室に着くと、予想通りカギが開いていた。……ここは挨拶しながら入るべきだろう。

 

「おは―失礼した」

 

 ……トイレに行こう。あそこは安全地帯だ。急いで行こうとしたが腕を掴まれた。犯人は教室にいた人物だろう。違うと期待をこめて振り返ったが当たってしまった。

 

 ……勘弁してくれ。そういえば今日は飛び降り事件の日だったな……。だが、わかっていてもこの時間に教室にいるとは思わないだろ!と心の中で逆ギレするぐらい私は動揺している。

 

「別に入っていいぜ。神埼は日直なのか?」

 

 なぜ私の名前を覚えてる。いや、彼はクラスの人気者と言われるぐらいだ。クラスの名前ぐらい覚えてるんだろう。テストもそれぐらい頑張れよ。……勉強すれば出来たな

 

「どうかしたのか? ……そうか。気になるよな」

 

 私は一言も話していないのに、練習しすぎて骨折してまったとか、練習の内容を勝手に語りだした。私は彼の話を聞くしかないらしい。口を挟もうにもタイミングがない。そして腕は掴まれて逃げれない。

 

 これは……強制イベントなのだろうか……。1度話しかければ、私の意志では止めれない。そして最後には質問され、答えによって好感度が変わるのだろうか……。勘弁してくれよ。私は超能力を使えないから好感度メーターを見ることは出来ないんだぞ。

 

 だが、この強制イベントはまだ山本武で助かった気がする。いつも通りに登校すれば恐らく沢田綱吉とイベントが起きただろう。彼とリボーンに関わるのが1番死亡フラグが立つため却下である。サボれば獄寺隼人だろう。確か昨日からダイナマイトの仕入れに行って休んでるからな。彼と会っても理不尽にダイナマイトを投げられる想像しかつかない。そして、遅刻すれば雲雀恭弥イベントに入り、咬み殺されてバッドエンド。そう考えると山本武はクラスの人気者だから、これ以上関わらなければモブとして紛れることができる。日直でよかった……。これは1番安全なルートのようだ。

 

「なぁ……神崎……オレ……これからどーすりゃいいと思う……?」

 

 飛び降りろ、と言いそうになった。……危なかった。このタイミングでは本当に死んでしまう。

 

 この言葉が除外された時点で私にはある言葉が浮かんだ。この言葉は人生で1度は言ってみたいランキングでトップ3に入る。……言いたい。ものすごく言いたい。だが、言えば私の人生が終わる。この言葉はあきらめるしかないのだ。いや、まだ可能性があるはずだ。あきらめたらそこで試合終了だよ。

 

 そうと決まればボールだな。山本武にボールを渡しながら言わなければならない。ボール違いだがそこは気にしない。しかし……私の希望は打ち砕かれた。私の手持ちにボールがあるわけがないのだ。ボールと友達になれば良かったと後悔した。好きか?と私に問いかけてくれればよかったのだが。上手くなるかは別にして友達になれた自信はあるぞ。……いろいろ混ざってしまった。ボールはあってるけどな。

 

 ……真剣にスポーツをしてる人からすればボール違いはダメなのだろう。野球と言えば……偶然にも「ちゃん」付けで呼べば一緒になるな。だが、そのルートは私が嫌だ。そもそも山本武とは幼馴染じゃない。

 

 ……私の掴んでる腕の手が硬いな。もし私が野球をしていれば、彼はどれだけバットを振って出来た硬さかわかるのだろう。残念ながらわからないので簡単に頑張ってるから好きとはいえない。

 

「……わりーな。変なこと聞いちまった」

 

 ……時間制限があったようだ。腕の拘束が無くなり彼は教室に戻らず廊下を歩き出した。向かってる場所は屋上なのだろう。

 

「山本武」

「……なんだ?」

「私には君の辛さはわからない。でも君は大丈夫」

「……簡単に言うなよな」

 

 山本武は怒ってるようだ。まぁ私だってよく知らない奴に大丈夫とか軽々しく言われれば腹が立つだろう。

 

「君は私と違う。だから問題ないのだ」

 

 まず彼はその悩みの骨折は何日で治ると思ってるんだ。一週間すれば入ファミリー試験を受けるぐらい動けるようになるんだぞ。私の場合だと何週間固定しないといけないんだ。

 

 真面目に考えていたのが時間の無駄だった気がしてきた。よく考えれば私は死にたくはないから彼とは関わりたくもないのだ。つい名言を言いたくなりすっかり忘れてしまった。

 

 彼は落ちても大丈夫だだろう。……絶対マネするなよ。山本武だから大丈夫なんだ。そこを間違えるな。

 

 そう考えれば、彼は廊下で立ち止まってるがもう無視してもいいだろう。これ以上話しかけられるのも嫌なので扉をしめ日直の仕事をすることにする。

 

 ……どうやら私は愛と勇気も友達にいないらしい。

 

 

 

 

 

 今、私は屋上でモブの仕事をしている。

 

「死ぬ気で山本を助ける!!」

 

 少しボーっとしている間に沢田綱吉が山本武を助けに行ったようだ。もう私はモブの仕事をしなくていいだろう。朝からモブに徹するのは面倒だな。まぁ私は山本武を怒らせたんだ。好感度が最低に出来たと思えば、今日はいい日である。

 

 その後、私は教室に帰ったため知らなかった。無事に救出された山本武が原作と違い「神崎にも礼を言わねーとな!」と沢田綱吉に話していたことを……。

 




……なぜかタイトル詐欺にも見えるw

そして……スポーツマンガが少し前のが多い……ww
最近のもいろいろ読んでるのに不思議です

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