この1ヶ月、私はダラダラ過ごしてました←
それでも報告を何点か。
まず、挿絵を書いていただきました。
キャラ設定のところにあるので興味がある方はどうぞ。
サクラが可愛くてヤバイですw
次に……雲雀恭弥誕生日企画としてコラボ話を作りました。
「クラスメイトK」と「ドジっ娘は風紀委員長様のおきにいり!?」のコラボです。興味ある方は、「クラスメイトKがドジっ娘の世界にて大暴れ!? 」で探せばすぐに見つけれると思います。
本編に出てくる謎の男が登場しています←
次は「クラスメイトK」のUAが10万越えしました。
ありがとうございます。
違う場所でアップした小話を活動報告に記念としてUPしました。
ただし、原作キャラだけで書いた小話です。本編とは一切関わりありません。
後は……近々ハルハルインタビュー「クラスメイトK」バージョンを活動報告にUPする予定です。
また報告しますね。
では、最後に今日から更新を再開したいと思います。
あまりストックはありませんが、なくなるまでは2日に1度を更新しようかと予定しています。
活動報告で呟きましたが、未来編から糖分があります。
お気をつけて。
脱出
雲よりはるかに上で1人の男が居た。
男は無言でただ地上を見下ろす。
それは男の日課だった。
――もうすぐだ。もうすぐでこの平凡な毎日が終わる。
男はニヤリと笑う。
向こうの手駒が壊れれば、男の手駒が解放される。
手を打たれていたことに苛立ったが、今となっては小さな誤差だ。
向こうの手駒に絶望を味あわせることが出来ないのが癪だったが。
「人間は脆い。脆すぎる。だから面白い」
男の呟きが木霊した――。
――――――――――――
何かに当たった。嫌な予感しかしない。すぐにふわっと身体が浮いたと思えば、どこかに移動しているような感覚になった。間違いなく、アレだろう。
よし、入江正一を殴ろう。
先程まで泣いていたのが嘘のように、私の頭はそれでいっぱいだった。
「うわっ」
バランスを崩し、後ろへ倒れる。衝撃はあったが、痛くはなかった。どうやらベッドの上らしい。
「大丈――」
スパーンと音が響いてから気付く。私のベッドの近くに居るのは兄と思い、声をかけてもらったのにビニールハンマーで殴ってしまった。しかし、ここは10年後なのだ。もしかするともしかする。顔面にヒットしているビニールハンマーをそっと外した。
「いててて……」
将来へ期待していた気持ちが、すぐさま消える。なぜ彼がここに居るのだろうか。いや、少し違う。なぜ私がここに居るのだ。上から下まで眺めるように見る。幻覚でもない限り、彼で間違いないのだろう。思わず名前を呟いてしまう。
「入江、正一」
「――雲雀君の言ったとおりだったね。話が早くて助かるよ。さっきのはちょっと驚いたけど……。初めまして、神崎サクラさん」
さっきというのは私にビニールハンマーで殴ったことだろう。問題ない、それは予定通りである。
入江正一の反応を無視し、辺りを見渡す。……やはり私の部屋に似ている。入江正一をハリセンではなく、ハンマーで殴ったのはそれが原因だろう。私はいつものように枕元にあるハンマーを探してしまったのだ。ここは10年後と理解してるはずなのに、だ。それぐらい、ここは私の部屋に似ていた。
私の部屋じゃないと思うのは、部屋が大きいのだ。さらに、ベッドに繋がってる大きな機械――恐らく医療器具の存在が象徴するように違うと判断するには十分だった。私の部屋にはこれほど大きなものは入らない。
「ゆっくり話をしたいけど、あまり時間が無いんだ」
入江正一の言葉にハッとする。そういえば、彼は監視されている状況のはずだ。
「私と会っても大丈夫なのか?」
「――ああ、そうか。僕が監視されていることは知っているんだね。大丈夫だよ。僕はメンテナンスのため、週に1度はここに通ってるんだ」
つまり、ここに来るのはいつもの行動なのか。それならば問題ないかもしれない。
「それに、ここは唯一白蘭サンからの監視が逃れられる場所だからね」
そういう場所もあるのだろうか。少し疑問に思ったが、入江正一の話を先に聞いたほうがいいだろう。
「念のために確認するけど、さっきの質問で僕がボンゴレ側の人間ってわかってると思っていいんだね?」
「ん。君がミルフィオーレの服を着ていることも」
「――僕達の作戦も?」
「丸い装置がゴールのことか?」
私の言葉に入江正一は息を呑んで、頷いた。
「そこまでわかっているなら、大丈夫だね。今すぐここから出るんだ」
「は?」
ちょっと待て。もう少し説明しろ。
「説明したいのは山々だけど、本当に時間が無いんだ。大丈夫、雲雀君からも君の能力は完璧じゃないと聞いているよ。ちゃんと脱出方法はこの紙に書いてるから」
紙を押し付けられ、本当に時間がないと悟る。彼の言うとおり、動くしかないのだろう。しかし、どうしても確認したいことがあった。
「1つだけ質問だ。10年後の私は――人質状態だったのか?」
ここから出なくてはいけないこと。ベッドに繋がっている医療器具。そして、私が知っている未来に似すぎていること。たとえ家族のために彼らと関わらないように思ったとしても、本当に私は逃げれたのだろうかと疑問に思ったのだ。しかし、私がたどり着いた答えだとすれば、可能性はある。私は白蘭に捕まって何も出来なかったのではないか、と――。
「……うん」
結局、私は彼らの足を引っ張っただけなのか。そして、私を逃がすために入江正一は危険を冒している。
彼が私の能力は完璧じゃないとわかってるのは当然だなと思った。完璧なら捕まるはずがないからな。恐らく彼は私と話すまで、その能力があるのかと疑っている気持ちの方が強かっただろう。
とにかく、私は文句など言えない立場だ。ただ、入江正一が不安そうに私を見ていたので、問題ないと笑った。少しぎこちなくなったのは許してほしい。
「今すぐ、行ってもいいのか?」
話しかけにくいだろうと思い、私から話を戻すことにした。
「いや、僕が行ってからにしてほしいんだ。メンテナンス時には問題なかったということにしたいから」
「わかった」
返事をしたが、それでも入江正一は疑われることになるだろうと思った。まぁ白蘭にはとっくの前から入江正一が裏切ってるとバレているという意味では、問題ないのかもしれないが。
「気をつけて」
「それは僕じゃなくて、神崎さんだよ。上手く合流するんだ」
入江正一の言葉に頷き、私は彼が出て行く姿を見送ったのだった。
流石、入江正一だ。紙にはわかりやすく道順を書いていた。ただ、大きな疑問がある。私はこんなにも堂々と廊下を歩いていいのだろうか。正確には小走りなのだが。それでも私の小走りなのだ。大丈夫なのかと心配になる。
次のページをめくると気になる言葉があった。道順と逆方向に行けば、メローネ基地に繋がると書いていたのだ。入江正一からすれば、絶対に間違うなという意味で書いたのだろう。もちろん、私は入江正一の言葉に従ってこの場所から出るつもりだ。
私が気になったのは、ここがメローネ基地ではないということだ。私が知らないだけで隣接している施設があったということなのか。それとも私だけのために作った場所なのだろうか――。
結局、わからないので後で考えることにした。最悪、雲雀恭弥に聞けばいいだろう。今から彼らと合流するからな。……まぁ出来れば雲雀恭弥には頼りたくはないが。
そんなことを考えている間に大きな扉にたどり着いた。この扉を出れば、外に繋がるはずだ。しかし、扉は開きそうにない。入江正一に貰った紙にも何も書いていない。少し違うな。正確には「神崎さんなら大丈夫と思う」と書いている。そこは大事なところだろ!!と本気で思った。
しょうがないので、ボンゴレアジトのように指紋認証かもしれないと思い、壁をペタペタ触ることにした。すると何かボタンのようなものを押してしまった。少し警戒すると、ウィーンという音が聞こえて目の前に画面が現れた。その画面には『問題です』と書いていた。
「ここでクイズかよっ!?」
思わずツッコミをしてしまった。言っておくが、私はそんなに頭が良くないぞ。私の心情を無視するように画面には問題が表示されていく。まぁここで空気を読まれると違う意味で焦ると思うが。
「……なんだ、コレ。『神崎サクラが生まれた日時』?」
よくわからないが、キーボードが下にあったので入力する。ピンポーンという音と画面に正解という文字があった。
「こんなの調べれば誰でもわかるだろ」
ここのセキュリティは大丈夫なのかとツッコミしたい。すると、次の問題が表示された。どうやら一問だけではなかったようだ。
セキュリティは大丈夫なのかとツッコミしようと一瞬でも考えたのが間違いだった。次で10問目である。急いでる時はどうするつもりなんだ。
「次は――『神崎サクラが初めて歩いた日』。こんなの誰がわかるんだ」
そう思いながら入力する。それにさっきから私の問題しか出てこないのだが。大丈夫なのか、セキュリティ。……意味は違うのに、同じツッコミに戻った。不思議である。
入力が終わると、今までより大きな正解音が響いた。どうやら今ので終わったようだ。案の定、扉が開いた。
顔だけ覗き込んでみると、路地裏のようである。10年後の世界なので詳しい場所はよくわからないが、問題はない。私には入江正一に貰った紙があるのだ。
次のページをめくると先程より詳しく書かれていた。読んでみると、ここに書いてある時間に従って、道を歩かなければいけないようだ。恐らくボンゴレ狩りをしているミルフィオーレ上手く誘導し、抜け道を作ったのだろう。至りつくせりである。
ただ、もし私が時計を持っていない時はどうするつもりだったのだろうか。実はケイタイを過去の世界に置いてきてしまったのだ。正しくは10年バズーカとぶつかった拍子に落としてしまったのだが。私はそのことに気付いていたので、あの部屋から時計をパク――持ってきていたので問題は起きなかったが。
やはり入江正一はどこか抜けているのだろう。白蘭にバレバレだったしな。
それにしてもこの時計は高そうである。女物なので私のものであっていると思うが、この私がそんな高そうな時計を買うのだろうか。いつから持っているかは知らないが、白蘭に捕まる前なのは確実だろう。綺麗だが、使っているのはわかるからな。
少し疑問に思ったが、歳をとれば考えも変わるだろうという結論にすることにした。本に埋もれているイメージしか出来ないのは気のせいである。
「行くか」
くだらないことを考えている間に時間になったので動き出す。そして、思った。
「……時間はあってるよな?」
私は人質状態だったのだ。それも恐らく動けないレベルだったはず。つまり、未来の私がしばらく使うことがなかった時計だ。ズレている可能性を全く考えていなかった。
どうやら私も相当抜けているようだ。入江正一のことを言えないな。
少し悩んだが、今から戻るという選択肢は出来なかった。時間がもうないのだ。そのため、高級そうな時計だし大丈夫と信じることにした。
「急ごう」
入江正一に貰った紙を握り締め、私は沢田綱吉達と合流するために歩き出したのだった。
主人公はこんな場所からスタートw