今日も学校が終わったし家に帰るか……。少し憂鬱で足取りが重いのはしょうがない。それにこのまま教室で悩むより家で悩んだほうが安全と思うのだ。
ん?何があったか話せ?
……何度も言うが、誰に語ってるのだというツッコミ入れてはいけない。
今日はテストが返ってきてまずまずの成績だった。マンガを買ってもらうためには最低限の点数がいるが、特に私は成績には興味がない。そんな考えだからなのか、点数はよくも悪くもない。つまり、理科のテストも返ってきたが私は根津に絡まれることはなかった。原作が問題なく進み、私に被害はなく根津が解雇された。まぁグランドを割ったせいで揺れたのは嫌だったが、無事に原作が進んでることがモブの私にもわかったのはいいことだった。
しかし、気になることがあったのだ。私の知っている原作知識では根津がテストを返却時、「川田」の次は「栗原」と呼んだ。
……私がいないのだ。
もちろん、今日の根津は「川田」の次に「神崎(私)」を呼んだ。だが、「栗原」と「近藤」の間に「黒川」が居るように「近藤」の「沢田」の間に「笹川」もいるのだ。「黒川」と「笹川」の名前は原作ではなかった。ちなみに「獄寺」の名前がなかったのは休みというのもあるが、転校生だったので一番最後に名前を呼ばれていたのだ。
原作に私の名前がなかったことをいい方向に考えると、彼女達と同じように私の名前を呼ばれたシーンをカットされただけである。悪い方向で考えれば……原作と違い私が増えている。もしくは、男女別の出席番号だったが原作と違い男女混合の出席番号にになった。混合になった理由はわからないが、私が増えたことによる異変とも考えられる……。
悪い方向で考えると最悪だ。私はイレギュラーな存在で、これから原作を壊す可能性が増える。壊さないために「沢田綱吉」と触ったことで知識が流れたと思うしかない。そう思わないと生きていられない……。
家に帰ってマンガを読んで逃げようと思ったが無理だな。マンガを見るとこの世界の原作のことを思い出してしまう……。大好きなマンガを読めないということは、私が思ってるより精神ダメージを受けているのだろう……。
「……大丈夫? また顔色が悪いけど……」
……しまった。彼が面倒見がいい性格ということを忘れていた。早く帰れば良かったと後悔する。
しかし、なぜ私に構うのだ?彼の中で私はか弱いと思われているのだろうか……。原因は彼と廊下でぶつかった時に尻餅がついたからかもしれない。
困ったな。彼の隣には獄寺隼人がいるため、あしらうことも出来ない。ケンカを売ってくる可能性が高いからな。
「大丈夫」
だから私に構うな。という言葉を含みながら沢田綱吉に言って気付いた。獄寺隼人は沢田綱吉から見て右側にいる。もう右腕のつもりなのか?それとも偶然か?……うん。どうでもいいな。
「無理すんな。 ツナ、送ってやれ」
……この赤ん坊は神出鬼没すぎるだろ。いつの間に私の足元に居たんだ?恐らくミスディレクションを使ったのだろう。命令するなとツナが怒ってるが正直どうでもいい。私は今すぐこの場から離れたい
「10代目を煩わせるわけにはいきません! オレが……」
……今の間に逃げるか。私はどっちにも送られたくはないのだ。
「1人じゃ危ねーぞ」
やはりリボーンの目から逃れることは無理だったか。どうするべきか……。ここで選択を間違えばモブとして生きていけないだろう。いや、モブとかのレベルの話ではない。私の死亡フラグだけじゃなくこの世界の死亡フラグが立つ。
「……心配してくれてありがとう。でも君は沢田綱吉の家庭教師なんだろ? 君は私の心配より彼の成績を心配したほうがいいと思う」
理科の点数がみんなに見られたのを思い出したのか、沢田綱吉の顔が赤くなった。
「それは後でオレがみっちり鍛えるから問題ねーぞ」
みっちりと聞いて今度は真っ青になったな。顔に出てわかりやすい。それにしてもリボーンから逃げるのは難しいな……。
「……ん。今日だけ言葉に甘える。近くまで送ってくれるだけでいい」
断り続けて興味を抱かせるほうが危険と判断した。……この選択があってるかはわからないが。
「わ、わかった!」
……早く終わらせよう。
一緒に帰るのは了承したが、まさか2人に挟まれて歩いて帰ることになるとは思わなかった。これは体調が悪い私のために沢田綱吉が行動したのが原因だった。私の死亡率がドンドンあがっている気がする。ちなみにリボーンはどこかに消えた。まぁどこかで監視しているのだろう。
「神崎―さんもこの街に来たばっかりだよね?」
「……よく知ってるな」
私が驚きながら返事をすると、獄寺隼人が沢田綱吉を褒め称え、沢田綱吉が必死に謙遜していた。……私の頭上で会話するなと言いたいが、ここは無視するのが1番なのだろう。私の気持ちに気付いたのか沢田綱吉がいきなり動揺し始めた。
「か、母さんから聞いたんだ! 春に近くに引っ越してきたって……」
彼は私の気持ちには気付いていなかったらしい。彼が知ってることに気持ちが悪いと思われるのが嫌だったのだろう。別に会話を続ける必要がないので「そう」と短く返事をする。
「今度の休みに獄寺君を案内しようかなって思ってるんだ……だから……」
失敗したな。私じゃなく、沢田綱吉が。恐らく彼は私を誘おうとしてくれてるのだろう。だが、このタイミングで言えば必ず失敗する
「10代目! オレ……感激しました!」
……やはり獄寺隼人が暴走したな。まぁ感動して泣くとは思わなかったが。
「もう近いから大丈夫。ありがとう」
「え!? ちょっと待っ―」
沢田綱吉が驚いてるが無視した。しばらくしても来なかったので、獄寺隼人に捕まって私を追いかけることは出来なかったようだ。獄寺隼人に感謝だな。ちなみに、一生伝える気はない。
――――――――――
「……問題ねーな」
つぶやいたのはリボーンだった。サクラの予想通り、リボーンは隠れてツナ達を監視していた。実はツナにサクラの顔色が悪いと伝えたのはリボーンの仕業だった。ツナはリボーンに命令されたことには文句を言ったが、教室に現れたことには何も言わなかったことにサクラは気付かず勘違いしただけである。もっとも気付いても一緒に帰るという選択しかサクラには残っていなかったが。
「ただの読みにくい奴だけみてーだな」
リボーンが言っている読みにくいはサクラの考えていることだった。リボーンは読心術が使える。読心術といっても、完璧に相手の考えを読めるわけではない。個人に違いがあり、プロは読みにくい。そのためサクラを警戒したが、少し監視をしただけでただ読みにくかっただけと判断したのだ。
「まっ、観察力がいいみてーだし、ファミリー候補に入れてもいいかもしんねーな」
普段から1人で居るサクラがツナ達と一緒に帰るように仕向けたことで気付いた。ツナ達を上手くかわし1人で帰れたということは、相手の性格がわからなければ難しいことだった。つまりそれだけ相手を見る観察力がある。ポスターの異変に気付いたのはサクラだけではなかったが今回のことではっきりしたのだ。
実際のところは、サクラは原作知識でツナ達の性格を知ってるだけであるが。しかし、そのことを当然リボーンは知らないため、目をつけられてしまったのだった。
サクラからして唯一の幸運は運動能力が並だったため、リボーンの中での優先順位が低いことだった。
今回はネタを入れれませんでした
多分、次は多い?と思います