クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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電話

 転校生が帰国子女。……なぜ男なのだ。帰国子女といえば美少女を想像してしまうのは私だけだろうか。しかし、帰国子女の美少女が転校してくるマンガがすぐ出てこない。これは私のマンガレベルが低いからだろう。まだまだだねという声が頭に響いた。

 

「かっこいい……」

 

 隣の席の女子(モブ)を見れば、帰国子女の獄寺隼人に夢中だ。……私も「きゃー!」とか言わないといけないのだろうか?止めておくべきだな。山本武のファンクラブも入っていないので本当はどちらかに入るべきかもしれないが、私がファンクラブに入ったことを兄に知られれば「任せておくがいい、サクラに相応しいか僕が見極めてみせよう!」とか言いそうだからな。

 

 ……兄は大丈夫なのか?留学している間に原作キャラと絡んでいないか心配になる。自分のためというのもあるが、やはり兄だから心配になる。フランスなので大丈夫だと思うが、念のため夕方に電話しよう。……少し気が重いが我慢することにする。

 

 兄の心配をしている間に獄寺隼人が沢田綱吉の机を蹴った。ますます隣の席の女子が夢中になった。……私にはわからない。不良マンガは好みじゃないし、私にはわからなくて当然なのかもしれない。本当に凄い人気だな。彼が扉を空ける前に黒板消しをセットすれば、華麗にキャッチしてくれるかもしれない。……各種盛り合わせを作るほどのお金はないが、お昼はサンドイッチにしよう。

 

 

 

 

 今日も無事に家に帰れたようだ。テストの感触もまずまずだった。もちろんお昼にサンドイッチを食べた。まぁ三角定規をナイフとして使わず、ちぎって食べたが。

 

 獄寺隼人がツナの部下になった話はって?私が知るわけないだろう。見に行って目をつけられれば終わりだからな。何度も言うが私は死にたくはない。だが、2人がテストに遅刻した時間があった。恐らくその時に原作が進んだのだろう。無事に原作が進んで何よりだ。私が安心できる未来のためにこれからもそのまま進んでくれ。

 

 何度もいうが、誰に語ってるのかというツッコミはしてはいけない。

 

 そういえば、この時期にダイナマイトやバズーカなどを学校で使っているが、よく雲雀恭弥に咬み殺されないものだな。そして、沢田綱吉が雲雀恭弥のことを知らないのも謎だ。情報収集すれば簡単にわかるはずだが……。

 

 ちなみに私の情報入手場所はトイレだ。お金がかからなくていい。欠点は情報を選べないことだ。雲雀恭弥の冷たい目で見られたいという話で盛り上がってる時とかは困るぞ。個室から出れなくなってしまうのだ。……そういうことだ。よく言えば情報収集、悪く言えば盗み聞き。

 

 ……兄に電話をかけよう

 

「あら? お兄ちゃんに電話するの?」

 

 ……お母さん、私が電話をかける相手は兄しかいないのか。とツッコミをいれたいが何も言えない。友達がいないのは別に何も思わないが、なぜか少し精神的にダメージを受けたぞ。

 

「……たまには」

 

 お兄ちゃんが喜びそうだわね~と言いながら母さんは去っていった。私がダメージを受けたのは気付かなかったらしい。お母さんに電話をかけると気付かれた時点でわかったかもしれないが、私はケイタイは持っていない。ケイタイ代を払うお金があるならば、マンガがほしいと言ったからだ。それに相手がいないしな。……兄がいるか。

 

『やあやあ。待たせたね。この時間だと……母上だね。何かあったのかい?』

「私」

『……そうか。やはり僕が居ないと寂しいのだろう。今すぐ帰るから安心したまえ。だが、サクラのお土産がない。サクラには特別なものを用意しようと思っていたからね。どうしたものか。いや、僕が帰ることがサクラにとって最大のお土産ではないだろうか。しかし、手ぶらで帰るのは男として……ああ。僕はどうすればいいんだ!』

 

 知るか。……切ろう。この兄を心配した私がバカだった

 

『おっと、切るのはよしたまえ。さっきのは全て冗談さ! 久しぶりにサクラからの電話で嬉しくて、つい舞い上がってしまったのだよ』

 

 お母さんが電話をかけた時に、途中で私と交代した(兄がうるさいため)場合も舞い上がってると思うのは気のせいか?

 

『それで……どうしたんだい? サクラが僕に電話をかけてきたのだ。何かあるんだろう?』

 

 急に真面目な声になるのも困る。

 

「……最近どう? 困ったことはない?」

『僕もまだまだだね。サクラに心配をかけてしまうとは……。特に問題なく過ごしてるさ』

 

 マフィアと知り合ってないかと聞くべきが悩む。あまり私の口から物騒なことを言うと本当に兄が帰ってきてしまう。名前を言って聞いた場合は、兄は私のためにその相手を調べようとする気がする……。

 

『問題があるとすれば……サクラと会えないことだ! しかし僕は留学中の身だ。今、僕のわがままで帰ればサクラは怒るだろう。僕はサクラに怒られるのは嫌だからね! 後、数ヶ月ぐらい我慢するさ。そうだ! サクラがこっちに来ればいい! 案ずるな、費用は僕が出す! これでも少し働いてお金があるのだよ。サクラも寂しかったのだろう? 今すぐ会いに来て僕の胸に飛び込んできたまえ!』

 

 ……殴りたい。今すぐ殴りたい。真剣に心配した私がバカだった

 

『おや? 返事がない……。なるほど。声も出せないぐらい感動してるのだね!』

 

 ガチャという音が部屋に響いた気がするが、私はマンガを読むことにする。




残念ながら獄寺君とは絡みませんでした
理由は獄寺君は意味もなく誰かと絡まないので。

ボツネタ:個室に入ってるとばれれば水をかけられるかもしれないので危険だ。私はトイレに傘を持って行かないからな
(ちょっといじめっぽい気がするし、聞かれたぐらいで水をぶっ掛けるとは思わかったため)
それにしてもこの元ネタの原作ってシュールですよねー。わかる人がいるのかなw?

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