クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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モブ

 この学校は鬼畜だな。球技大会の次の日にテストは普通しないだろ……。まぁ球技大会と言ってもクラスの代表メンバー以外は応援だが。なので、私は体操服にも着替えず体育館に移動中である。

 

「…………ん?」

 

 ただのポスター。だが、このポスターは少しおかしい気がする。理由はメルヘンチックだからだ。私の知っている雲雀恭弥は可愛い女の子がゴミはゴミ箱に捨てようと言っているポスターを貼る許可を出さない気がするのだ。墨で風紀と書いた文字のポスターなら理解できるが……。

 

「やっぱり変だ」

 

「よく気付いたな」

 

 ポスターから視線を下げれば小さな赤ん坊がいた。この時点で私はやってはいけないミスをおかしたことに気付いた。恐らくこのポスターを貼ってる壁の中は学校に張り巡らされてるアジトの1つだ……。しかし、こんなミスをリボーンがするのか?私はトラップに引っかかったのかもしれない。これは観察力があるか確認するために貼っただけな気がする……

 

「……どうして赤ん坊が……迷子?」

 

 逃げちゃダメだと判断した。ここで逃げれば必ず目をつけられる。関わりたくないが今は話すしかない

 

「ちげぇぞ。オレはツナの家庭教師だからな。ツナがちゃんとやってるか見張ってるんだぞ」

 

 ……沢田綱吉の名前を出すな!!本当に逃げれなくなる。いや、待て。リボーンはツナとしか言ってない。まだ何とかなるはずだ。

 

「……わかった。先生に見つからないように気をつけて楽しめよ。見つかっても謝れば許してくれるさ」

 

 これで彼から逃げていいだろう。彼に目をつけられれば終わりだ。さっさと逃げるのが正解である。

 

「待ちやがれ」

 

 まだ逃げちゃダメなのか?

 

「……なに?」

 

「どうしてこのポスターが変だと思ったんだ?」

 

 これは下手なウソは言わないほうがいいだろう。しかし、雲雀恭弥の名前を今出すのはまずい。原作とずれて私の死亡率があがってしまう

 

「……この学校では風紀関係のポスターは墨の字だからな」

 

 ……ウソだけどな。勝手な私の想像だ。しかし、もうこの想像しか出来なかったのだ。

 

「そうか」

「リボーン! やっとみつけたー!」

 

 思わず舌打ちをしたくなった。リボーンが呼び止めたせいでツナとも会ってしまったじゃないか。沢田綱吉は私と一緒にいることに気付いたみたいでリボーンに怒鳴ろうとしてないか?言っておくがまだ何もされてないぞ。……自分で「まだ」と思ってしまった……早く逃げなければ……。

 

「ツナは沢田綱吉のことだったんだな。弟の面倒はしっかり見ろよ」

 

「え? うん」

 

 沢田綱吉がリボーンに向かって何か言う前に、私は早口で話しその場から離れた。沢田綱吉がリボーンを注意しようとすると技を決められてしまうからな。そのシーンを見た瞬間に私はモブではなくなる気がしたのだ。今回はギリギリ逃げれたな……。

 

 逃げることを考えすぎ?当たり前だろ。私は怖くてもずっと逃げちゃダメだと言いながら頑張れるわけがない。彼は主人公。私はモブ。

 

 誰に語ってるかというツッコミはしてはいけない。

 

 

 

 

 球技大会が無事に終わったし勉強だな。何かあったか話せ?私は群集に紛れてただ見ただけだ。気になるなら原作を読め。そのままだ。つまり私がリボーンに絡まれることもなかったのだ。私のウソが見破られていないか心配したが、絡まれなかったということは大丈夫だったということなのだろう。だから私は家に帰りテスト勉強をしようしたのだが、問題が発生した。ノートを忘れたのだ。面倒だが取りに行くしかないと思い、学校に向かっている。ちょうど今の時間は沢田綱吉とリボーンは家にいるしな。

 

「何をしている。早く帰りなさい」

 

 後ろから声をかけれて振り返れば……リーゼントだ。近くで初めて見た。そして口に草を咥えている人も初めて見た。

 

「聞こえてるのか? 早く帰りなさい」

 

 リーゼントを凝視していればまた注意されてしまった。彼が短気でなくて助かった。それに彼とは関わっても大丈夫だしな。トンファーを振り回す危険人物だと終わりだった。

 

「……テスト勉強に必要なノートを忘れました」

 

「そうか。……私も一緒に行こう。校門にも風紀委員が立っているんだ」

 

 副委員長は親切だな。私が風紀委員に説明するのが酷と思ったんだろう。彼のような気を配れる人が雲雀恭弥の下についてるのが謎である。咬み殺されるのにな。

 

 ……長いな。だが、最長が中学1年の1m27cmらしいので、これは短くなってる方なのだろう。

 

「……何かありますか?」

 

 見ていたのはリーゼントに興味があっただけだ。だから何かあると聞かれても困る……いい質問があった。

 

「もしかしてチョコ好きですか?」

 

「は?」

 

「いえ、何もありません」

 

 やはり私の中でのリーゼントは生徒会長だな。草壁哲矢の気が利く優しさで順位が変動しそうになったが。

 

 リーゼントの順位を真剣に考えてる間に学校に着き、見張ってる風紀委員に説明してくれたようだ。最後まで面倒を見ようとしたがケイタイが鳴り慌てて走ったところを見ると雲雀恭弥からの呼び出しだろう。彼は大変だな。私にノートを取りにいけば真っ直ぐ帰るように言ってから走ったからな。風紀を乱さないように必死なのに理不尽に咬み殺されることが多い。苦労人である。頑張れと心の中で応援しておく。誰かが君の良さに気付いて好きになってくれるさ。

 

 草壁哲矢と別れてから彼に言われた通り、教室に行きノートを取った後は真っ直ぐ家に帰った。……そう。真っ直ぐ家に帰った。後ろの席の子が教室にいて話しかけられるということもなく……。改めて実感した。やっぱり私はモブだな。

 




主人公、リボーンと出会ってることに気付かないw

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