多分、雰囲気も違います。
伏線も入れてませんので読み飛ばしても問題ないと思います。
「なんと! 今日はサクラちゃんもお誘いしましたー!」
「こんにちは。サクラちゃん」
「ちょっと、ハル。無理矢理連れてきたわけじゃないわよね?」
「違います! ハルはちゃんとお誘いしました! ……ちょっと不安だったのでツナさんとリボーンちゃんにご相談しちゃいましたけど……2人とも大賛成だったんですよー。でも、もしかするとこれはサクラちゃんからすれば気を悪くすることだったかもしれません……。ハルの根性なしです……」
「……気にするな」
辛うじてそれだけ言えた。実際、黒川花の言うとおりで無理矢理だったからな。……三浦ハルが悪いわけではないが。なぜなら私がここに居る原因は兄が先回りし三浦ハルに大量のお菓子を渡したせいなのだ。当然、お菓子を受け取った三浦ハルは私が行く気だと思って声をかける。ここで私が行かないとは言えない空気だったのだ。以前なら言えたかもしれないが、行かないと言えばお菓子を返しにくると想像がついたので、行く選択をした気もしなくもない。
とにかく私はもう誘われないように静かにすることを決意する。話は彼女達に任せて私はお菓子を食べよう。
「そして、ここにあるお菓子は全てサクラちゃんのお兄さんの桂さんが『サクラの初の女子会だ! これは僕のプレゼントさ!』と言って、頂いちゃいましたー。凄い量だったのでハルはお断りしようとしたのですが……全てお兄さんがこの日のために手作りしたということなので、遠慮なくもらっちゃいましたー。とっても美味しそうですー」
「うん! お兄さんにお礼を伝えてね!」
「……気にするな」
これは好きでやってるんだ。お礼なんて伝えなくても問題ない。だから気にせず食べてくれという意味で手で食べるよう促した。
「はひ! では、頂きましょう!」
「「「いただきまーす!!」」」
声をそろえた彼女達とは違い、この世の全てを食材に感謝を込めていただきますと、私は心の中でいい食べ始めた。
「すっごく美味しいわね。でも……サクラのお兄さんってほんと妹バカって感じよねー。容姿だけみればカッコイイのだけど……。もったいない……」
「そうですか? ハルからすれば桂さんは親しみやすいですけど……」
「私もハルちゃんと一緒かな? お兄ちゃんは桂さんと会ってから凄く楽しそうだよ」
このシュークリームが美味しすぎる。中のクリームは上が生クリームで下はカスタードクリーム。この2つが口の中で混ざり合い絶妙なハーモニー。食べれば食べるほど口の中に広がる味がなんとも言えない……!
「あんた達はよくわかってないだけよ。サクラのお兄さんと付き合ってみればすぐわかるわよ」
「え? なにが?」
「……ハルもわかりません。なにがわかるんですか?」
パイシュー発見。これはさっきと違い、噛むたびにサクッ、サクッという音が聞こえるぐらいの食べ応え。これだけでも十分な気がするが、中のクリームがまた絶品。先程と違いを楽しめるように、カスタードクリームだけにしたのか。……違うかもしれない。生クリームと一緒に混ぜたのか。もの凄く滑らかだ……!
「本人の前でこういっちゃなんだけど、あのタイプは絶対彼女よりサクラを優先するわね」
「でも、家族を大事にするのはとってもいいことですよ?」
「甘いわね。あれは病気よ。病気。もうサクラしか見えていなーいっていう病気よ」
「びょ、病気ですか!?」
「ええ。断言できるわ」
「……ごめんね、サクラちゃん。花が失礼なことを言って」
「気にするな。私もそう思うし」
それよりこのクッキー。食感はもちろんのこと、食べた後に口の中に広がるバニラの香り。一見、メインの引き立てと思わせるシンプルなデザインだったが、余計なものをいれないためだったのか。これは思わず何度も手が進んでしまう。
「ほらみさない! 当事者のサクラでさえ、思ってるのよ!」
「ハルには……よくわかりませんでした……。はひ? サクラちゃんそちらのクッキーを美味しそうに食べていますね」
「ん」
「……はひー! 京子ちゃんも花ちゃんも食べてみてください!! 凄く美味しいですー!」
「ありがとう。ハルちゃん。……おいしー!」
「どれどれ。……本当に美味しいわね。ちょっとこれ売ってないの?」
「今度、聞いておく」
「私にも教えてね!」
「ハルもお願いします!!」
「ん」
兄に聞いて売ってるようなら先に沢田綱吉に教えてあげよう。ホワイトデーにちょうどいいからな。少し甘いのが続いたので、しょっぱいものが食べたい。……流石、兄だ。私の気持ちを予想していたのだろう。ポテトを薄揚げにしているものがあった。これは晩ご飯に並ぶこともあるので手間はそこまでかからないのだろう。しかし、揚げてるところを見たことがない。レンジで何かしていたような……。わからないので考えを放棄する。私は食べれればいいのだ。……程よい塩加減だが、あまり油っぽくない。これもクッキー同様止まらないタイプである。つい、手が進む。
「お兄さんがあんな感じだと、あんたが恋したときに大変なことになるんじゃないの? まっこれは京子のところも言えそうだけど」
「え? 私?」
「そうよ。京子のお兄さんだって京子が大好きでしょ。『極限、交際は認めーん!』って言いそうだわ」
「……なんとなくですが、ハルも想像できます……」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんは認めてくれるよ」
「その認めてもらうのは大変な気がするけど、その点で考えると沢田はクリアしてるわね」
「ツナさんがですか?」
「そうね。他にもサクラのお兄さんも認めてるわね」
「そうだったんですかー」
「それで、サクラはどうなのよ? いい人とかいないの?」
急に話題を戻すな。三浦ハルと笹川京子の微妙な関係に気付いて、深く話すのを避けたい気持ちもわからなくはないが。
「特に」
「ふぅん。でもあんた、沢田達とはよく話すじゃない。それに雲雀恭弥とも何かある感じだし、金髪のイケメン外国人とよく歩いてる姿も確認できてるわよ! 白状なさい!」
「……白状もなにも彼らとはこれといってない。強いて言うならば信頼できる相手だ」
前者は少し誤魔化しているが、後者は最近わかったことなのでウソではない。私は動揺をせず、紅茶に手をのばす。……この茶葉は私の好きなアッサムとダージリンをブレンドしたものだ。兄は紅茶まで用意していたのか。少し呆れるが、正直ありがたい。たまに紅茶といって表示もロクにせず、アールグレイを出すところがある。あれはフレーバーティーで慣れない者には飲みづらい、ちゃんとアールグレイと表示しろ!!……一瞬、誰かに思考が乗っ取られた感じがしたが、恐らく私の気のせいだろう。
「本当に何もないようね……。誰かいい感じの――」
「はひー。美味しいお菓子ばっかりで幸せですー」
「私も!」
「――美味しいのは私も認めるわよ。認めるけど、女が4人も集まってるのになんで恋愛の話が続かないのよ……」
「だって、とっても美味しいよ?」
「そうですよー」
「はぁ……。私はイケメンの牛柄のシャツの人とちゃんと話せなかったし――」
ポテトの薄揚げと紅茶のおかげでリフレッシュできた。少し重たいと考え、最初に手がのびなかったマドレーヌを食べることにする。表面はパリッとしていて中はしっとり。バターが多いかもしれないが、レモンの風味で後味は爽やかだ。今回、兄はたくさんの種類を食べれるようにするために、香にもかなり気をつかってるのかもしれない。私と同じように敬遠してそうな彼女達に勧めてみる。
「――あんた達、ちょっと聞いてるの!?」
「はひ!? ちゃんと聞いてますよー」
「うん。花、サクラちゃんが勧めてくれたマドレーヌも美味しいよ?」
「あら、ありがとう。――じゃないわよ! 本当に私の話をちゃんと聞いてるの!? 私は牛柄のシャツの人に会いたくて会えない、この焦がれる私の気持ちを少しわかってほしいのよ!!」
「理屈じゃない」
「そう! そうなのよ! この気持ちは理屈じゃないの! サクラ、わかってるじゃない!」
私の気持ちはわかってもらえなかったようだ。非常に残念である。まぁこのボケは原作のことを知っている私にしかわからない種類なので許すが。
「それでこの前に沢田の家に会った時は――」
黒川花の話を聞き流しながら、私はお菓子を食べることにする。それにしても今日のお菓子は美味しすぎる。思わず手をパンッと一発叩きたくなった。恐らく彼女達はわからないのでしなかったけどな。
……飲めない。あれは理屈じゃないw
ボツネタ
塩じゃなく、のり塩で3日間だけタイトルを『クラスメイトKですよ』に変更。
(ハーメルン様の利用規約にちょっとかすりそうで、私がびびったため断念)