クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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お気に入り数が増えた気がする。
いつも言いますが、期待しないでくださいね
無理と思えばすぐUターン!ストレスが溜まるだけですよ!


あくまで委員活動

 今日は図書委員の活動のため、学校に行かなければいけない日だ。本当は引きこもっていたい。だが、委員活動をサボれば空港に行かなければならないし、雲雀恭弥に咬み殺される可能性がある。初めから私は行かないという選択肢を選べないのだ。

 

 そんな私だが、少し運はあるのだろう。原作をまだ知らなかったのに図書委員になったのだから。図書委員は図書室で活動することが多い。沢田綱吉は本の返し方がわからなかったシーンがあった。つまり滅多に図書室に来ないのだ。気になるのは8月ごろに『恐竜のひみつ』を借りることぐらいだな。そして、他の原作キャラで図書室に来そうなのは獄寺隼人ぐらいである。私の知識では彼はUMA関係の本を借りるのだが、まだ来たことがない。恐らく転校してすぐなので機会がなかったのだろう。私は家から出るのは嫌だったが、学校の中で図書室はかなり安全地帯なのだ。図書委員を選んで正解だった。

 

 ……そう思ってた時期もあったさ。家から出る前もそう思ってた。職員室にカギを取りに言った時もまだ思ってた。私の希望が打ち砕かれたのは図書室が見えたときだ。理由は沢田綱吉と獄寺隼人の姿を確認してしまったからである。

 

「お、おはよう! 神崎さん!」

「…………」

 

 私が来たのがわかったのだろう。彼らから普通の挨拶と睨みの挨拶があった。睨むなら来るなよと思いながら、最低限の挨拶をかえす。痛いのは勘弁だからな。

 

 私は彼らが来た理由を考えながら扉を開け準備をする。一般的に考えると本を借りたり読みに来た。最悪の場合は私に会いに来た。……後者の確率の方が高いな。私がいることがわかっていた声のかけ方だった。しかし、活動日を私は誰にも教えてない。断言できる。友達がいない私は話す相手もいないからな。そうなると……彼の仕業だろう。凄腕の殺し屋に狙われた場合の対処法はどうすればいいんだ?ラジカセを持ってるCOOLなボディーガードを探すべきかもしれない。

 

「あの、山本は部活で来れなかったんだ」

「興味ない」

「そ、そう……」

 

 落ち込むな。そして睨むな。よく考えろよ……。私は一言も山本武のことを聞いていない。

 

「それで何? 君達以外はいないけど、一応ここは図書室だから私語は厳禁だ」

「そ、そうだね……。あ、あのさ! 山本の練習は午前中で終わるんだ。それで……神崎さんも委員会の仕事が午前中で終わるよね? だからこの後一緒に遊べないかなーって……」

 

 わざわざ遊びに誘うために朝から待つ必要があったのだろうか……。私の活動が終わる直前で問題ない気がする。

 

「用事がある」

「そ、そうだよね……」

「おい! お前!!」

「騒ぐなら図書室から出て行って」

 

 少し言い過ぎたせいで危なかったが、必死に沢田綱吉がなだめているおかげで助かった。だが、私はなだめず出て行ってくれる方が嬉しいんだが。

 

 そう思いながら準備が終わったので、彼らは放置し本を読むことにする。

 

「あの……」

 

 まだ頑張るのか……。普段の彼なら、とっくに諦める気がする。私と彼はそこまで好感度は高くないはずなのに不思議だ。

 

「何?」

「お勧めの本とか教えてほしいんだ……。いい機会だから本を読んで来いって言われたけど、何がいいのかわからなくて……」

「……そこに座ってて。適当に持ってくる」

「う、うん! ありがとう!」

 

 はっきり言わなかったが、彼が朝早く来た理由はリボーンに言われたからなのだろう。……それにしても難題だ。あくまでこれは図書委員の仕事だから親切に本を探してあげるが、彼の読みそうな本がわからない。知識があると言っても、彼が本を真面目に読んでるシーンなどないのだ。

 

 

 

 

 いろいろ悩んだが、これでいいだろう。文句を言われても私は知らない。自分で探せ。

 

「どうぞ」

「ありがとう! ――あの……神崎さん……どうしてこれを……?」

「役に立ちそうな気がしたから」

 

 沢田綱吉が心の中で微妙なリアクションしているようだ。顔に出てわかりやすい。

 

「見せて下さい! 10代目! ――ライオンの飼い方、きのこ図鑑、平行世界とは?、バイク運転術。――なんなんだ! これは! 真面目に選びやがれ!!」

「1番のお勧めはライオンの飼い方」

「ふざけやがって……!」

 

 失礼な。私は真剣に未来で役に立ちそうなものを選んだつもりだぞ。

 

「ちなみに君にはこれ」

「こ、これはUMAの神秘な世界……発行部数が少ない幻の一冊がなんでここに――」

 

 私が知るわけないだろ。雲雀恭弥に聞けばわかるかもな。まぁ獄寺隼人が静かになって読み始めたからいいとしよう。未来で役に立つとは思わないけどな。問題は沢田綱吉である。

 

「気に入らないなら返すけど」

「えっと、ありがとう。読んでみるよ」

「そう。持ってきた本は写真や絵が多いから最初にはいいと思う。後で読書感想文に良さそうな本も持ってくる。用意してるなら持ってこないけど」

「ほ、ほんと!? 助かるよ。実はどうしようかと困ってたんだ……」

 

 ……失敗した。つい、真面目に委員活動をしてしまった。沢田綱吉の好感度があがった気がする。

 

「気にしなくていい。委員の仕事だから」

 

 あくまで委員の仕事ということを伝えたかったが、彼は気付かなかったみたいだ。ありがとうと笑顔でお礼を言われてしまったからな……

 

 今回は諦めて課題図書を探そう。自分の分もついでに探すか。……沢田綱吉には先に読書感想文の書き方が書いてる本を渡したほうがいいかもしれない。

 

 

 

 数十冊ほどを沢田綱吉のところに持って行けば驚かれた。誰も全部読めとは言わないから安心しろ。

 

「この中から選べばいいかも」

 

 今年の課題図書はなかったが、去年や一昨年の課題図書はあった。この中から選べば間違いない。先生も去年か一昨年に目を通した本のはずだしな。後は「先生のお勧め!」というプリントに書いていたものだ。

 

「ごめん……。オレにはどれがいいか……」

「私と君では好みが違う。これ以上は私には絞れない」

「そ、そうだよね……」

「目次と最初の数行だけ読めばいい」

「え!?」

「目次と最初の数行を読んでみて、興味が出たものにすればいい。本によって徐々に面白くなる話もあるけど、普段から読まないなら最初に引き込まれないと読むのがつらい。一度面白くないと思ってしまえば、途中で投げ出しそうになったりすることが多い。その後に感想文を書くのはもっとつらい」

「そうかも……」

「でも、これは私の方法だから参考程度にして」

「ううん。助かったよ!」

「ん。終わっても置いといていいから。私も後でその中から探す」

 

 先にしてと言われたが、今読んでる本を読み終わればすると返事した。私は平行読みが苦手なのだ。続きが気になり他の話が頭に入らない。私の返事に彼は納得したらしく、本を読み始めた。静かになったし今度こそ読み始めよう。

 

 

 

 

 

「……ぉぃ。………おい!!」

 

 少し真剣に読みすぎたみたいだ。顔をあげれば獄寺隼人がなぜかきれてる。沢田綱吉も彼の声にビックリしてるぞ。彼は私の目線でビックリさせてしまったことに気付いたのか、10代目!すみません!と何度も謝り倒し始めた。

 

「君達しかいないけど、図書室では静かに」

 

 図書委員として注意した。べ、別にうるさくてイラッとしたからではないぞ。あくまで委員の活動として注意したんだぞ!

 

 ……話を変えよう。なぜ図書室の利用者が彼らしか居ないのだ。わざわざ夏休みに図書室を開ける必要がない気がするが、沢田綱吉みたいな人のために開けてるのだろう。「先生のお勧め!」というプリントもそのためにあるわけだしな。お盆があければ利用者が増える気がする。

 

「それで何?」

 

 いろいろ思考が脱線したが、獄寺隼人が私を呼んでいたことを思い出した。今、いいところなんだ。早く用件を済ませて本の続きを読みたい。

 

「………………だ」

 

 ボソボソと言い、何を言ってるかわからない。静かにしろと注意はしたが、用件が聞こえないぐらいの声は困る。これはもう無視してもいいのだろうか。……さすがにまずい気がする。なぜか彼が私に期待の目で見てるしな。

 

「もう少しはっきり言って」

「……聞こえてねーのかよ!? この本はどこ置いてあったんだ!」

 

 彼は音量の調節が出来ないらしい。困ったものだ。これ以上うるさいのは勘弁なので、急いで彼を本棚の前に連れて行けば奇妙な声をあげた。今度は何だと思ったが、ずっと探していた本を見つけたらしい。私は興味がないので彼を放置して席に戻った。

 

 そして、また本を読み始めようとして気付いた

 

 ……言っておくが、彼らと馴染んではないぞ。あくまでこれは委員会の仕事だ。誰に言い訳すればいいのかわからないが、必死に伝えたくなった。ついでに、私は悪魔ではないことも伝えたいと思いながら本を読み始めた。

 




知ってる人はタイトルでネタバレしたと思います
委員活動だけにしようか悩んだんですけどねー。たまにはいいでしょうwと思うことにしたw

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