クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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話し合い 2

 必要なこととはいえ、脱線し過ぎた。リボーンの言う通り話を戻そう。

 

「お兄ちゃん、状況はどう?」

「そうだねぇ。サクラの要望に叶えられないのは心苦しいけど、量産は出来そうにないよ」

「十分だよ。ありがとう、お兄ちゃん」

 

 兄にも礼を伝えらなければと思い、本音を言えば、悶えていた。男性の悶える姿なんて、誰トクなのだろうか。

 

 見なかったことにして、ツナ達に向き合う。その頃にはディーノも復活していた。まぁ真面目な話に戻ったのだから、彼なら当然だろう。

 

「まず今回のために私達は匣兵器を作っていると君達は察していると思う」

「えー! 匣兵器作ったのー!?」

 

 そう言えば、ツナは知らなかったのを忘れていたな。心の中で謝りながらも、話を進める。

 

「匣兵器といっても作ったのはバッテリー匣だ」

「ん? そうなのか?」

「いくら兄が頭が良くても、アニマルタイプなどの匣兵器をこの短期間に作るのは厳しいぞ。そもそも匣兵器に拘っているわけじゃない」

 

 私達は死ぬ気の炎を確保したいだけであって、匣兵器がほしいわけじゃない。ただ単にそれの一番の近道が匣兵器だっただけだ。

 

「死ぬ気の炎が必要ってことなんだな」

「ん。ツナがもう一段階強くなれた分の炎を補おうとした」

「え? オレ?」

「君をスパルタで鍛える案もあったが、ピンチにならない限り厳しいと思ったから用意した」

 

 リボーンがヤル気になった。……殺る気といった方が正しいか。

 

「ひぃ!」

「それは時間がある時にしてくれ。あれは賭けだったと思う。最強の殺し屋の君が傷を負うレベルの戦いだから」

 

 リボーンが怪我をするところを想像出来なかったらしい。ツナとディーノは驚いていた。……実際、賭けだったと思うんだよな。成長の兆しは見えていたが、確信があるなら最初からぶつけていたはずだ。もちろんディーノが立てた作戦ではツナが途中参加なので不可能だったのもある。が、合流した時点でも問題なかった。それこそ、リボーンがツナ達にのったタイミングで、作戦変更しても良かったのだから。

 

「……来ないか」

 

 ここまで話したのに、どっちも来ない。……しまったな。せめて先に復讐者に会いに行くべきだったか。いや、兄が手を離せないのに日本から離れるのは不可能だった。許してくれない。ディーノに頼む手もあったが、メローネ基地に殴り込みした時のことがあったので、どうしても頼む気にはならなかった。

 

 ……シモンの聖地に行くのが正解だったのか!

 

 本につられて、失敗したようだ。タルボじじ様より先にあっちだったらしい。

 

「お前、今無茶しただろ……」

「大丈夫、手遅れだ」

 

 再びディーノが頭を抱えた。お人好しも大変だな。

 

「どれぐれー、手遅れなんだ?」

 

 よくわからなくて首を傾げた。リボーンが怪我をするぐらいの相手に目をつけられてると話の流れで気付いているはずだが。

 

「黙ってるつもりだったが、おめーにボンゴレの者をつける話が出てんだ」

 

 つまり相手の実力というより、狙われる可能性を聞きたいのか。

 

「そうだな……。いつ攫われてもおかしくないぐらい」

 

 沈黙が流れた。空気を軽くするためなのか、兄が口を開いた。

 

「攫われる前に、僕が攫いたいよ!」

「まったくだぜ……」

 

 再び沈黙が流れた。その同意はやばいぞ。兄のキャラなら納得出来そうなものだが、真面目なタイプがいうとかなり危険である。そう思ったのは私だけじゃなかったようで、視線を集めていた。

 

「……そういう意味じゃねーからな! こいつはほっとくと何するかわからねーからだ!」

「まぁ絶対に話せばヤバイのは黙ってるのも向こうは気付いていると思うから、攫われてもおかしくないが、いつでも出来ることもあって、見逃されているのかも」

「スルーかよ……」

 

 スルーしたつもりはない。自己弁護しただけだ。

 

「そもそも僕達が集まっている時点で未来は変わっているのだよ。サクラに手を出すのなら、遅すぎる。つまり……」

 

 兄が途中で言葉を止めたので、視線を向ける。続きが気になる。

 

「つまり、サクラに賭けたのだよ。流石、僕の愛して止まない妹だ!」

 

 兄のノリに流されたかったが、出来なかった。チェッカーフェイスも復讐者も私のことを信用した。その意味がわからないほどバカではない。

 

 重圧を感じる。今まで何度も選択し、その度に怖いと思った。でも今回は比べる必要もないぐらい違うとわかる。

 

「サクラ……」

 

 心配そうなツナの顔を見て、少し冷静になる。私一人で背負う必要はない。……いや、違う。私と兄が背負っただけでは実現出来ることではない。ツナは力を貸してくれると言ってくれたではないか。

 

「ツナにしか出来ないことだと思う。本当に頼んでいい?」

「もちろん。なに? なに?」

 

 私は今、リボーンと同じような笑みを浮かべただろう。

 

「彼らの呪いを解くには大量の死ぬ気が必要になる」

「うん」

「だから説得は頼んだ」

「説得?」

「ん。アルコバレーノを除いて、大空の7属性で今の君の炎ぐらいを出せる人が最低で15人は必要だから」

 

 言ってやったと私は物凄くすっきりした顔をしているだろう。

 

「ええっと、オレと山本、獄寺君、お兄さん、ディーノさん、炎真は大空の7属性じゃないし、サクラのお兄さんで、6人? ……後9人!?」

「沢田君、僕をそこの人数に入れないでくれたまえ」

「なんでですか!?」

「僕の炎は特殊だからね。危険な橋は渡りたくない。匣兵器に込める炎は僕の純粋な晴属性のものだから、完全に不参加というわけでもないよ」

 

 私も兄の意見に賛成だ。嫌な予感がするから。

 

「お前が知ってる未来では15人で大丈夫だったんだな?」

「多分」

 

 チェッカーフェイスと尾道を除けば、15人のはず。曖昧な描写なので、少し自信がないのだ。匣兵器はツナが成長しただろう分の炎しか充電できない。もちろん、多めに見積もって計算しているので一人分ぐらいは補えると思うが。

 

「なら、20人を目処に集めっか」

「ええ!?」

「トラブルが起きるかもしれないだろ?」

 

 ツナが絶望的になった。友達の少なさを嘆いているみたいだ。そんなに悲しむこともないと思う。私よりは多いぞ。

 

「ユニの後押しがあれば大丈夫だと思う。条件が整った時、彼女には明るい未来が見えていた」

「そっか! この時代にもユニは居るんだ!」

 

 そういえば、アリアは去っているのだろうか。私が存在していることで、未来が広がりみえている可能性がある。でも……去っているだろうな。ユニとγのこともあるし、何より大空の呪いである寿命は以後減らなくなるだろうが、失ったものが戻るわけじゃない。

 

「でも後誰が手伝ってくれるのー!? どーしよー!?」

「なに言ってんだ。条件が合う奴が並盛に集まってくるじゃねーか」

「え!?」

「各々のアルコバレーノが代理を立てくるだろ? その鉄の帽子の男が言った話の流れから戦闘の可能性が高いしな。条件に当てはまる確率が高いぜ」

 

 正解という意味で頷く。それを見たツナの目に希望が宿る。

 

「ただなぁ……。なんつーか、一筋縄に行かねぇ奴ばっかりな気がするぜ……」

 

 それも大正解なので大きく頷く。

 

「ツナ、頑張れよ」

「なんで他人事なんだよ! お前のことだろ!」

「頼まれたのはツナ、お前だろ。それにオレはオレでちゃんと他のアルコバレーノに話をしに行くぞ。ただどこまで信用するかわからねー」

 

 リボーンの言葉に落ち込む。仕方のないことだが、私の信頼度が低い。ここにいるメンバーからは異様なほど信頼が高いが。

 

「1人しか解けないと決めつけて入れば、彼が声をかければ悪化するかもしれないということだよ? サクラ」

「そうだぞ」

 

 兄とリボーンの言葉に復活する。我ながら単純である。

 

「ディーノさんは手伝ってくれますよね!?」

「ん? ああ。もちろん」

「ディーノはディーノでオレから別件の依頼を頼むから、おめーが中心になって動けよ」

 

 別件の依頼は何だろうか。視線を向けたがリボーンは答えなかった。ディーノも質問しない。私の作戦がダメだった場合のために動くのだろうか。気にはなるが、リボーンは話さない。経験則でわかる。

 

 仕方ないので、どーしよーと頭を抱えてるツナに視線を向ける。

 

「大丈夫、君なら出来る。それに声をかけたら助けてくれる友達がいるだろ」

「……うん。サクラからも声をかけてくれるよね?」

「なぜ?」

「そこを何とかー!」

 

 自慢じゃないが、私はツナより友達が少ないぞ。

 

「友達は君と被ってるし、厄介な人達とは会いたくない」

 

 私がはっきりと言えば、ガーンという顔をしたツナが居た。

 

「そもそも厄介な人達に、私は未だに恨まれてる可能性がある」

 

 ツナがハッとしたように私の顔を見た。もしかして気にしているのだろうか。まぁ私は真正面から戦わず、裏からこそこそ動くのだから、分かりあうのは厳しいからな。

 

「サクラ……、オレ達のためにありがとう」

「べ、別に君達のためだけじゃないし」

 

 ……どこのツンデレキャラだ!

 

 顔が熱い。この空気に耐えられなく、兄の後ろに隠れる。

 

「サクラをこれ以上見るのは有料だよっ!」

「そうだそうだー」

 

 ヤケクソ気味に兄の言葉にのる。私を追い詰めようという人物はいなかったようで、このまま解散となったのだった。

 

 この後、復活を果たした私はツナより遅れて学校へ向かう。なぜか校門に雲雀恭弥が居る。嫌な予感がする。

 

「遅いよ」

 

 着いた早々文句を言われ、応接室に強制連行である。

 

 本当に一体どこで私はフラグを立てたんだ……。




実はサクラがシモンの聖地に行けば、D・スペードに殺される、もしくは重症で意識が戻らないという理由で虹の呪い編は不参加になります。それ以外のルートは私が思いつかなかったので。

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