クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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会議

 先ほどの雰囲気はどこへ行ったのかというくらい真面目な空気である。この中に私と兄が居るのが不思議な感じだ。それも重要なポジションで。

 

 ちなみに今はリボーン、ツナと雲雀恭弥を除くツナ達の守護者、9代目と9代目の守護者。ディーノとロマーリオ、スクアーロとマーモンがいる。

 

「シモンファミリーがもつ炎は、君達のもつ7属性の炎と対だ。『罪』の血を浴びたリングでは今の君達と勝負にならない」

「なぜ『罪』を渡したぁ!!」

 

 私の行動に慣れているツナ達は何も言わなかったが、スクアーロからはツッコミが入った。

 

「それが最善の道だと判断したから」

 

 スクアーロが私の言葉で黙り込んだ。彼も未来から記憶が届いてるので納得するかは別だが、話はわかるのだろう。

 

「君達のリングもバージョンアップするしかない。判断は任せる。君達の覚悟で成功が決まるからな。失敗すればもうリングは使えない。ちなみに成功率は50%」

「50%だと……!?」

「わかった」

 

 微妙な確率に反応した獄寺隼人だったが、ツナは動じずに返事したのでつい視線を向ける。それは私だけじゃなかったようで、この場にいるものの視線を集めていた。

 

「炎真達と分かり合うために必要なら、覚悟は出来ている」

 

 死ぬ気モードではないのに、ツナが強気である。もっと自信を持てばいいのにと何度か思ったことがあるが、いざツナが強気になると目を合わせれなくなった。……眩しいのかもしれない。私はここまで真っ直ぐになれないから。

 

「いや、もちろん9代目が許可してくれたならだけど……」

 

 急に弱気に戻ったツナを見て、思わず笑ってしまった。私が笑ったことで、真っ赤な顔になった彼を見て本当の気持ちに気付いた。眩しいと思ったのは事実だが、どこかで私は彼に嫉妬していたのだろう。彼は成長したが、私は成長していないから。同級生なのも大きい。ディーノみたいにツナが年上なら私はここまで思わなかったはずだ。

 

 後ろに立っていた兄が私の頭をゆっくり撫でた。これは言葉を交わしなくてもわかる。兄は私のペースでいいと甘やかしてくれているのだ。ありがたかったので、兄の気の済むまで撫でていいぞ。恐らく1分ほどだろうし。

 

「まどろっこしい、オレ達にやらせろぉ!」

 

 9代目が返事をする前にスクアーロが吠えた。対の炎といっても、暗殺のスペシャリストのヴァリアーなら確かにやりようはあるだろう。

 

「もう『罪』を渡した後なんだ。彼らと和解するルートが最善だ」

「関係あるかぁ!」

「……君達にもメリットはある。少なくとも、彼らがいれば君達のボスが片腕を無くす確率は下がる」

 

 私の言葉に一番反応したのは、スクアーロでもマーモンでもなかった。勢いよく立ち上がり椅子を倒すほどだったので、自然と9代目に視線が集まる。私は咳払いをしてから話を続けた。

 

「……彼らがいれば、私が動きやすくなるのは事実だ」

 

 復讐者がシモンファミリーとスカルからバトルウオッチを盗むのはわかっている。その時に復讐者と接触出来れば、争いは回避出来る。ツナの成長はなくなるだろうが、私はもう気にしない。私が知ってる範囲が終わるのもあるが、ツナ達を信用すると決めたのだから。

 

「9代目、どうすんだ?」

「……この件は綱吉君達に任せる」

 

 私は思わず当然だというように頷いた。先ほどの反応から、XANXUSの片腕をなくしたくないと一番思ってるは9代目だとわかるからな。

 

「勘違いしないでほしい。わしは『罪』を渡すと決断した時点で、綱吉君達に任せるつもりじゃったよ。……後押しになったのは否定しないがのぅ」

 

 複雑すぎて、言葉をかけにくい。先ほどは話すこともあり、気を遣って私が口を開いたが、今回もした方がいいのだろうか。

 

「オレ達を信用してくれて、ありがとうございます」

 

 いろいろ悩んでいるとツナが頭を下げた。慌てて、獄寺隼人、山本武、笹川良平が続くように頭を下げた。私もした方がいいのかもしれないが、気恥ずかしいのでやらなかった。……素直になれと心の中で自身にツッコミしてるので許してくれ。

 

「あの、サクラ……」

 

 呼ばれたので振り向けば、真剣な表情をしたツナがいた。彼の空気に飲まれたのか、気付けば私は姿勢を正していた。

 

「その、オレ達に力を貸してくれない?」

 

 なんだそんなことか。ちょっと緊張していた私は脱力した。

 

「別にかまわない。だが、私に出来ることはもうほとんどないぞ」

「そうなの?」

 

 コクリと頷き、口に出しながら指で数え始める。

 

「ギーグファミリーは無事だし、山本武の意識不明の重体は回避しただろ」

「ん? オレ?」

 

 驚いてる山本武はスルーする。

 

「今更クローム髑髏を人質に取ることはないだろうし」

 

 ツナ達はここに来た時に獄寺隼人達が居なかったのは、念のためにクローム髑髏とランボを保護するために動いていたからだしな。

 

「コヨーテ・ヌガーの死亡も回避した」

 

 9代目の周りが少しざわついたが、正直いって、これに関しては私の中ではついで感覚なのでこれもスルー。

 

「敵を誘き寄せるために開いた継承式でツナ達がボロボロになるのも防いだしな」

 

 そこそこ回避出来たなと思わず自画自賛するように何度も頷く。すると、いつの間にか視線が集まっていた。

 

「な、なんだ」

「みんなサクラにお礼をいいたいのだよ」

「……それならディーノに。私は彼に説得されなければ、ここまで動かなかったし、実際に手を回したのは彼だ」

 

 兄に対しても言えることかもしれないが、恐らく兄はそこまで動かなかっただろう。私を何よりも優先するからな。細かな調整や手回しはしない。

 

「バーカ。お前がいなきゃ、オレは何も出来なかったんだ」

 

 そう言って隣にいたディーノが手を伸ばして撫でてくれた。が、私は1つ文句がある。

 

「褒めてるなら、バカはないだろ」

「事実だからなー」

 

 あまりにもニコニコしながら言ったので、毒気を抜かれた。そして、ディーノの顔を見て彼のことを思い出した。

 

「雲雀恭弥は説得出来そうなのか?」

 

 ディーノが問題ないと言ったので放置してたが、まだ姿を現さないので心配である。今回、山本武がやられなかったので雲雀恭弥が動く理由はないのだ。

 

「恭弥が来ねー方がおかしいぜ」

 

 私の知らないところで何かあるようだ。ディーノが軽い感じで答えてるし、必ず来るのだろう。しかし理由はなんだろうか。首をかしげると兄が私の肩に手を置いた。どうやら兄も心当たりがあるようで教えてくれるようだ。

 

「彼はサクラのために来るのさ!」

 

 兄の言葉にギョッとした。私のために彼が動くとは思えないのだが。そもそも理由がない。兄は勘違いしてるんじゃないだろうか。兄みたいに全員が私に甘い訳がないんだぞ。

 

「この件を解決しなければ、サクラが学校に通えないんだよ。彼が動く理由には十分さ」

「ああ、学校の風紀のためか」

 

 私のためと兄が言うから、驚いたじゃないか。風紀のためと正確な情報をいってほしい。兄に呆れて溜息を吐いているとディーノが先程と違って難しい顔をしていた。

 

「ディーノ?」

「……いや、オレの思い過ごしならいいんだ」

「フラグがたった」

 

 ディーノが残念な子を見るように視線を送ってきた。……どう考えても私は悪くない。悪いのは妙な言い回しをしたディーノである。

 

「……まっ、恭弥なら大丈夫か」

 

 怒らなかった自身を褒めてやりたい。なぜならフラグをへし折ろうとした先程の私のツッコミを、ディーノが今の発言で無に帰したのだ。

 

 今度は兄と私がディーノを残念な子だというような視線を送り、加えて溜息も吐いたのだった。

 

 余談だが、なぜかロマーリオは爆笑していた。場所が場所なので口を手で押さえていたが、あまり意味はない。

 

 気を取り直して、私はツナと向き合う。

 

「大事なことを伝え忘れた。古里炎真は家族を亡くしている。で、その犯人は君の父親と思い込んでいる」

「えっ!」

 

 私の言葉にツナだけでなく、この部屋にいる全ての人物の視線を集めることになった。

 

「『血の洪水事件』といえば、聞き覚えがあるんじゃないのか?」

 

 事件名を呟くように復唱した9代目がしばらくすると思い出したようで顔色をかえた。その時、パタンとドアが開いた音が聞こえ、視線だけ動かす。現れた人物をみて、少し悩んだが当初の予定通り話すことをした。

 

「『血の洪水事件』については別に深く知る必要はない。犯人は沢田家光ではないしな。ただ、ツナは憎しみを古里炎真から向けられる。そして君が何が正しいのかわからなくなったところを……雲雀恭弥が導く未来があったが、まぁいいだろう?」

 

 本人に問いかければ、軽く溜息を吐いた後に口を開いた。

 

「場所はどこ?」

「太平洋にある無人島としか私は知らない。9代目が集めた情報で詳しくわかる」

「そう」

 

 雲雀恭弥の問いに答えていると、ツナ達が私と雲雀恭弥を交互に見ていた。

 

「なんだ?」

「いや、えっと、その、サクラはヒバリさんと仲がいいんだなーって」

「今のどこをみて、そう思えるんだ……」

 

 つい呆れたようにツッコミしてしまった。

 

「え? でも……」

「君は彼に質問されて、黙秘出来るのか?」

「……ハハハ」

 

 笑って誤魔化したな。まったく、話してはまずい内容の時の私の気持ちを少しは考えてほしい。例えば、今回の件でいうと六道骸について、とか。

 

 教えたことにより、六道骸が復讐者のところから出れるフラグを折りそうだからな。そうなると後々困る羽目になりそうで話せない。それにも関わらず雲雀恭弥に睨まれる未来がやってくるかもしれないのだ。

 

 つまり問題なければ、進んで答えたくなるのは当然でもあるのだ。

 

 つらつらと考えていると、雲雀恭弥が現れたことで条件が整ったのか、たまたまなのかは知らないが、ふらっとタルボじじ様がやってきた。彼は私の知識でも謎の多い人物である。だが、悪い人物ではないだろう。後は任せた。というか、本当にやることがないのだ。

 

「お兄ちゃん、ヒマ」

「僕に任せたまえ! サクラの好きな作家の最新作があるよ!」

「流石、お兄ちゃん」

 

 目の前に出されたので、パシッと本を掴む。チラッとツナ達を見て大丈夫だろうと判断した私は本を開いたのだった。




次で継承式編は終わりかなー。
サクラがついて行く理由がないので、解決後までいっきに飛びますからw
本当に本編に入れなくてよかった…w

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