クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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継承式編の続きを書かないと言ったのはウソです。
いろいろ考えた結果、更新はゆっくりになりますが書くことにしました。

時期系列を勘違いしたので、前の2話分を若干修正しています。
ディーノさんはまだ無自覚だったw
前話の後書きに書いたのは完全にボツネタ扱いにしてくださいね。

後、継承式編のための伏線をはってないので、グダグダになる可能性があります。
おまけと思ってください。

では、覚悟のある方はどうぞ。


今なら

 ディーノの家で過ごして、しばらくたった。初めの方は自身の家と全く違うので戸惑った。側に護衛がいるのは多少経験があったので問題なかったが、食事の時には給仕されたり、生活に支障が出た時のために執事のような人が後ろに控えたりするのだ。

 

 何度かディーノにそこまでしなくていいと訴えたが、あまり効果はなかった。ボスにも関わらず、部下達に丸め込まれたらしい。でもまぁ部屋では1人きりにしてくれた。もちろん迂闊に窓には近づかないことなどの注意点はある。私が細かな注意点を守ると約束するほど、1人で過ごす時間がほしかったのだ。

 

 つまり部屋を一歩でも出ると何人も人がつくことになる。最初のうちは本当に嫌だった。

 

 だが、マナーなど何も知らない私を見ても、彼らはいやな顔ひとつしなかった。言葉遣いも普段ディーノに向けてつかってるようなものでいいという。興味本位で私が簡単なイタリア語を聞けば、丁寧に教えてくれる。

 

 ここまでお客様扱いをしてくれると、図々しい私は慣れてしまった。いや、私でなくても慣れてしまうだろう。それほど彼らは私が気をつかわないように最大限の配慮をしてくれている。戸惑う時間は短かった。

 

 今ではむしろディーノの昔話をしてくれるので、彼らと一緒にいるのも面白いと思うほどだ。

 

 しかし、今日の兄からの電話で私は転校生がやってきたことを知ってしまった。

 

 兄からの連絡では特に何も起きていない。だが、とてつもなく不安だ。

 

「おーい、いるんだろ?」

 

 ハッと顔をあげる。ノックの音に気付かなかったようだ。慌てて部屋のドアを開けに行く。

 

「ごめん、遅くなった」

「それはいいんだ」

 

 ディーノの優しい声に泣きそうになる。意地でも泣かないが。

 

「外に出ないか?」

 

 首を横に振る。1人で過ごしたい。それにイタリア語バージョンの日本のマンガを用意してくれてるし、部屋にこもるのは苦痛ではない。

 

「まだ庭の案内をしてなかっただろ? オレの家は庭も自慢なんだぜ」

 

 危険を避けるためではなく、無理にでも連れ出す口実としてわざと案内していなかったようだ。気持ちは受け取って断ろうとしたが、珍しく強引なディーノに負けてしまった。

 

 

 

 確かに綺麗な景色だが、私の足は重い。見兼ねてディーノが私の手を引きながら話題を振るが、気の利いた返事をすることが出来なかった。

 

 しばらくするとディーノの足が止まった。私の足もつられて止まり、ディーノを見る。人のいいディーノでも生返事を繰り返す私に呆れてしまったのかも知れない。

 

「……逃げたわけじゃねぇよ」

 

 話がわからなくて首をひねる。

 

「お前がイタリアに来たのは逃げたわけじゃないんだ。あいつらのために、お前はここに来たんだ」

「……違う。私は死にたくないからここに来たんだ」

 

 ずっと考えないようにしていた。私はまたツナ達を見捨てたことを。兄に全て押し付けて私はイタリアに逃げたんだ。

 

「お前より、オレの方がお前のことをわかっている。だから、自分を責める必要はないんだ」

「……私より?」

「ああ。桂よりは負けるかもしれねぇけどな」

 

 それはそうだろう。兄に勝つのは無理だ。

 

「今、勝つのは無理って思っただろ」

 

 ディーノのほんの少しムッとしたような声に気付けば笑っていた。

 

「笑ったなー。よし、近いうちに桂を追い越すからな!」

「ディーノが兄のような変態になったら困る」

 

 意地になったディーノに思わず真面目にかえしてしまった。すると、今度はディーノが笑っていた。

 

「……ここでもお前に出来ることはある」

 

 何がいいたいのかわからなくて首をひねる。

 

「イタリアに居ても、お前ならツナ達の助けになることは出来る」

 

 そうかもしれない。私には知識がある。相手は私が未来を知っているとわかっているかもしれないが、どんな未来を知ってるかはわからない。

 

 兄を救い終わり役目が終わったはずの知識だが、私はまだ未来を知っている。この価値を私は理解しているつもりだ。……苦しめられているからこそ。

 

「……ディーノ、力を貸してくれ」

「ああ」

 

 その言葉を待っていたように彼は返事をした。

 

 

 

 

 部屋に戻りディーノと2人で話し合う場をつくったが、彼には兄とは違って詳しく話すつもりはなかった。兄のように言葉を濁して通じる可能性が低かったのもあるが、必要性をあまり感じなかったからだ。

 

 ディーノは全て話してもらって動きたかったかもしれない。しかしその立場で兄がもう動いている。優秀な人物を同じ立場にするほど、余裕はない。私が兄のように信頼できる人物は少ないのだから。

 

 ……それに私に甘すぎる兄以外の意見もほしかった。

 

「今回は未来へ行った時よりも危険だ」

「あの未来よりもか……」

 

 知識と違いディーノは記憶ではなく、白蘭の怖さを肌で感じている。だから今回の件の危険さがわかりやすかっただろう。

 

「まず敵対する相手に、私の能力などがバレている。10年後の記憶が流れてしまったんだ」

「わかった」

 

 ディーノが驚かなかったところをみると、私がイタリアに逃げた時点で予想していたのだろう。

 

「その敵対する相手と和解した方がいい」

「……和解か」

 

 未来編と違い、継承式編は倒せばいいという話だけではない。ツナ達のこれからを考えるなら、後に仲間になる白蘭よりも、大空の7属性と対になり、ツナ達が話しかけやすい彼らの方が仲間にしたほうがいいからだ。

 

 ……本当に今から考えると未来編は楽だった。

 

 昔の私と違って、今は頼ることが出来る。もし知識を得てすぐの時に私がもっと素直だったら、入江正一が持っている10年バズーカを奪う方法を選ぶことも考えただろうし、ディーノに頼んで白蘭を探してもらい監視してもらえばよかった。倒せばいいだけの白蘭は、私がもっとも攻略しやすい相手だったのだ。……もっともあの時はそんな選択は考えられなかったが。

 

「お前のその言い方だと、和解出来なくてもいいんだな。だけど、お前が知ってる未来では和解しているってところか……」

 

 ディーノの言葉に頷く。

 

 私は知識でしか知らないシモンファミリーより、ツナ達やリボーンの方が大切だからだ。シモンを倒してしまえば、私は後悔する心が残ることになるだろう。それでも私はツナ達が死に、リボーン達の呪いが解けなくなる未来よりはずっといい。

 

「ディーノの協力があれば、今なら簡単に倒せる」

 

 兄とは違い、ディーノは炎の攻撃でD・スペードを倒せる。第8属性の炎を得てない今なら逃がすことはない。倒すということになれば、D・スペードは加藤ジェリーをのっとっている状態なのでシモンとは和解することは出来ずに、倒すことになるだろう。でも今ならまだツナ達に残る心の傷は少ない。

 

 そしてもしシモンを倒してしまった場合、リボーン達の呪いを解くのは難しくなるかもしれない。復讐者と接触できるタイミングがわからなくなるからな。だが、復讐者と違って、シモンは絶対に必要なキーではないのだ。

 

 ……まぁ代理戦争で戦わずに復讐者が私の話を聞き、協力してもらえるのが前提条件になるが。争いになれば、シモンがいないと確実に負ける。

 

「ディーノには、この選択を先にして欲しい」

 

 私が1番傷つかない道を選ぶと決まっている兄には、この選択を迫る必要がなかった。だが、ディーノは違う。

 

「わざわざ答える必要があるのか?」

 

 ディーノが私が傷ついてもいいと思っているわけではないことを知っている。それでも、選択を迫らない理由にはならない。私を第一に考えている兄と、私やツナ達を大事にしているディーノでは、答えは違ってくるからだ。

 

「最後まで話を聞け。まず和解した場合のメリットを話すぞ」

「ああ」

「ツナ達が大幅に強くなる。リボーンが幸せになる確率があがる。ツナ達に心強い味方ができる。精神的にもだ。……後、私が知っている未来の知識がもうすぐ終わることも考慮した方がいいだろう」

 

 ディーノが驚いたような顔をした。そういえば、いつまで私が未来に関する知識があるのか話したことがなかった気がする。まぁ今はそれはいいだろう。

 

「細かいのをあげればキリがないだろうが、大きくはこの3つだと思う」

「そうか」

 

 私の頭で考えているので、何か見逃してる可能性もあるけどな。当然ディーノもわかっているので、わざわざ言わない。好き好んで自身で私の頭の残念さを説明したくはない。

 

「問題は和解に至るまでの危険性」

 

 これだけのメリットがあるにも関わらず、私はディーノに選択させようとしている。それだけでディーノはデメリットの大きさに気付いているのだろう。彼はジッと私の言葉を待っていた。

 

「私の知っている未来では、和解までに笹川了平が回復させることが出来ないほどの怪我を……山本武がおった」

「なっ!?」

「とある方法で怪我は治ったぞ。その未来では、な」

「…………っ!」

 

 もう気付いたのだろう。私と一緒に居れば、ディーノは頭がいいからな。

 

「でも、その未来には私がいない――」

「言うなっ! もう理解した! だから言わなくていい!!」

 

 いつの間にか、私はディーノに抱きしめられていた。

 

 本当に彼は優しい。私の……――私達の負担を少しでも軽くしようとしてくれる。だからこそ、ディーノには最後まで話さなければならない。逃げたわけじゃないと言ってくれたから。

 

「――……つまり兄も居ないんだ」

 

 兄は回復に特化した匣兵器を持ってて、生命維持も出来る。それにユニの件が特殊だっただけで、肩代わりをしたとしても兄ならばすぐに治る。

 

 そして兄の死ぬ気の量は多い。心臓にナイフが刺さった私を生かすことが出来るほど。

 

 D・スペードはそれを知っている。

 

「今なら、倒せるんだ。兄には無理でも、この話を聞いたディーノなら……」

 

 シモンとD・スペードを救えず、私が傷つくかもしれないが、今ならツナ達は誰も傷つかない――。




はっはっは。
あまーーい話だと思っただろ。
シリアスじゃないと誰が言ったぁぁぁ!



……すみません、意味不明なキャラになりました。
たとえおまけでも続きを真面目に書けば、甘い話だけにはならないのです。

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