クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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そうぐう

「暑い……」

 

 私はとある目的のためにおこづかいをもち、自転車で本屋に向かっていた。今日は獄寺隼人とビアンキが再会する日なので、原作キャラは沢田綱吉の家にいるか、並盛神社近くにいることになる。更に情報収集をした結果、山本武は野球の試合をしているらしく学校にいる。つまり心置きなく外に出れる日なのだ。

 

 しかし、この暑さは想定外だった。原作キャラと会わないように遠回りしたのが、精神的につらい。このままではジリジリと削られ、ひんし状態になってしまう。自転車を降りて、私はおこづかいを使い、自動販売機でおいしい水を買った。

 

 ゴクゴクと喉を鳴らしながら1度で全部飲んでしまったが、ミネラルたっぷりでおしいかった。元気になったため、また店に向かおうとしたが、念のためにもう一本購入した。もったいないと思ったが、倒れて家族に心配かける可能性を考えると買うことを選択したのだ。大事にバッグにしまい、再び店に向かった。

 

 

 

 わざわざ遠回りしたかいがあったのだろう。無事に原作キャラとは会わず目的地にたどり着いた。自転車から降り、店に入ろうとした時に事件が起きた。私の行く手を阻むかのように店の前に雲雀恭弥が現れたのだ。正確には彼のスピードがはやく、私には雲雀恭弥が本屋のわき道からとびだしてきたとしか思えなかったが。

 

 後一歩と表現してもいいだろう。もう少しで店に入るというところで現れた彼は、私のライバルなのか!?と一瞬だけ思ってしまった。一瞬だけの理由は力の差がありすぎる私とではライバルになるとは思えなかったからだ。それに彼は野生な気がする。並盛全域が彼の出現場所だしな。

 

 ……なぜ私は空を飛べなかったのだろう。空を飛べないのは諦めるが、なぜ自転車を乗ったのだ!!と後悔した。

 

 後悔しても状況は良くならないので、私はすぐさまにげるを選択したが……にげれない!!

 

 足が思うように動けなくなり、にげるという選択が出来ない。諺の蛇に睨まれた蛙というのはこういうことをいうのだろう。私はレベルの差を身体で感じ、恐ろしくて動けないのだから。

 

 にげるの選択が出来ないのならばと思い、私は今持ってる物を頭の中で思い出す。しょうがないだろ。後ろに控えがいないのだから交代も出来ないんだ。たたかうは論外だ。

 

 少し期待をしながら思い出したが、やはり私のてもちにボールはなかった。……ボールがないことをまた後悔するとは思わなかったな。まぁ例えボールがあって全て上手くいったとしても、彼が言う事を聞くとは思えないが。うん、絶対聞かないな。

 

 ……おこづかいがあるな。しかし、彼にお金という賄賂を渡しても気に食わなければ咬み殺される。当然、私は目の前が真っ暗になって意識を失い、そのまま病院か家に運ばれるのだろう。そして目覚めた時にお母さんが私の心配をしているだろうというところまで想像がつく。もちろんお金はなくなってる。せめて半分にしてほしい……。彼の場合は全額持って行く気がする。私はバトルにはおこづかいは役に立たないということを身をもって理解した。

 

 やはりどうぐだ。

 

 ふしぎなアメがある。しかし、これは私が勝手にその名称で読んでいるだけだ。食べてレベルがあがれば、99個以上食べたことがある私は彼から簡単に逃げれる。残念だが、このアメには特殊な効果はないのだろう。

 

 次に思い出したのはおいしい水。だが、これも使えない。彼の一撃で私はひんしになる自信がある。せっかく買ったが意味は無かったな……。

 

 にげれない。後ろに控えはいない。どうぐはない。……たたかうしかない。

 

 私は腹をくくった。これだけはしたくなかったし、緊張して喉が乾いているが、気にしてはいられない。もう私にはこの道しか残っていないのだから……。

 

 私は互いの手の平を重ねて胸の前に持っていけば、彼は少し反応した。が、攻撃は仕掛けてこなかった。これならば成功する可能性が高い。

 

「……暑い中の風紀活動お疲れ様です。雲雀さんもこの店に用事ですか?」

 

 ……痛みは来ない。つまり彼は攻撃を仕掛けてこなかった。私の考えた通り、彼の強さならカウンターでも問題なかったと思ったのだろう。だが、甘いな。私が使ったこの攻撃ではカウンターは発動しないのだ。そもそも、相手の方がすばやさが大幅に上なのだ。彼がカウンターを選択した時点で、不発になる可能性が高いというのはわかっていた。少し詳しく語れば、すばやさの差がありすぎると、カウンターを選択しても後攻にならず先攻になって失敗するのだ。彼は私の弱さと攻撃の種類を計算しなかっため、このターンで私は無傷だったのだ。

 

 と、いろいろ心の中で威張ってるが、本当に私はこの技は使いたくなかった。だが、もし相手が後攻になった場合の対策としてこの技を出すしかなかった……。私は生き残るためにこの技を使うことを選択したのだ。もう何の技かわかってると思うが念のために教えよう。

 

 しっぽをふるだ

 

 しょうがないだろ!レベルが低い私が使える技は少ないんだ!

 

 少し逆切れしながら雲雀恭弥を観察したが、態度はかわらない。相手のレベルが高すぎるのだ。私のしっぽをふるでは油断を誘うことが出来なかったようだ。それでも私はしっぽをふりつづけるしかない。やめた時点で咬み殺されるのはわかってるからな。

 

「……君、名前は?」

「っ!?」

 

 なんという美声攻撃!!危うく私は油断して「咬み殺してください」と言って、新しい道に進むところだった……

 

「聞いてる?」

 

 冒険はまだまだ続く……。と、一瞬頭をよぎってしまった。そっちの冒険はダメだと必死に自分に言い聞かして何とか正常に戻ったが、この状況はどういうことだ?連続攻撃は私がひるんだせいだろう。声だけでひるませるとは……。

 

 それにもしかするとさっきの症状は、こんらん状態だったのかもしれない。雲雀恭弥はかなり危険だな……。もう少し自分の状態を確認したいが、今はこの状況を考えよう。

 

 なぜ彼は私の名前を聞くのだろう。変な行動をしたとは思えないが……。彼を観察すれば、早く返事をしないとまずいのがわかった。

 

「……モブキャ……神崎です」

 

 事実を述べようとすれば、なぜかトンファーがチラッと制服の袖から見えので、慌てて苗字を名乗った。それでもサクラという名前は教える気はなかった。死亡フラグがたつからな。

 

「そう。じゃぁね」

 

 私の苗字を聞けば彼は店に入らずどこかに去って行った。一体なんだったんだ……。私は雲雀恭弥が見えなくなるまで一歩も動けなかった。彼は謎過ぎる……。私の質問も無視したしな。だが、1つだけわかったことがある。

 

 私は彼からうまくにげれたようだ。

 




今回の反省、ボケすぎたww
1番好きなキャラだから気合が入るんです(なんか違うw

雲雀さんの謎の行動の意味はもう少し待ってください
でもあまり期待しないで……

ボツネタ。雲雀恭弥の目=くろいまなざし
(レベル差で逃げれなくなるほうを採用したため)

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