①は「綺麗な花火」の最後に入れ忘れた話。
②は「花より団子」の時に思いついた話。
こぼれ話(2つ)
こぼれ話①
熱にうなされながら「原作には迂闊に関わらない」とブツブツと呪いの言葉を吐く。この前、雨に濡れたときは問題なかったのに、なぜ今回は風邪をひいたのだ。あの時は気をつけていたからかもしれない。
「サクラ、大丈夫かい……?」
不安そうに部屋に入ってくる兄に大丈夫という意味で手をあげる。しかし、兄は通じなかったようで辛そうな表情をし私の手を握る。
「僕にもっと力があれば……」
「……ただの風邪。すぐ治る」
あまりにも不安そうだったので笑いながら声をかける。
「……うん。わかったよ。今日も彼らが来てくれたようだよ」
「ん。聞いた。早く治すために寝るよ」
「僕が眠るまでそばについてるよ」
普段なら追い出すのだが、今回は甘えることにする。
「……いつもありがとう」
ボソッと呟いて寝ることにする。兄の喜んでる姿を見るのが恥ずかしくなったのだ。その後すぐに私は眠りに落ちた。
夢の中だったが、ずっと兄の手があたたかく感じた。
こぼれ話②
一体これはなんだ?と思い、首をひねる。
「あ、あの……今日はホワイトデーだから……」
それはわかっている。今日は兄が家の前でお返しをばら撒いていたからな。ちなみにランボが受け取っていたのは見ないフリをした。意味がわかってないと思ったからな。
……話を戻すことにする。沢田綱吉はなぜ私に渡すのだ。私はバレンタインに何かあげた記憶がないぞ。
「もしかして……気に入らなかった……?」
不安そうな顔をしていたので、思わず受け取ってしまった。沢田綱吉は安心したような表情をしたので、今更返すわけにはいかない。有り難く貰うことにする。
「……あけていいか?」
「うん! いいよ!」
会話が続かず、袋をあけることにしたのはいいが、不安そうな視線を感じ失敗した気がした。開けてみると有名な店のホワイトチョコだった。もの凄く嬉しいのだが、意外と値段がするのを知ってるので戸惑う。悩んだ末、1つずつラッピングされていたので手に取り沢田綱吉に渡す。
「え?」
「あげる。一緒に食べた方が美味しいから」
「……ほんとにいいの?」
首を縦に振り、手のひらに乗せる。沢田綱吉が気にせず食べ始めたので私も食べる
「美味しい。ありがとう」
「オレの方こそありがとう。バレンタインのお礼だったのに……」
「気にするな。元々、あれはバレンタインじゃなかったし」
そういいながら休憩時間に2人で交互に食べていると男子の視線を感じた。
「……悪い」
次の休憩時間ぐらいに、彼は男子に囲まれると思ったので謝る。彼はよくわかってないようで「どうしたの?」と聞かれたので、誤魔化した。……笹川京子にはフォローしておくから許してくれ。
何とかフォローを終えて家に帰ると兄のばら撒きが終わっていたようで、普通に家に入れた。
「サクラちゃん、荷物届いてたわよ~」
「ん。わかった」
一体、なんだろうか。ネットでマンガを注文した記憶はないのだが……。箱を見てみるとディーノからだった。なんだろうかと思い、箱を開ける。
「おお。クッキーだ」
ホワイトデーということで送ってくれたらしい。理由は沢田綱吉と同じなのだろう。海外ではホワイトデーがないのにマメである。もてるはずだ。と、思いながら素直に喜ぶ。ディーノは沢田綱吉と違い『ボス』である。これぐらいのお金ならば気にならないのだ。
モグモグと食べていると兄がやってきた。そして「お返しさ!」と、いってケーキとネックレスを渡される。……50円ぐらいの物を渡したはずなのに恐ろしいことになった。
「……多すぎる」
「今年はライバルが多いからね!」
全く反省したように見えなかったので諦める。その代わり、今度どこかに出かけようと約束することにした。兄が嬉しそうに踊っていた。……埃が舞ったことにイラっとし、つい怒ってしまった私は悪くない。