Son of a witch 2   作:エクスカリバー(意味深)

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Chapter 4-2

ーーーーー夢を見た。

 

夕焼けの中野原に黄昏ている2人の男女の夢を。

 

顔は見えなかったけど、どこか見覚えのある雰囲気はただただ静かに黄昏ていた。

 

ふと、女性が立ち上がり歩き出す。

 

「ーーーーーーー」

 

男がどこか聞き覚えのある声でその女性のことを呼び止めようとした。

 

その女は振り返ったけど、

 

それでも顔はよく見えなかった。

 

でもその女性は笑っていた。

 

その笑顔はどこか懐かしくて

 

そしてどこか安心する、

 

そして女性は再び前を向き、歩き出した。

 

そんな夢を見ていた。

 

 

「ーーきーーーい。ーーうーーー。」

 

「ーうーさでーよ。」

 

寧々「起きてください。柊史君。」

 

柊史「ん……?寧々……?」

 

どうして?と聞こうとして思い出す。そういえば昨日無理言って泊まってもらったんだった。

 

柊史「おはよう寧々。昨日はよく眠れた?」

 

流石に同じ部屋で寝る訳にもいかず、親父が「もしかして父さん…今夜はどこかに泊まった方が良かった…?」なんて言い出したのでオレはリビングのソファーで寝ることにしたのだ。

 

寧々「えっ…!?あっ…!!ハイ!昨日は部屋を貸してくれてありがとうございます柊史君!」

 

なんだろう…今一瞬綾地さんから甘酸っぱい味を感じたような…

 

寧々「そ、それより朝ご飯もうできてますよ!早く準備をしてきてください!!」

 

柊史「わっ!?ちょっ!?寧々!?」

 

寧々に背中を押され、無理やりリビングから出させられる。

 

柊史「なんだアレ…?」

 

オレは変な疑問を抱えながら朝の準備を始めるのだった。

 

 

目を瞑り感覚を集中させる。

昨日感じた凍てつくような殺気は感じられない。

昨日のアレはなんだったのか。

勿論あそこまでの殺気を向けられる事に心当たりなんて…

 

海道「おはよう、柊史!綾地さん!今朝は一緒に登校?本日もアツアツで羨ましいねぇ!」

 

…無いとは言い切れないか。

寧々と学校を抜け出してデートに行ったあの時以来多少なりとも嫉妬を受けてはいる。

でも今まであそこまでの殺気を感じることなんて無かった。

 

柊史「なぁ海道。女を取られたからって殺したい程相手を憎むことってあると思うか?」

 

海道「殺したい程か…?さぁ、分からないけどあるとしたらよっぽどその女の人の事が好きだったんじゃないかね?」

 

柊史「そうか…」

 

綾地「柊史君?何の話をしているんですか?」

 

柊史「いや、何でもないよ寧々。前に見たドラマの事を思い出しただけさ。」

 

帰りに少しあそこに寄ってみるか…

 

 

柊史「こんにちは」

 

七緒「いらっしゃい。おや…君は…」

 

放課後、オレは寧々を家まで送り届けた後シュバルツ・カッツェに寄っていた

 

七緒「今日はあの彼女は一緒じゃないのかい?」

 

柊史「ええ。今日は仮屋はいないんですか?」

 

七緒「あぁ。今日は彼女は非番だ。もしかして彼女に用があったのかい?」

 

柊史「いいえ。今日は貴方に用があって来ました。」

 

七緒「私に?」

 

柊史「ええ。『アルプ』としての貴方に。」

 

オレは真剣な顔になって彼女に向き直った。七緒さんもそれを受けて真剣な表情になる

 

七緒「今日はもう店仕舞いにしよう。コーヒーで良いかい?」

 

柊史「はい。ありがとうございます」

 

七緒さんは店を閉め、静かにコーヒーを淹れていた。

 

柊史「気付いていますよね?オレたちのこと。」

 

七緒「ああ。君達からは少しだが魔力を感じた。君達はもう、契約を終えた魔女達なんだろう?」

 

七緒さんから嘘を付いているような味はしない。本当に覚えていないのか。まぁ寧々と七緒さんが出会ったのは寧々の両親が離婚した後だから当然と言えば当然なのだが…

 

柊史「まぁ、そんなところです」

 

七緒「どうぞ。冷めないうちに。」

 

柊史「ありがとうございます。」

 

七緒さんが淹れてくれたコーヒーを啜る。やはりいつも寧々が淹れてくれる味に似ているがオレには寧々の味の方が好みかな。

 

柊史「ご馳走様でした。」

 

七緒「おや、もう帰るのかい?」

 

柊史「はい。確認したいことはし終えたので。コーヒー美味しかったです。また来ます。」

 

御礼を言って店を出ようとドアノブに手をかけようとしたがドアが1人でに開き、外から1人の男性が入ってきた

 

男「あれ?もう店仕舞い?」

 

男は如何にも黒!って感じの服に身を包みフードを被っていて顔はよく見えなかった

 

柊史「はい。今日はもう店仕舞いらしいですよ」

 

七緒「いや、良いんだ。その男は私の知り合いでね。」

 

柊史「そうなんですか。じゃあオレはこれで失礼します」

 

七緒「あぁ。またのご来店を」

 

店を出て帰宅路に着く。本当はオレが寧々と出会う前に寧々を憎んでる人がいなかったかどうか確認したかったんだが、アテが外れたな…

 

 

男「今のは?」

 

七緒「何、君には関係ない人間さ。」

 

男「ふーん。」

 

七緒「それで、君は何の用だ?」

 

男「ちょっと人を探してるんだ。綾地寧々っていう女の子なんだけど、知らない?」

 

七緒「知らないな…?その女の子がどうかしたのかい?」

 

男「いやぁ、そっちには関係ないことさ。じゃあ帰るわ」

 

男は聞くことだけ聞いて直ぐに帰って行った。

 

七緒「全く…せめてコーヒーの一杯でも飲んで行けば良いものを…」

 

七緒「綾地寧々…どこかで聞いたことがあるような…気のせいかな…?」


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