「どうも皆さん、作者のコンブ伯爵です。
前回投稿から数日だというのに1000UA以上入ったというのも嬉しいのですが、初めて評価を頂きました。
なんと9評価を2つも!
これ見た時私めちゃくちゃ嬉しくて、10分くらい発狂してふと我に返り、『何してんだ私...』ってなって筆をとった結果、意外と早く投稿することが出来ました。
今回は勢いで書いちゃった感あるので、誤字報告は遠慮なくお願いします。(前回『意外』を『以外』だなんて変換ミスを...)
...これをお伝えしたくて前書きを借りたのですが...電ちゃんがものすごい形相で睨んでいるので、ここらでおいとまさせていただきます。
それでは、本編へどうぞ。
...前書き出演、1回やってみたかったんだよな〜!」
「へ〜、提督とそんな繋がりがあったんだ〜。」
ふむふむ、と龍田は優しく微笑み、
「幸せ過ぎる貴女が眩しいわ...うっ」
山城は涙目で、
「つ、続きを聞かせてくれ!」
摩耶は食い入るように、
「うえぇ...ひっく、ううぅ...」
雷は号泣していた。
「そして、私と翔さんは“あの人”と出会うのですが────」
ブロロロロロ...と、エンジン音が外から聞こえる。
「────その話は...また今度、なのです。」
最後に軽く微笑んで、電はどこからか杖を取り出し、かつんこつんとリズム良く地面を叩きながら外へ出ていった。
∽
「司令官さん、春雨さん、おかえりなさい...なのです!」
こっちへ歩いてくる電を抱きしめてやって、よしよしと頭を撫でてやるとほんのりシャンプーの香りがする。
「ところで、どこに行ってたのです?」
「ああ、何も言わずに勝手に出ていってすまない。買出しに行ってたんだよ。」
むー、と少し電が唸って、
「春雨さん、司令官に変なことされていないのです?」
「ふえぇ?!へ、変なこと?
されて、無いですよ...?はい。」
「なんで疑問形なんだよ...大丈夫だ。」
座席を開いて、スーパーで買ってきた大量の食糧が入ったビニール袋を引っ張り出す。
「春雨、持って行ってくれ。」
「て、てつだうわ!」
工廠から涙目の雷が現れる。
...
「電...“話した”のか?」
「えっと、皆さんから言い寄られちゃって...えへへ」
少し申し訳なさそうにはにかむ電。
暴力的な可愛さだが、翔はもう慣れている。
「仕方ない。まあ、私も春雨に話してしまったからな。」
「お互い様なのです。」
「だな。」
HAHAHAHAHA☆
閑話休題。
ブロロロロ...と鎮守府の入口に入ってくるトラックを、憲兵さんが何やら引き止めている。
「部外者は立ち入り禁止だ!許可書はあるのか?!」
「憲兵さん、済まない。私が直接頼んだんだ。」
門まで走って、憲兵に説明する。
「な、なんと!
これは失礼いたしました。どう申し開きをすれば...」
他の鎮守府の提督という権威に酔っているクズなら、ここで叱りつけたり罰を与えたりするだろう。
しかし、その対応では20点。
じゃあどうするって?
「わかってくれたなら大丈夫だ。むしろ、仕事に忠実な貴方の姿勢は賞賛に値する。これからも頑張ってくれ。」
「......!!
お褒めの言葉、ありがとうございます。失礼致します...」
部下の失敗を理解し、敢えて褒めることによって寛容さとカリスマを魅せる。
上司からの信用だけでは世渡りはやっていけない。
部下からの信頼も得ることによって、より地位を堅いものにしていくのだ。
...などと達観してみたが、実は年齢は憲兵さんの方が余裕で上である。
山城たちにも少し手伝ってもらって家具は一旦外に、木材は鎮守府前に積んでもらい、トラックが帰っていったところであいつらの出番だ。
「おーい、妖精さんやーい!」
「へっ、人間が妖精を呼び出すなんて出来るわけ...」
うみがよぶ!
だいちがよぶ!
翔さんがよぶ!
どこからともなくぞろぞろと妖精さんたちが集まってきた。
私が連れてきた時よりも増えている。ここの鎮守府に元からいた妖精たちも仲良くなったのだろう。
ポカーンと口を開いている摩耶にドヤ顔を決める。妖精さんたちの胃袋はとっくに掴んでいるのだ。
「という訳で、君たちにはある程度の鎮守府改装を頼みたい。」
りょーかーい
ほーしゅーは...
“あれ”をたのむよ?
「うむ。“あれ”は改装後にあげよう。頑張り次第によっては、追加も期待していいぞ?」
ほう...
そのことば、
わすれるなよー
木材の束を頭の上に乗せ、鎮守府内へと駆け込む妖精たち。あの30cmくらいの体どこに、あんな力があるのだろうか。
鎮守府改装の目処も立ち、時間は一六〇〇。
「じゃあ、飯にするか!」
「はいなのです!」
昨日の朝からアイスしか食べていない翔はそろそろ空腹が限界に近づいていた。
...と、雷、春雨、龍田、摩耶、山城が翔の前に並ぶ。
「...何をしている?」
突然のことに驚く翔。
「何って...」
「お昼ごはんを貰いに来たのよ!」
雷が元気に答えてくれる。が、
「えっと、腹が減ってるのは分かるが、まだ具材さえ切ってもいないぞ?」
「飯なんか提督か第一艦隊の食うもんだろ?アタシたちはいつもパン一つをもらってたぜ?
あ!今この鎮守府には六人しか居ないから、アタシたちが第一艦隊みたいに飯にありつけるってか?」
「流石ね摩耶さん!」
「へっ、どんなもんだい!」
摩耶と雷が和気あいあいとしているが、どこか不穏なことを話している。
「あの、何か勘違いしてるかも知れないが...」
「皆さんが第一艦隊でもそうでなくても、司令官さんは全員に料理を振舞ってくれるのです。」
「「「「「...え?」」」」」
∽
全く使っていなかったからか、食堂内は案外きれいだった。
ほとんど刃こぼれしていない包丁でざくざくと肉と野菜を適当な大きさに切り、熱した鉄板に放り込んでいく。
ある程度火が通ったら、あらかじめほぐしておいたチャンポン麺を投入。
ちなみに麺は日本酒でほぐしてあり、熱すると沸点の低いアルコールは蒸発しやすいので仕上がりが水よりもベチャベチャしない。
市販の粉ソースをかけて適当に混ぜれば完成だ。
買ってきたプラスチック皿に分けていき、食堂にあった箸を渡す。
最後に翔が席について、
「いただきます。」
「「「「「「いただきます」」」」」」
∽
やはりあの夜殺さなくて正解だった。
私、山城は改めて思う。
どうやったかは分からないが妖精さんたちを動かし、前任が解雇されたあの日、他の仲間たちが破壊していった鎮守府の改装にまで手をつけている。
そして今、何日ぶりかの食事にありつけた。
私が不幸以外の気分になれたのは何ヶ月ぶりだろうか。
この焼きそばの中に毒が仕込まれているかもしれないと考えてしまう。
しかし提督はもしゃもしゃと食べている。
龍田と軽く目を合わせてから焼きそばを一口。
────美味しい。
今まで乾いたパンと水しか口にしていなかった私には、とても言葉に出来ないくらいに美味しい。
「提督、昨晩は殴りかかったりして...悪かったな。」
あんなに素直な摩耶を見るのは初めてだ。
雷と春雨も目を輝かせながらもぐもぐと食べている。
かわいい。
少し遅めの昼食を食べ終えてしばらくたったが、誰かが腹痛を訴えることはなかった。
本当に善意100%で作ってくれたのだろう。
あんなに美味しいご飯をまた食べられると思うと、なんだかふわふわとした感情が体を満たしていく。
────これが、“幸せ”というものなのだろうか。
後書き・摩耶様
「ここまで読んでくれた読者のみんな、ありがとな!
アタシは摩耶ってんだ。
何やらコンブの奴が発狂してたが何かあったのか...?
次回・サブタイトル予想『釣り糸で繋ぐ絆』。
なんだか外国の鎮守府の様子がちらっと出るらしいが...楽しみに待っててくれよな!」