あなたが手を引いてくれるなら。   作:コンブ伯爵

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翔「章管理が面倒だから削除したぞ。」

電「もっとお話が進んでからもう一度作るかもしれないのです。」

翔「んでもって、あらすじを少し変えておいた。」

電「やっぱり地名はあまり出すべきでないと思うのです...」

翔「それと、誤字報告があったから修正しておいた。」

電「報告して下さった読者様に、この場を借りて感謝するのです!」

翔・電「「ありがとうございます。」」

翔「それでは本編へ、どうぞ。」




6話 いらない艦娘

 

 

「......どうぞ。」

 

 山城の声が聞こえた。

 

 ガラガラと扉を開けて倉庫へ入る。

水増し修復材を使ってくれたのだろう、みんなある程度の傷は癒えている。

 

 「お前は昨日の...」

 

 と、どうやら襲撃者は目覚めていたようだ。肩にかかる程の長さの茶髪に軽いつり目。

高雄型三番艦、摩耶だ。

 

「昨日はすまなかったな。」

 

「フンっ!」

 

 例にもよって印象は良くない様子。

 

 ...まあ仕方ない、これからだ。

 

「今日は君たちに紹介したい子がいる。...出てこい、電。」

 

 翔を盾にするようにそっと姿を見せる電。やはり人見知りが出てしまう。

 

「い、電...なのです。かけ...司令官さんと同期で、軍学校を卒業してきたのです。

 よろしくおねがいします...」

 

 聞き取れるか分からない程の声を細々と出した電。それに対してみんなの様子と言うと、

 

「「「?!」」」

 

 唖然としていた。

 艦娘が人間に隠れるようにしているということは、すなわち自分ら同じ艦娘よりも人間に対して信頼を置いているということなのだ。

 

 皆が驚いている中、やはりと言うべきか。

 一人、前に進み出てきた艦娘がいた。

 

 

「電...なの?」

 

 

「その声は...雷お姉ちゃん?」

 

 後ろに控える山城たちを怖がりながらも、手を伸ばしてよろよろと近づき、ぎゅむと姉に抱きつく電。

 

「お姉ちゃん...お姉ちゃん...!」

 

 雷の顔を確かめるようにぺたぺたと触る電。

 最初はされるがままになっていた雷も、少し眉をひそめて電の顔を見た。

 

 いや、後々話すつもりだったが...『見てしまった』と言うべきか。

 

「電...あなた、もしかして────」

 

「────改めて話すつもりだから、今は...触れないでやってくれ。」

 

「そ、そういえば...あなた誰ですか...?」

 

 電を守るように抱きしめて、私に問いかける雷。

 

「昨日の夜、提督として着任した鞍馬翔だ。」

 

 “提督”と聞いて、びくっと龍田の背中に隠れている春雨の肩が跳ねる。

 さらに雷が尋ねる。

 

「あ、新しい司令官さん...ですか?」

 

「そうだ。まだまだ軍学校を出たばかりの未熟者ではあるが、電共々よろしく頼む。」

 

「!」

 

 “未熟”という言葉に反応する雷。

 視線を右往左往させてもじもじしながら...またも問いかけてくる。

 

「あの、司令官さんは...分からないことたくさんあるんですか?」

 

「ああ、恥ずかしながらな。」

 

 一応地図や艦娘たちの名前は頭に入れてきたが、実際に接さねば分からないこともある。

 鎮守府運営の方法も、艦娘たちがどうやって戦うのかも、敵がどんな奴なのかも、教本や動画でしか知らないのだ。

 

「その、司令官さんは、私...たちが、必要ですか?」

 

「ああ。迷惑かもしれないが、いろんなことを君たちに聞いて、頼っていくことになるだろう。」

 

「め、迷惑なことなんてないわ!」

 

「!」

 

 突然の強気な声にぴくっと反応すると、雷は「はっ!」と口を抑え...翔の顔色を窺う。

 

「...大丈夫だ。無理して敬語など使う必要はない。」

 

 そっと手を伸ばして、雷の頭を優しく撫でながら言う。

 

「あぅ...」

 

 うむうむ、妹に似て実に撫で心地がいい。

 

「あ、あの...司令官!

 分からないことがあるなら、私に聞いてもいいのよ?」

 

 

 

 ────私を、頼っても...いいのよ?」

 

 

 

「ふっ。頼られすぎて、逆に困っても知らないぞ?」

 

「......っ!、うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ∽∽∽

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────司令官、私に頼ってもいいのよ!

 

 ────あぁ?なに駆逐艦如きが出しゃばったこと言ってんだよ。

 

 ────え?

 

 ────ここは俺の鎮守府だから俺が何でも知っている。てかお前みたいなガキを頼りになんかする訳ねぇだろ。

 

 ────し、司令官...?

 

 ────そもそもお前、上官に向かってなんだその口の聞き方は。学校で何を学んできたんだよ低脳が...

 

 ────そん、な...なんで、そんなひどいこと...

 

 ────煩い、もうお前には用はない。目障りだ。さっさと失せろ。

 

 ────...う、ぁあ、うわああああああああ!!うあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ∽∽∽

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ早速だが、みんな入渠してくれ。昨日の夜、最低限ではあるものの妖精さんたちに掃除して貰ったんだ」

 

「お前、何言ってんだよ」

 

 鋭い声で摩耶が聞いてくる。

 

「あの気まぐれな妖精に、人間のお前が頼んだってかぁ?

 人間にも妖精を見ることが出来る奴がいるのは知ってるけど、艦娘であるアタシたちでも頼みごとはなかなか通らねぇんだぞ?」

 

 寝言は寝て言いな、と言わんばかりにそっぽを向く摩耶。

 

「生憎私は人間の身でありながら妖精さんを見て、話せるのだよ。そして堅い約束を結んだ。」

 

 元帥から頂戴した資金を少しばかり削ってな、と口の中で呟く。

 

「その点については、私も保証するのです。」

 

 ふふんと胸を張る電の言葉を聞いた摩耶はううむ、と唸り...

 

「どけ!」

 

 ...と言いつつも電をそっと避けて倉庫から出て、工廠の隣のドックに向かう。

 程なくして、なんじゃこりゃー!という大声が聞こえてくる。

 

「...ってなわけだ。」

 

 龍田と山城が顔を見合わせて、ほんの少しではあるものの...微笑む。

 

「まあ、なんだ...今までの分、ゆっくりと入ってきてくれ。」

 

 かくして。

 第七鎮守府生活、二日目の朝は風呂から始まった。

 




後書き・雷

「ここまで読んでくれた読者の...み、皆様、ありがとうございます!(チラチラ)
 章管理やあらすじ変更、色々あったけど柔軟に対応して頂けたら助かるわ!(チラチラ)
 次回、サブタイトル予想・春雨ちゃ...『春雨とお出かけ』!(チラチラ)
 もーっと読んでくれたっていいのよ?」





翔「ハイカットー!」

電「お疲れさまなのです!」

雷「電のカンペが無かったらマズかったわ!ありがとう!」

翔「次からは一人でやってもらうが、出来るか?」

雷「大丈夫!私にまっかせなさーい!!」

(メモを握りながら)

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