あなたが手を引いてくれるなら。   作:コンブ伯爵

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「どうも、作者のコンブ伯爵です。

作者がいきなり前書きに出るということは色々事情がありまして...はい。

受験のためしばらく2週間につき1話投稿にさせていただきます。

流石に私の未来を棒に振るのはダメだと考えました。ただでさえ遅い投稿ペースですが、どうかお待ちいただけると幸いです。

それでは、ごゆっくり本編をお楽しみください。






あと、今回二話連続投稿です。」



14話 回想の終わり、戦いの始まり。

 

 

 

 昔話を終えた電に、龍田が問う。

 

「...今、天龍ちゃんは何処へ?」

 

「私たちより一年早く軍学校を出たからな。

 ここではない鎮守府できっとうまくやっているだろう。」

 

「天龍ちゃん...」

 

 感慨深い表情を浮かべる龍田。

 やはり一度は姉と会いたいのだろう。

 

「...んで、どうやって戦うって言うんだ?」

 

 摩耶がタイミングを見て切り込んでくれる。

 

「確かに、相手には空母や格上の戦艦もいるんですよね?」

 

「その...私たち駆逐艦じゃ、至近弾や副砲でも中破してしまうと思います...はい。」

 

「い、妹に危ない目に合わせるわけには行かないわ!」

 

 山城と春雨、雷は、やはり電を演習に出したくないようだ。だが、

 

「その点も考えている。」

 

「どうか、司令官さんを信じてほしいのです。」

 

「「「......」」」

 

 不敵な笑みを浮かべる翔。

 電本人の意思もあって、黙り込む三人。

 

「────じゃあ、その作戦とやらを聞いてから判断しましょう?

 目の不自由な電ちゃんが輝ける戦術を持っているんですよね、提督?」

 

 龍田が期待と殺意の入り混じった視線で聞いてくる。

 

「あぁ。もちろんだ。────」

 

 

 

 翔が内容を伝えると、

 

「おいおい、思い切りギャンブルじゃねーか...」

 

「ああそうだ。でもな...ジャイアントキリング────

 下克上するには一発逆転ってのが必要なんだ。」

 

「この作戦はまだ勝率半々ですが...私と翔さんの軍学校時代は阿波踊りで綱渡りするような危険な賭けもしてきたのです。」

 

「「「......」」」

 

「納得してくれたな?

 じゃあここで解散としたいんだが...

 

 ────摩耶、ちょっと残ってくれないか?」

 

 

 

 ∽

 

 

 

「んで、アタシに何の用だ?」

 

 みんな自由時間の中少々気に障るが、とりあえず聞いてみる。

 

「次の戦いにおいて、最も重要なのは電もだが...摩耶、君もなんだ。」

 

「アタシが?

 なら対空目当てってことは予想できるが、こっちには航空母艦が居ないんだぜ?」

 

 航空母艦がこちらに居なければ、いくら対空に自信のあるこの摩耶でも流石に厳しいかもしれない。

 

「いや、敵は正規空母一人だ。全て撃ち落とせとは言わない。

 せめて、中破が出ない程度に粘ってほしいんだ。

 頼む...

 

 ────君しか居ないんだ。」

 

 片膝立ちになってアタシの手を取って頭を下げる提督。...なんというかこちらの方が申し訳なくなってきた。

 

「そ、そこまで頼まれちゃあしょうがねぇなぁ...

 どんな結果になっても、文句は言うんじゃねーぞ?」

 

 なんだか小っ恥ずかしくなって手を払い、言い残して執務室を出る。

 

 

 

 ────アタシしか居ない、か...

 

 あの時触られた手を眺めながら頭の中で提督の言葉を反芻すると、妙にむず痒い気持ちになる。

 

 でも、不快ではなかった。

 

「...って、乙女かっ!」

 

 一人ツッコミを決めて、恥ずかしさを原動力に自室で対空イメトレを始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 ∽

 

 

 

 

 

 

 ────お前、やっぱ必要ねぇわ。

 

 ────は?

 

 ────お前、対空に自信あるとか言ってたけどよ、そこらの戦艦に毛が生えた程度じゃねえか。

 

 ────それがどうしたってんだ。アタシ抜きで対空が務まるってか?

 

 ────あぁ。お前よりも出撃コストが低くてお前よりも対空値の高い駆逐艦手に入ってなァ...

 ...お前、用済みなんだわ。

 

 ────そっか...なら、アタシも引き下がってやんよ。アタシみたいな...

 

 ────お前みたいなガラクタいくらでも換えが利くからな。さっさと消えてくれ。俺の執務室にゴミを入れたくはないんだ。

 

 ────フン、言われなくても。あーあ、クソ提督の下につく必要が無くなるたぁ、肩の荷が降りてスッキリしたぜ。

 

 ────貴様!!

 

 言葉を無視してドアを閉める。

 

 

 

 

 ────ガラクタ、か。

 

 ────時代は進むもんな...

 

 ────もう海に出て、みんなを守ることができねぇのか。

 

 ────肩の荷が降りたってのに...なんで......こんなに............っ!

 

 ────う、ぁあ、うわあああああああああ!!あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 




後書き・春雨

「ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございます!春雨です。
 二話連続投稿ということですが...コンブさんは大丈夫なのでしょうか、はい。

 それと...この“第六鎮守府との戦い”が終わったら、しばらく投稿ペースが落ちるそうです。なんでも“受験”っていうのがあるそうで...

 そこの所、どうかご理解をお願いします...」

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