あなたが手を引いてくれるなら。   作:コンブ伯爵

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翔「二週間も空けてたらアイディアも浮かぶな。」

電「二週間も空けてたらから2日連投なのです!」

翔「それと2件、感想が来ていたな。」

電「とっても嬉しいのです!コンブさんも喜んでいたのです!」

翔「これでコンブの投稿ペースが上がればいいのだが...

...ってことで────」

翔・電『────本編へ、どうぞ。』


12話 翔の作戦

 

 

 

 

 みんなが自分の部屋を整えている間に、私は書類整理など秘書艦の仕事をこなしていた。

 

「お手紙が届いたのです。」

 

 私が戻ってくると、司令官がごそごそと本棚を探る音が聞こえる。

 

「何かあったのです?」

 

 伸縮式の杖をしまって、司令官の服をちょいちょいと引っ張る。

 

「うむ。格上の相手と演習することになった。

 ────この鎮守府を賭けて。」

 

 ...もし摩耶さんがこんなことを聞いたら『はぁ?!ふざけんじゃねぇ!』とか言って殴りかかっているだろう。

 

「わかりました。

 皆さんにも伝えてくるのです!」

 

 狼狽えることなく返事をする。

 電の司令官...いや、翔さんが勝負をするのだ。

 心配することなど、何も無い。

 

「大丈夫、後で館内放送を入れる。

 まずは相手の鎮守府の情報を手に入れてから作戦会議と訓練に移ろうと思っている。」

 

「了解なのです!」

 

「よし。じゃあ電、あとは自由にしてくれ。」

 

「はい、お疲れさまでした。」

 

 一六〇〇、日が傾いてきたかという頃合いに秘書艦の任務を終了。

 公務員も驚きの早上がりだが、まともな鎮守府運営ができる最低限も整っていない第七鎮守府では仕方のないことである。

 自由になった電は、ソファーに寝っ転がって資料を読んでいるであろう翔に抱きつく。

 ぽふん、といつものように翔も受け止めて、頭を撫でてくれる。

 

 目を閉じて、翔の身体に身を委ねる。

 至福のひとときを味わいながら、ゆっくりと意識を手放す────

 

 

 

 ∽

 

 

 

 

 約一時間後...

 

『あー、あー、マイクチェック、マイクチェック。聞こえるかな?アメンボ赤いなあいうえ───』

 

『余計なことはいいからとっとと話すのです!』

 

『すまんすまん、

 ────えー、三日後に第六鎮守府との演習が決まった。

 今日より作戦会議及び訓練内容を伝える。

 至急、司令室へ集合してくれ。』

 

 摩耶が部屋でゴロゴロしていると、大きくもなく聞きづらくもない微妙な音量で放送が流れてきた。

 

 自分の部屋の掃除や荷物運びを終えてゆっくりしていたのだが、アイツの呼び出しとあれば話は違う。

 

「ん〜〜〜、よいしょっとぉ...!」

 

 背中を伸ばして、弾みをつけてベッドから起き上がり、司令室へと向かう。

 

「入るぞー!」

 

 ノックは無しで踏み込むと、すでにアタシ以外のみんなが集まっていた。

 

「よし、全員揃ったな。

 まず、三日後に演習があるんだ────」

 

「また突然な話だなぁ。

 ま、最近体がにぶっていたから丁度いいぜ!」 

 

「────この鎮守府を賭けて。」

 

「はぁ?!ふざけんじゃねぇぞ!」

 

 反射的に殴りかかるが、まるでわかっていたかのように電が割り込んでくる。

 

「まあ落ち着いてくれ。

 この鎮守府を賭けるということは、その分見返りも大きいというわけだ。

 そして今回の戦い、電が鍵になるんだ。」

 

「電ちゃんが...どういう事なんですか?」

 

 山城が提督に問う。

 ...アタシも引っかかっていたことだ。

 

「その、言うのも悪いかもしれないが...その目じゃあ艤装による身体能力増強の恩恵を受けても、砲雷撃戦なんかまともに出来ないはずだろ?」

 

「砲雷撃戦が出来ないのなら、砲雷撃戦なんかしなくていいんだ。」

 

「「「...は?」」」

 

 とうとうとち狂ったのだろうか。

 給糧艦など一部を除いて、砲雷撃戦をしない艦娘はまず居ない。

 作戦があるのかもしれないが...船速と雷撃が売りの駆逐艦を参加させないのはあまりにももったいない。

 

「まぁ、見てもらえればわかるだろう。

 電、艤装を出してくれ。」

 

「了解です!」

 

 言われた通りに電がドッグタグを握りしめ、艤装を解放。

 背中に機関部を背負い、手には...

 

「...刀?」

 

 砲でも魚雷でも無く、持っていたのは黒い刀だった。

 確かいつも龍田が持ち歩いている...

 

 

 ────カランカラーン。

 

 

 その龍田の薙刀が音を立てて倒れる。

 

「電ちゃん、どこでそれを...?」

 

 滅多に動じないあの龍田が、湧き上がる感情をねじ伏せるようにして声を絞り出す。

 

「天龍さんから頂いたのです。」

 

「...どうして?何があったの?」

 

「うーん...

 じゃあ、あの話の続きをするのです。」

 

 電が提督をちらりと見ると、提督もうむ、と頷いた。

 

 




後書き・春雨

「ここまで読んでくれた読者の皆さん、ありがとうございます!春雨です。

...最近私の出番が無くて不憫に思ったコンブさんから、後書きの役割をもらいました。はい。

お話の方はまたも回想に入りそうですね...電さんのあの剣の謎が次回、わかると思います。
ちょっと短い内容でしたが、許してくださいぃ...(うるうるさせながら申し訳なさそうに上目遣いで服の裾を掴みながら)

次回、サブタイトル予想・『回想 最強の劣等生の誕生』。軍学校の艦娘の成績は、主に座学と戦闘技術ですが...何があったんでしょうか。」

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