僕は今、ひたすら自転車をこいでる。浪白公園で彼女をかなり長い間待たせてしまっている。まさかここまで時間がかかるかかるなんて思ってなかった。
待ち合わせの場所に着くと、既に彼女、戦場ヶ原はベンチに座って待っていた。怒りのオーラを、周りに放ちながら。とりあえず自転車を駐輪場にとめる。唾をひとのみし、僕は彼女に声をかけた。
「よ、よう、戦場ヶ原…さん」
僕の声を聞いた彼女は、ギロりとこちらを一瞥した。そして、またそっぽを向いてしまう。
「あの…」
「私がなんで怒ってるか、分かってるわよね?」
こちらには目を向けずに言う。
「わ、悪かったよ。遅れちゃって…でも…あの」
僕が理由を話そうとしていると、突然立ち上がり、僕の前で腕を組んだ。
「阿良々木くん、分かってる? あなた、こんなにカワイイ女の子を1時間も1人で待たせたのよ。またあのカタツムリの子を襲ってたの? それとも羽川さんのおっぱいを揉んできたの?」
「どっちもしてねえよ! ていうか、僕のイメージどれだけ悪いんだよ!」
「かなり悪いわね。約束の時間に遅れてきている時点で」
「…妹たちが、なかなか解放してくれなかったんだよ。いろいろ絡まれちゃってさ」
「やはり阿良々木くんは襲ってきた妹を簡単に受け入れるような人だったのね。残念だわ。私もそう長くはないわね」
「お前はいったいどういう想像をしてるんだよ。ただ話してただけだよ!」
「それに、遅れるのにどうして連絡をくれなかったの?」
う……痛いところをついてくる
「昨日、ケータイの充電忘れちゃってさ…連絡のとりようが無かったんだよ」
「公衆電話とかもあったじゃない。声だけでも聞かせてくれれば良かったのに」
「……それは……」
正論すぎて何も言い返せない……
「まあ、私もケータイなくしちゃって、連絡のとりようがなかったんだけど」
「意味ねーじゃねえか!」
思わず大声が出てしまった。公衆電話で連絡とったって出ないんじゃ全く意味無いじゃないか!
「まあ、何はともあれ、来てくれてよかったわ。また面倒ごとに巻き込まれてるんじゃないかと気が来でなかったんだから」
「そりゃどうも」
なんか一気に疲れたみたい。今日のペース配分大丈夫かな。
「じゃあ、行きましょう。阿良々木くん」
「あ、あぁ」
先に歩き出した戦場ヶ原のあとを追う。
「それと、」
彼女が僕の手を握ってきた。
「今日は写真が撮れないの。お互いケータイ使えないもの」
「あ、あぁそうだな」
「だから、一生記憶に残るようなデートにしてちょうだいね」
彼女が僕を見ながら言った。少し照れているようにも見える。彼女の微妙な表情の違いも、最近分かるようになってきた。
「あぁ、分かってるよ」
2人で自転車に乗り、僕らは浪白公園を後にした。
初めましての方がほとんどですよね。普段小説家になろうの方で一次創作をやっているチョビさんです。
Twitterで話題になってた「私が怒ってる理由分かるよね」ってのを聞いた時、ぱっと思い浮かんだのはこの2人でした(^_^;)
またいつか、二次創作作品もあげるかもしれないので、その時はまたよろしくお願いします!