平凡は、いちごと共に消ゆ   作:フリードg

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見直してみたけど、これ書いてた時。多分……。


6話

 

 私、こんな気持ち初めてだったんだ。

 

 

 あの日 ほんとに屋上に行ってみて良かったって思ってるよ。ユリが怖がりだった事もこの際 感謝かもしれないね。ユリと2人で行ったら……きっと ああはならなかったと思うから。

 

 あっ! でも ぱんつ見られた事は良かったなんて思ってないからね!

 

 

 って、今は違う違う。そんな事じゃないやっ。

 

 えっとね、今日学校に来て 時間が許す限り結構歩き回ったと思うんだ。流石に別のクラスに入って言ったりはしないけど、あの男子を頑張って探してた。ユリやほかの友達にちょっと変に疑われたんだけど、それ以外はいつも通りに振る舞ったつもりだったよ。

 他の男子たちが近づいてきて、あしらったり、テキトウに流したりしつつ、あの男子を探したんだ。

 

 あの夕日の中で聴こえてきたすっごく綺麗な声。

 男の人なのに綺麗って言葉が一番しっくり来たし、また聴いてみたいってずっと思ってた。

 

 でも、それだけじゃなかったのかもしれないかな。ただ歌が聴きたいだけじゃなかったかも……。また 会ってみたいって思ったかも……だね

 

 

 それでどうにかあの時の男の子! 見事に探し当てる事が出来たのだった! 私凄いっって自分で自分を褒めちゃえた程だよ? 屋上も行ってみたけどいなくって、今日は諦めるかな~って思ったんだけど、その時ピーンっ! と何かが来たんだ。いつもなら左に曲がる。だってそっち以外じゃ完全な遠回りになっちゃうから。でも、その時は違ってね? 何だか『右に曲がった方が良いよー』 って私の中で。

 

 そしたら、いたんだ。あの時の男の子が!

 間違いないよ? だって 逃げる時の後ろ姿 実はあの後しっかり見たからね。あの時は 消えた~って思ったんだけど、人間そう簡単に消えれるものじゃないし。 足は速かったけど、後ろ姿はしっかりと見てた。

 声だって間違いなかったし。

 

 うん。最初はやっぱり嫌々って感じだったけど、粘りに粘って、とどまらす事が出来た。それに沢山話す事が出来たよ。その、可愛いって言ってくれた事は……恥ずかしかったけどさ、ほんとに嬉しかった。 

 

 それに私の事をよく知らない男の子とこんなに話すのって結構珍しい事なんだ。えっと、知られてるって事、別に自慢って訳じゃないよ? 正直沢山男子が来て話したってあんまり嬉しくないし。それだったら、友達の皆と話したり遊んだりする方が断然楽しいし。 

 それに……彼と話す方が凄く楽しいから。

 

 それでお互いに自己紹介をし合う事になったんだ。それで……名前を話した途端に 目を白黒させたかと思えば また……か、可愛いとかアイドルとかって言ってくれた。嬉しい事は嬉しいんだけど、そんな気軽に口に出てくる男子って 正直キザって感じがする。要は口だけ男みたいな。そんな子結構いたし。私の事は色々と褒めてくれる癖に 他の友達の事は見下した言い方したりするヤツもいた。……そう言う系の上辺だけ男ってぜんっぜん信用出来ないから。

 でも、彼は違ったんだよ。『家族以外の異性とここまで話した事ない』って言ってて、きょとんとしてて、 嘘言ってる様にぜんぜん見えなかった。うん、色んな意味で正直者って事なんだよね……。私の事 可愛いって言ってくれた事もそうだけど、……私のパンツの柄まではっきり言ってくれた事も含めてっ!!

 

 まぁー私に非があるし あまり怒ってないって言った以上 これ以上蒸し返すつもりはないけどね。彼が正直に言って来たら別だけど。

 

 

 それで、びっくりしたのはここからだったよ。

 

「えと、神谷蓮?」

「だから、そうだって。ちょっと近い、近いって」

 

 離れる様に言われて漸く私、結構近付いてた事に気付けたよ。だって、彼と一緒だったから。名前は知ってても 会った事も見た事もないって所。

 

「あはっ。似た者同士だねー」

「うん? どゆこと?」

「あのね、私も知ってたよ。キミの名前。……キミも人の事言えないじゃん」

「???」

 

 ほんと面白いくらい、頭に《?》が浮かんでるのが判るから、更に笑いを誘われちゃうよ。ほんっと、顔に出るよねー。

 

「えっとねー。女子の間じゃ結構有名なんだよ? キミ」

「……は?」

 

 今度はきょとんっ と首を傾げてる。なんだか小動物みたいで可愛かったりするよ。キミの方がさ。

 あっ、何か思いついた顔した。

 

「ああ、なるほど。……オレって結構大草と一緒にいる事が多いから、おまけ、みたいな感じで知られてたって事か? 大草のアドと番号訊いてみて~ って感じの要望も受けた事何度かあるし」

 

 口許に指をあてながらずばり推理してる。何処かの名探偵のつもりかな? だけど残念だったね。その推理は外れです。

 

「ぶー。ざーんねん。キミ自身に興味がある、って話題だよ」

「……⁇ 転校生だから?」

「え?」

「だから、転校生だから?」

 

 転校生だったんだ……。あ、そう言えばそんな話もしてたかも。忘れてた。

 

「それも違うよ。だから、キミも女子に人気があるって事だよ。あ、ひょっとしたら 私なんかよりもずっと有名かもね」

「それは絶対無い(あってほしくない)」

 

 あ、何だかまた嫌そうな顔した。……色々と騒がれるの嫌っぽいんだね。世の男の子にとっては嬉しい事だーって何処かで訊いた事あるんだけどなー。

 彼は彼って事かな?

 

「ふふっ、蓮ってほんと面白いね?」

「……オレに言わせれば、そっちも何だが。(追いかけてくるなんて、見ようによっては相当……と思うし。ん?)って、いきなり呼び捨てとは随分と踏み込んだな」

「だってもう知らない間柄じゃないし、良いじゃん。私のこと つかさって呼んでくれていいからさっ」

「それも謹んで遠慮させてもらえないか?」

「えー、なんでそんな丁寧に拒否するんだよ」

 

 私の名前に不満でもあるのかー って思っちゃったよ。つかさって名前私は好きなんだけど……。そりゃ 男の子の名前っぽいと言えばそうかもだけど。

 

「本人に実感が無いのはお互い様かもしれんな。オレも言われても正直信じてないし」

「どういう事?」

「オレが名前で親しく呼ぶとして、それが男子生徒諸君らの耳に入れば、……どうなるか火を見るより明らかって事だ。……謂れのない嫉妬やらイヤガラセやらのオンパレードだ。つまり(もう、普通とは程遠くなってしまうって事だよなぁ……)」

「むー……」

 

 そんな事ある訳ないよ! と言いたいんだけど……ちょっとしつこい人がいる事は確かだし。そう言うヤツってほんと何するか判んないし。

 

「なら、私が蓮の事を呼ぶのも危ないのかもねー? 他の子達に嫉妬されちゃうよ」

「それは絶対ない」

「その言葉、そっくりブーメランだよ。だって 私もそんな事無いって思ってるし」

「…………」

 

 話は平行線になっちゃったよ。でも正直一部の男子は判んないんだけど、そんなオンパレードって絶対言い過ぎだって思ってるし。

 

「……苗字で頼めない? オレは西野って呼ぶから。神谷で。」

「むむ。……判ったよ」

 

 でも、何だか納得いかないから、最後はこう言っておこうって自然と思ったんだ。

 

今日の所は(・・・・・)判ったよ。か・み・やくん」

「…………」

 

 あー何でかな。ちょっとすっきりした気分かも。

 

 蓮って 他の子達が言う様に、断然大人っぽいんだもん。顔に出やすいんだけど、何となく雰囲気と言うか佇まいと言うか、そんな感じがするんだ。それにそこが蓮の人気ポイントらしいし。今までだって、なーんか色々とリードされてるって感じだったし。そういうのは性に合わないからね。

 

 えへへ。舌でもぺろっと出しとこっと。

 

「(はぁ……、ザ・○ールド! って言ったら時でも止まらないかなぁ。いや 戻ってほしいから ○イツァ・ダ○トか。……まぁ言わないけど)んじゃあ、またな西野」

「えへへ。うん。また学校でね?」

「ああ。(会っても逃げよっと……)」

「あ、逃げたら名前で呼んじゃうかもだよ」

「……心読まないでくれるか?」

「あはは。蓮が判りやすいんだよー」

 

 やっぱり面白い。蓮と話すのすっごく楽しい。

 んー、今日の所はって言ったんだけど……やっぱ 蓮の方が良いな。

 

「……今日のところは~って言っといて早速だな」

「あ、あはは……つい、ね。その……やっぱり 2人の時だけで良いから、蓮って呼んじゃ駄目かな? 学校は 少ーしだけ自重するからさ」

「うーん……。まぁ学校以外なら……。ってか 信用できるのか?」

「わ、何だかひどいな! まぁ 早速破っちゃった私もアレだけど。ちゃんとするからさ。なるべくね? だって蓮と話すの楽しいから。……蓮は楽しくない、かな?」

「っ……。あのなぁ。そう言う言い方されて、『はい、嫌です』って言えると思う?」

「蓮なら言いそうっ♪」

「……言うと思った」

 

 時間ってアッと言う間なんだね。楽しい時間は本当にあっという間。携帯が静かに震えたんだ。多分、お母さんからだと思うし、心配はかけたくないし。

 

「もう時間も時間だし、そろそろ終わりにしないか? ……もう逃げたりしないから」

「っと。あはは。それは本当っぽいね。うん。ちょっと名残惜しいけど、私もちょっと用が出来たみたいだから」

 

 携帯を見せて言ってみたけど、『番号教えてー』って言わないかなぁ? ……言わないよね。

 

「あぁ。じゃあな、西野」

 

 やっぱり……。

 

 ん、まぁ 良いや。今日の所はほんとに……。

 

「じゃあね!」

 

 送ってくれる~って言うのもちょっと期待したんだけど。それも良いかな。……今は(・・)ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家に着いたけど ほんと まるで嵐の様な時間だったよ。嵐~なんて生易しいかも。ありゃ大型台風。暴風雨って言っていいかもだ。

 

 ま、楽しかったって言えば楽しかったんだけど。

 

「とりあえず……、明日ちょっと心配。まぁ 自重するって言ってるし、……西野もあんまり無茶はせんって思うし。そう信じたい……かな」

 

 少しばかり不安はあるけど、ずっと普通をー平凡にー、って考えてた自分が変わりそうな気がするって思ったり? 

 

 まぁ、それは難しいか。だって オレがそう思い始めた理由って……。

 

「おっかえり~~! どーしたの蓮ー。随分遅かったけどー?」

「……お出迎えに抱擁しようとするの、やめっ!」

「えー、良いじゃん良いじゃん! 姉弟のスキンシップだよー。こんなの普通だって!」

「ウェイト! ステイ! ゴーハウスっ!」

「ふふーん。お姉ちゃんを調教しよう~なんて、過激なんだから~♪」

「………」

「わー。無視していかないでー!」

 

 これ(・・)のせいだ。

 絶対……。

 

 あぁ、歌の事も ある意味はこのブラコンのおかげって事もあるかもしれないな。

 歌に関しちゃ、コイツ冗談抜きで天才(・・)だし。……まぁオレにとっては、天災かも。

 

 自分で言っといてなんだけど。

 

 

 

 

 

うん。面白くないな。

 

 

 




ジ○ジ○を滅茶苦茶見てた時期だったかも。



オリキャラ

ブラコン姉。

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