平凡は、いちごと共に消ゆ   作:フリードg

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※遅くなりました ゴメンなさいm(__)m その上 全然進んでません……。
 ほんのちょーっとだけR―⑱な表現がありますが、これくらいなら大丈夫です……よね? ほんのちょっとですし。 苦笑


33話

 

「ふぁぁ………。んん。やっぱ 朝は眠い……」

 

 休みも終わって今日から月曜日、つまり一週間の始まりだ。

 日曜日のサザ○さんを見出した辺りから、段々億劫になったりするのが今までだったんだが…… やっぱ今は違うかな。今、学校は楽しい。面倒って思う事はあったりするが、それ以上に気の合ってる奴らもいるし、何よりやっぱり西野かな。

 

「……(日曜、結構長く感じたな)」

 

 土曜がやっぱりアッと言うまだったからそう思ってしまうんだろうな。

 

 そう、土曜日の夜だった。

 最初は冗談の類だって思ってたんだけど……本当に西野の家に泊まった。

 

 流石に同じ部屋って言うのは やっぱまだ早いって思ってさ、リビングのソファーでも借りて寝ようとしたんだけど、結構強引に西野の部屋に連れてかれたよ。オレって考えが古いのか? って思い始めた矢先に西野から。

 

『一緒に寝よーよっ!』

 

 との一言だ。凄く誤解を招きそうな一言を頂いた。

 うん。何度だっていってやる。もーいい加減飽きたわ!って言われたってそれでもだ。オレだって男だって事。健全な男子中学生だって事。だからさ、ほんとマジで刺激が強い。冗談だったとしても西野に言われたら強力な会心の一撃だ。

 それと西野ほど可愛かったら、やっぱ理性との戦いがメチャクチャ大変だ。最初は 西野に健全な~ とか、親に悪い~ とか言って、まだガキの癖に 精一杯大人ぶって、格好つけか! って 自分で自分をツッコミそうになったし。いい加減ヘタレってガチで思ったし。この辺もアホな姉を見てきたからなのかなぁ、と何処かで姉のせいにしたりもしてたよ。

 そんなオレを見て、笑ってた西野は今度はまじめな顔してた。

 

『……大丈夫だよ。やっぱりさ私だって、同じ部屋だけじゃなくって、同じベッドでさ、蓮にずーっと引っ付いて寝たいんだケド……。うん、蓮が言う通りまだ中学生だもんね。……まだ、子供だもんね。ん?? 子供同士だったら別に問題なかったりする??』

『異性の身体。特別授業とか保健体育の授業受けてる時点でマズイと思いますが』

『もっ、もー! 変に真面目に返さないでよっ!』

 

 なんか男として情けないと言うか、ヘタレと言うか、色々と誰かに言われそうな状況だと思ったよ。

 西野はベッドに腰掛けて、オレに言ったんだ。

 

『で、でもさっ! 約束しよっ? 頑張って頑張って、あたしにはまだまだ難しいかもだけど泉坂高校に受かったら……、そ、その……。ま、まだ蓮は早いって言うかもだけど、私は 確かなモノが欲しいんだ。蓮と結ばれたって言う確かな……も、ものが……。蓮からのご褒美で………』

 

 西野は凄く顔が赤い。やばいくらいに。

 でも当然だって思うさ。そもそも女の子の方から言わせちゃうってのもどうかと思う。オレだって西野の事は好きだ。抱きしめて、その先…… 初めては西野が良いって思ってるから。

 

 オレはもう一度西野を抱きしめたよ。多分、結構強めに抱きしめた。西野の身体は暖かくて、柔らかくて、それでとても細い。折れてしまいそうだって心配になる程に。でも、オレはぎゅっと抱きしめた。

 西野も抱きしめ返してくれて…… それで、その やっぱ西野が相手だからさ、コレ(・・)は仕様がないって思うんだ。

 

『あっ…… ぅ……/// れ、れん…… そ、その当たって(・・・・)……』

『ぁ、ぅ……オレだって男だから、その、勘弁してくれッ。今日は……準備だってしてないから……ッ』

『ッ……!?』

『西野が頑張って高校に受かったら、って話しただろ。……約束するから。オレだって、今かなりやばい。ほんと理性が飛びそうになる。西野の事…… 襲ってしまいそうになる。でも、それ以上に西野の事が大切だから。だから今日はここまでで……』

『うん……』

 

 

 その後は、西野は布団を敷いてくれた。

 何故だか、ベッドがあるのに西野は2人分の布団を敷いてくれて、隣り合わせ。

 横になって向かい合って 最後は手を繋ぎ合った。『眠るまで離さないでね?』と言って西野は笑ってたよ。きっと、オレは今日の日の事一生忘れない。

 

『『おやすみ』』

 

 眠りに落ちる直前に交わした何気ない挨拶も、西野と沢山触れ合った事も。 約束をした事も。それに勿論、強烈なモノを御馳走してくれた事も。

 ありふれたモノなのかもしれないけど、ひとつひとつが色んな意味で大変だった。そんな一日だったから。

 

 

 

 んでも、実の所帰ってからがもっと大変だったりする……。

 

 

 朝帰りしたオレに質問攻め、と言うより尋問をしてくるアホ姉の相手をするのが何よりも。ちゃんと友達の所で勉強会するって親には言ってるから 『ナニしにいったのっ!』って大声で訊かんでも判る筈だろうに。『べんきょー』って答えたけど、結構しつこかったよ。

 ……まぁ うん。嘘は言ってないし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はぁ…… やっぱあたし1人じゃ身の入った勉強できないみたいなんだよね。我ながら情けないケド。

 

 朝早く蓮が帰った日曜日。

 

 あの後なーんにも出来なかったもん。ちょっと抜け殻になっちゃったって言うのが正しいかも。勉強しようとはしてたんだけど……気付いたらやっぱり蓮の事考えててさ。入れても入れても頭から抜けちゃってるよ、絶対。

 

「ふぁぁ……。蓮分が切れちゃったからかなぁ……。日曜日ちっとも勉強捗らなかったし。んんー」

 

 とりあえず、欠伸をひとつ。

 

 うん、今日もすっごく冷える朝だ。いつもなら 寒いのってすごく憂鬱になるんだけど…… あの日の温もりがまだまだ残ってるみたいなんだ。だって、すっごく温かかったから。

 

「蓮にばったり会ったりしないかなぁ……。なーんてねっ。そんな上手く行く訳ないかな「ふぁぁぁ」って、……へ? あっ!」

 

 一瞬誰だか判んなかったよ。でも、直ぐに判った。だって見間違える筈ないもん。大好きな彼氏だもん。

 

「おっはよーっ! れーんっ!」

「どわぁっ!!」

 

 思いっきり抱きついたよ! でも、蓮……どわっ! って何だかなぁー。

 

「もー、彼女に対する朝のご挨拶が 『どわっ!』って どーかと思うよ!」

「無茶言うなって……。オレ今目つむってたんだぞ? 眠たくて……」

「それでも、なの! でも、目を瞑っても、眠たくてもちゃーんとあたしの事受け止めてくれたのはGOODだよ! 倒れちゃっても良いって思ったのにさ!」

「流石に加減してくれって……。ま、それは兎も角」

 

 蓮は軽く目を拭った後、あたしの頭に手を置いた。ぽんっ と一叩きして……ってまた?? 

 

「おはよ」

「えへへ……うんっ おはよっ」

 

 子供扱い~! って一瞬だけ思ったけど、何だか気持ちいいんだ。蓮に撫でてもらうのさ。それに今回は不意打ちアタックをしたし、文句言うの無しにしてあげたよ。

 

「さっ、早く行こっ! 皆待ってるかもだし!」

「だな。真中は兎も角、東城は真面目だし。ん? そう言えば宿題はやったか?」

「え? 宿題? 4組のと同じのってあったっけ?」

「違う違う。ほら 一昨日出したろ? 教えてもらった成果だすから~って 気合入れてたと思うが」

「……………あ」

 

 かんっぜんに忘れてた……。そう言えばそうだったよ。勉強ばっかりじゃなんだからって、ある程度までいったら宿題って事にして蓮と沢山話したり、失敗したけど料理とか時間に当てはめたかったから……。そ、それに 日曜日はほんっと抜け殻みたいだったし。

 

「こーら」

「あぅっ」

「今日はその辺も力入れるからな? 証明問題は 配点的にはそこまで無いが、西野の実力だったら覚えておいて損はないって思うし」

「うー、ゴメンね? 蓮せんせー。今日は頑張るから!」

「ん。……まぁ オレも昨日は なんか一日ぼーっとしてた気もするし。気持ちは判るよ」

 

 蓮、そっぽ向いちゃったよ。

 きっとあたしと同じなんだ……って思ったら何だか嬉しくってさ。そっと後ろから腕を取って組んだよ。

 

「えへへ。温かい? 良いでしょ? 今の時間帯なら、他の生徒殆どいないからさ……」

「ははは……。オレは湯たんぽ扱いか?」

「そっ! あたし専用ですっ! 貸出レンタル不可!」

 

 

 ほんっとに楽しい。朝早くて眠たい筈なのに、一気に飛んじゃった。

 

 あっと言う間に学校。図書室についたよ。あたし達が一番乗りで次に大草君が来た。小宮山君はいなかったよ。初日は一緒に着たし 大草君と一緒に~って思ってたんだけど、今日は別々なのかな? って思ってたら、蓮がため息吐いてた。

 

「これで来なかったら 三日坊主…… と言うか一日しか続いてないし。どうせ寝坊だろ?」

「アッタリ。流石だなー神谷。オレが迎えに行った時、小宮山まだ寝てたよ」

「はぁぁ~ これで泉坂狙うってんだから、ほんっと良い度胸と言うか図太いと言うか……。っと、後は真中か。アイツもちゃんと来るのか?」

「真中は大丈夫だろ。……何せ、東城がいるんだし」

「それもそっか」

 

 男同士の会話ってヤツだ。通じ合ってるんだねー。うん。これが女の子との会話だったら肘打ちのひとつでもしてやろーって思うケド、大丈夫だったよ。

 

「それにさー。聞いてくれよ。この土日で泉坂のサッカー部の顧問と話をしたんだけど、いきなり新人メニュー無しのハードトレやれってさぁ」

「そんだけ期待されてるんだろ? そこは喜ぶトコじゃないのか」

「いやいやいや、オレまだ中坊だぞ? そこそこ練習はしてるとは言ってもいきなり高校生たちのあの地獄のメニューやらされるって結構ヤバめなんだが!?」

「おお、つまりは2~3年の刺激にもなって一石二鳥だ。ま、頑張れ」

「当て馬かよ!?」

 

 うぅーん……。確かにさー。まだ東城さんも真中くんも来てないとはいえー。まだ始まってないとはいえさー。

 

「蓮っ! べんきょーするんだろっ! 重点的にするんだろ? それに大草くんも!」

「うおっ っと――ビックリした」

「ははは……(西野の方も独占欲が強いみたいだな。……ちょっと悔しいけど、ほんとお似合いカップルだ)」

 

 目の前に教科書出して、視界遮っちゃったよ。つい……。なーんか、大草君には意味深に笑われちゃうし。あそこまであからさま過ぎちゃったらさ。うぅ なんか恥ずかしいなぁ。

 

「判ってる判ってる。もうそろそろ後の2人も来ると思うし……っと、噂をすれば何とやらだ」

 

 がらっ、と扉が開く音がしたと思ったら、真中くんと東城さんが来たみたいだった。うん。これで揃ったね。話題逸らしじゃ無いケド、2人に意識を向けよう!

 

「おっそーいよ! 先に勉強始めるトコだよー」

「おはよ。一緒に登校とは、羨ましい関係になったもんだなー」

「大草がそれ言うと、上から目線と言うか、嫌味と言うか……」

「ははは。純粋に真中の事おーえんしてるだけだって。小宮山には悪いけど」

 

「いや、3人が早過ぎなだけな気が……。」

「皆おはよう」

「東条さーん! いきなりで悪いケドさ! この証明問題なんだけど、あたしの解き方、合ってるかな?」

「(んん?? なんだ。もう解いてたのか……)んじゃ、最初は西野は東城に教わるか。……ってな訳で、オレと大草で」

 

 話題逸らしは完璧OK! あ、蓮が何か悪い事考えてる顔になった。

 

「真中を集中的に、だな」

「スパルタは勘弁してくれーー! あんなのは、小宮山だけで良いだろー! オレメンタル弱いんだから!」

「ビシバシ行こうぜ、神谷! 小宮山もそうだが、真中も泉坂レベルには程遠いし」

「大草うっせーー!」

 

 楽しい楽しい勉強会がスタートしたんだ。

 真中君は変な汗凄く出てたけど、あたしから見て上達していってるのがよく判る! うーん、えらそーには言えないけどさ。やっぱ蓮って教えるのが上手だからって思っちゃった。東城さんも凄く上手だって思うけど、蓮も……ね?

 

 それで、もう学校の時間が始まるからお開きになって、あたしは1つに決意を蓮に伝える事にしたよ。ちょっと……あたしにとっては悔しかった事の1つだしさ。

 

「ね、蓮。またあたしん家に遊びに来てね? そしたらさ、次は蓮が唸る料理、作って見せるからさ!」

「……うん。十分唸ったと思うんだが。あれって、初回限定じゃ……?」

「コラっ!! 初回限定版のじゃないよ! 次のは蓮の胃袋がっちりつかんで満足させるって事だよっ!」

「成る程。胃袋を……。んー、でもある意味、掴まれた…… 鷲掴みにされた気分だったんだが……」

「こらぁぁっ! 蓮っ! 今ぜーーったい楽しんでるだろー!」

 

「あー、今のはオレの目から見ても西野と同じ意見だ」

「アレは判る種類のだよな。今の神谷の表情って……」

「あ、あははは……(羨ましいくらい……楽しそうだよね。私も…… 真中くんともっと………)」

 

 

 何だかもっと悔しい気持ちになった! ぜーったいグぅの音も出ない唸る料理作ってみせる! って改めて思ったよ。 

 

 

 打倒! 蓮の胃袋っ だよ!!

 

 

 

「(打倒??)何か物騒な感じがしたんだけど……。気のせーだよな?」

「ふふんっ! 今に見てろよ、って事! 蓮の表情変えてやるんだから」

「ははは……」

 

 


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