平凡は、いちごと共に消ゆ   作:フリードg

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何かスランプです・・・
とばしても良い話な気もする・・・





※と言う訳で ……ご了承ください。


29話

 

 いや、確かに面倒くさいって気持ちが全面に出たのは否定しないよ?

 小宮山が以前よりも倍増しで絡んでくる所とか もう考えただけでウザいし面倒。

 

『神谷ぁぁ、神谷ぁぁぁぁ……!』

『って、勉強はどーしたんだよ!! 妖怪!』

 

 こんな感じで早々に絡んできたんだ。

 絡んできたり、顔七変化させるそのエネルギー、ちょっとは べんきょーに向けろや! って、出会い頭に言ったよ。

 ま、まぁ…… 小宮山が殺気を飛ばしてくるのには理由があるんだ。

 

『ねぇ、かーみやくんっ♪ ほら、ここ! ここ教えてくれないかなぁ?』

 

 そう…… 西野のおかげって訳。おかげ、とは言いたくないか。

 

 オレと真中、西野と東城に分かれて其々の苦手科目と言うか、目的課目を勉強しよう! って自然となっていたから そのままで行こうとしてた筈なんだけど……、何か 西野が数学を東城に聞きつつもオレの方にも色々聞いていたよ。東城って言うメチャ優秀な先生(横で聞いてるだけでも十分判りやすい)がいるのに、ちょくちょくオレの方に聞いてくる。

 

 勿論、オレだって応える。

 

 西野はそのまま どんどん顔を近づけてきて、それとなくボディタッチもある。

 

 そりゃ、小宮山がイラつくのだって判らなくもないさ。西野の事………だったし?

 それで、真中は真中で

 

『なんでお前らがこんな朝早くにここにいるんだよぉぉぉーーー!!』

 

 と大草に食って掛かってたよ。そりゃ右に同じな意見だけど 大体判るつもりだ。小宮山が原因なんだ、って事。大草がその後思った通りの答えを返してた。

 何か、小宮山は

 

『西野を振り向かせる最後のチャンス!』

 

 って息巻いてるみたいだけど……。

 

『勉・強!』

 

 オレの肘打ちで、その意気込みを早々に沈めた。

 西野が…… その、西野から オレに告白してくれたんだし 他にこんな舌の根も乾かない内に、別の男の方に行くー なんて思って無いんだけど…… それでも不快だったんだ。

 

『へへへ~♪』

『ふふふ……っ』

 

 そんなオレを見たからなのかな。西野、東城と一緒に笑ってた。 うん。朝から良い笑顔だ。

 

 と言う訳で 勉強会の続行だ、って所で 大草が手を上げた。

 

「ああ、西野? もうオレらは神谷と西野の関係判ってるし、別にいつもの様に呼んだって良いって思うぜ?」

「へ? いつもって?」

「はぁー バレてないって思ってた? 西野って、神谷の事 名前で呼んでたじゃん『蓮~』って」

「…………」

 

 挙手して言うような事? って疑問に思ったのは置いとくよ……。 だって 大草の指摘は実に的確だから。

 気を付けるよ~ と何度か西野は言ってたのは事実なんだけど…… 時折素の自分がでて? か判んないけど ちょくちょく名で呼ぶ事があったりする。それって、西野と付き合う前の話だし、オレも結構気になってたんだけど……。

 

「そ、それもそーかなぁー。あっはは……、ごめーんっ 蓮!」

 

 両手を合わせて合掌! させる西野。

 まぁ 今は別にもう良いんだけど。ここの面子なら 多分大丈夫だ。小宮山は兎も角。

 

「ははっはは。ま、神谷なら嫌がるだろうなぁー。よーくわかる」

「うっさいな」

「睨むな睨むな。と言う訳で オレの意見は終わり! さー 勉強しようぜ。オレ 推薦で泉坂受かってるから勉強する必要ないし。判らんトコとかあったら遠慮なく聞いてくれ」

 

 そう。大草ってサッカー上手いから、スポーツ推薦でさっさと合格したんだ。

 勿論、スポーツだけって訳じゃない。クラスでは成績は上位をキープしているし、実力で泉坂高校に受かるくらい訳ないってオレは思ってる。

 

「え! 推薦で泉坂決まってんの?? すっごいじゃん! あたしもそこなんだー!」

「いやいや。まぁ 大したこと、あるけどね?」

「えー、じゃあ 少しだけ教えてもらおっかなぁー キミにも!」

 

 思った以上に西野が喰いついてくから、正直なんか複雑だった。

 

 なんか…… 改めて 大草を見てみると……、得体のしれない不安と言うか、圧力というか 色んな感情が渦巻いてきたよ。校内一のイケメンと名高い男だし。(オレの事は知らん)西野と並んでも…… 全然おかしくない。自然だ。

 

「おー、それによく見てみると 大草くんが使ってる文房具、あたしが持ってる文房具とほとんど一緒じゃん!」

「お? そうなんだ……って、マジだな。オレこのシリーズ好きなんだよね。ちょっとサイケなカンジがよくない?」

「そうそう! あたしもそーゆーところが好きで買っちゃうんだ~~~」

 

 なんか西野と大草の2人、自然と話が盛り上がっていったよ。

 うん。……見てると、ナンカヤダ。

 

 ガキか!! って思われるかもしれないが、……イヤダ。

 

「男子でこの文房具使ってる人、初めてみたなぁ~~……って、蓮? どーしたの??」

「………いや、別に何でもないゾ」

 

 いつの間にか、オレって西野の方をガン見してたらしい。

 それに西野が気付いたらしく、首を傾げてた。

 

「(……って、神谷 ヤキモチか? おおー 珍しい絵が見れて面白いかも!?)」

 

 なんか、大草の顔が嫌な顔に一瞬見えた気がしたよ。

 

「なぁー 西野ってすっげーモてるじゃん? やっぱさぁ、告られるのとか待ってんの?」

「何それ、何言ってんの?」

「ほらほら、例えばさ。今までの関係とか ぜーーんぶ一度リセットして考えてみてみ? その前提で 西野に好きな男子が出来て、 そいつが告白してくるまでずっと待つタイプだろ? 当たり??」

 

 さっきから、大草何言ってんだ? 小宮山を止める為! とか言ってた癖に ……実は西野の事狙ってるのか?

 

 確かに…… 告白はオレからじゃなかったよ。西野からだった。

 だからかな。大草が言ったのを聞いて 西野は本当は相手から……オレから告白をしてほしかったのかな。 順番なんてもう、取り返しが効かない事だけど……。何だか西野に申し訳ない、って気持ちが出てきた時だったよ。

 

「だから、何言ってんのって。あたし、好きな人には 自分からガンガンだよ? 攻めて攻めて! 攻めあるのみ! 攻撃あるのみ!」

 

 きっぱり 否定してそう言ってたんだ。

 何だか頭の中に靄が出てたんだけど……晴れた気分だった。

 

「「………」」

「って言うかさぁー。蓮が否定してよねーそこはっ! 蓮は気付いてないの? あたし、結構蓮に会いに行ってたんだよ? あたしからさ!」

「ま、まぁ 知ってたと言えば知ってたヨ?」

「ならなーんで否定しないのさっ!? あー後大草くん? リセット~ なんてもー無理だからね? 設定でもムリっ!」

「……っはは。だろうな」

 

 大草、なんか両手上げてたよ軽く。降参って感じか?

 

「いや、西野が来たら 一番印象にあるのは 《参勤交代現象》だから。そっちに行っちゃうよ。意識」

「も、も~~!! あ、あれは勝手についてくるんだよ! 何度も言ってるだろっ!?」

 

 西野、腕回してオレの首ヘッドロックしてきた。 

 なーんか柔らかい感触が頬にあるんだけど……。

 

「ろ、ロープロープ!! く、首締まってる………っ」

 

 こんな皆の目の前でこのままずっといるなんて無理だから そうそうにタップしたよ。また 小宮山辺りが暴走しそうだ……し?

 

「あははは! 小宮山くんっておもしろーーい!」

「ホント? ホント?? 似てる? これタコの真似。あとゴリラの真似も得意だし―――っ!」

 

 いつの間にか 西野の方より東城の方に行ってたよ。自分の持ちネタを披露して笑いを誘ってたみたい。メチャ東城受けてる。

 

 それで、真中は何かぼーっとしてる。落ち込んでるみたい? 

 皆の視線をあまり感じないのは好都合だけど、このまま遊んでたら勉強会の意味無いし。

 

「に、にしのっ ギブギブっ!」

「むー! 反省したか??」

「したした!」

「よし、なら許すっ!」

 

 漸く解放されたよ。

 

「ふぅ……きつかった(色んな意味で……//) で、真中は何黄昏てんの?」

「………」

「もしもし?」

「おっ!? わ、わりぃわりぃ……。別に何でもないって」

「何でもないって顔じゃ無いケド…… まぁ良いか。それに 小宮山。遊んでないで 勉強しろっての。何処狙ってるのか知らんけど 合格圏内入れてるのか?」

 

 ウホウホ言って煩い小宮山。正直今の今までオレや西野も十分うるさかったと思うケド…… まぁそれはそれ、これはこれだ。

 

 

「う、うっせーーっ! オレはヤル時はヤル男だ! 勉強くらいお茶の子さいさいだ!」

「問① 次の連立方程式を求めよ。x+y = 3 …① 2x+5y = 9 …②」

「…………」

 

 

 ダメだこりゃ。


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