とばしても良い話な気もする・・・
※と言う訳で ……ご了承ください。
いや、確かに面倒くさいって気持ちが全面に出たのは否定しないよ?
小宮山が以前よりも倍増しで絡んでくる所とか もう考えただけでウザいし面倒。
『神谷ぁぁ、神谷ぁぁぁぁ……!』
『って、勉強はどーしたんだよ!! 妖怪!』
こんな感じで早々に絡んできたんだ。
絡んできたり、顔七変化させるそのエネルギー、ちょっとは べんきょーに向けろや! って、出会い頭に言ったよ。
ま、まぁ…… 小宮山が殺気を飛ばしてくるのには理由があるんだ。
『ねぇ、かーみやくんっ♪ ほら、ここ! ここ教えてくれないかなぁ?』
そう…… 西野のおかげって訳。おかげ、とは言いたくないか。
オレと真中、西野と東城に分かれて其々の苦手科目と言うか、目的課目を勉強しよう! って自然となっていたから そのままで行こうとしてた筈なんだけど……、何か 西野が数学を東城に聞きつつもオレの方にも色々聞いていたよ。東城って言うメチャ優秀な先生(横で聞いてるだけでも十分判りやすい)がいるのに、ちょくちょくオレの方に聞いてくる。
勿論、オレだって応える。
西野はそのまま どんどん顔を近づけてきて、それとなくボディタッチもある。
そりゃ、小宮山がイラつくのだって判らなくもないさ。西野の事………だったし?
それで、真中は真中で
『なんでお前らがこんな朝早くにここにいるんだよぉぉぉーーー!!』
と大草に食って掛かってたよ。そりゃ右に同じな意見だけど 大体判るつもりだ。小宮山が原因なんだ、って事。大草がその後思った通りの答えを返してた。
何か、小宮山は
『西野を振り向かせる最後のチャンス!』
って息巻いてるみたいだけど……。
『勉・強!』
オレの肘打ちで、その意気込みを早々に沈めた。
西野が…… その、西野から オレに告白してくれたんだし 他にこんな舌の根も乾かない内に、別の男の方に行くー なんて思って無いんだけど…… それでも不快だったんだ。
『へへへ~♪』
『ふふふ……っ』
そんなオレを見たからなのかな。西野、東城と一緒に笑ってた。 うん。朝から良い笑顔だ。
と言う訳で 勉強会の続行だ、って所で 大草が手を上げた。
「ああ、西野? もうオレらは神谷と西野の関係判ってるし、別にいつもの様に呼んだって良いって思うぜ?」
「へ? いつもって?」
「はぁー バレてないって思ってた? 西野って、神谷の事 名前で呼んでたじゃん『蓮~』って」
「…………」
挙手して言うような事? って疑問に思ったのは置いとくよ……。 だって 大草の指摘は実に的確だから。
気を付けるよ~ と何度か西野は言ってたのは事実なんだけど…… 時折素の自分がでて? か判んないけど ちょくちょく名で呼ぶ事があったりする。それって、西野と付き合う前の話だし、オレも結構気になってたんだけど……。
「そ、それもそーかなぁー。あっはは……、ごめーんっ 蓮!」
両手を合わせて合掌! させる西野。
まぁ 今は別にもう良いんだけど。ここの面子なら 多分大丈夫だ。小宮山は兎も角。
「ははっはは。ま、神谷なら嫌がるだろうなぁー。よーくわかる」
「うっさいな」
「睨むな睨むな。と言う訳で オレの意見は終わり! さー 勉強しようぜ。オレ 推薦で泉坂受かってるから勉強する必要ないし。判らんトコとかあったら遠慮なく聞いてくれ」
そう。大草ってサッカー上手いから、スポーツ推薦でさっさと合格したんだ。
勿論、スポーツだけって訳じゃない。クラスでは成績は上位をキープしているし、実力で泉坂高校に受かるくらい訳ないってオレは思ってる。
「え! 推薦で泉坂決まってんの?? すっごいじゃん! あたしもそこなんだー!」
「いやいや。まぁ 大したこと、あるけどね?」
「えー、じゃあ 少しだけ教えてもらおっかなぁー キミにも!」
思った以上に西野が喰いついてくから、正直なんか複雑だった。
なんか…… 改めて 大草を見てみると……、得体のしれない不安と言うか、圧力というか 色んな感情が渦巻いてきたよ。校内一のイケメンと名高い男だし。(オレの事は知らん)西野と並んでも…… 全然おかしくない。自然だ。
「おー、それによく見てみると 大草くんが使ってる文房具、あたしが持ってる文房具とほとんど一緒じゃん!」
「お? そうなんだ……って、マジだな。オレこのシリーズ好きなんだよね。ちょっとサイケなカンジがよくない?」
「そうそう! あたしもそーゆーところが好きで買っちゃうんだ~~~」
なんか西野と大草の2人、自然と話が盛り上がっていったよ。
うん。……見てると、ナンカヤダ。
ガキか!! って思われるかもしれないが、……イヤダ。
「男子でこの文房具使ってる人、初めてみたなぁ~~……って、蓮? どーしたの??」
「………いや、別に何でもないゾ」
いつの間にか、オレって西野の方をガン見してたらしい。
それに西野が気付いたらしく、首を傾げてた。
「(……って、神谷 ヤキモチか? おおー 珍しい絵が見れて面白いかも!?)」
なんか、大草の顔が嫌な顔に一瞬見えた気がしたよ。
「なぁー 西野ってすっげーモてるじゃん? やっぱさぁ、告られるのとか待ってんの?」
「何それ、何言ってんの?」
「ほらほら、例えばさ。今までの関係とか ぜーーんぶ一度リセットして考えてみてみ? その前提で 西野に好きな男子が出来て、 そいつが告白してくるまでずっと待つタイプだろ? 当たり??」
さっきから、大草何言ってんだ? 小宮山を止める為! とか言ってた癖に ……実は西野の事狙ってるのか?
確かに…… 告白はオレからじゃなかったよ。西野からだった。
だからかな。大草が言ったのを聞いて 西野は本当は相手から……オレから告白をしてほしかったのかな。 順番なんてもう、取り返しが効かない事だけど……。何だか西野に申し訳ない、って気持ちが出てきた時だったよ。
「だから、何言ってんのって。あたし、好きな人には 自分からガンガンだよ? 攻めて攻めて! 攻めあるのみ! 攻撃あるのみ!」
きっぱり 否定してそう言ってたんだ。
何だか頭の中に靄が出てたんだけど……晴れた気分だった。
「「………」」
「って言うかさぁー。蓮が否定してよねーそこはっ! 蓮は気付いてないの? あたし、結構蓮に会いに行ってたんだよ? あたしからさ!」
「ま、まぁ 知ってたと言えば知ってたヨ?」
「ならなーんで否定しないのさっ!? あー後大草くん? リセット~ なんてもー無理だからね? 設定でもムリっ!」
「……っはは。だろうな」
大草、なんか両手上げてたよ軽く。降参って感じか?
「いや、西野が来たら 一番印象にあるのは 《参勤交代現象》だから。そっちに行っちゃうよ。意識」
「も、も~~!! あ、あれは勝手についてくるんだよ! 何度も言ってるだろっ!?」
西野、腕回してオレの首ヘッドロックしてきた。
なーんか柔らかい感触が頬にあるんだけど……。
「ろ、ロープロープ!! く、首締まってる………っ」
こんな皆の目の前でこのままずっといるなんて無理だから そうそうにタップしたよ。また 小宮山辺りが暴走しそうだ……し?
「あははは! 小宮山くんっておもしろーーい!」
「ホント? ホント?? 似てる? これタコの真似。あとゴリラの真似も得意だし―――っ!」
いつの間にか 西野の方より東城の方に行ってたよ。自分の持ちネタを披露して笑いを誘ってたみたい。メチャ東城受けてる。
それで、真中は何かぼーっとしてる。落ち込んでるみたい?
皆の視線をあまり感じないのは好都合だけど、このまま遊んでたら勉強会の意味無いし。
「に、にしのっ ギブギブっ!」
「むー! 反省したか??」
「したした!」
「よし、なら許すっ!」
漸く解放されたよ。
「ふぅ……きつかった(色んな意味で……//) で、真中は何黄昏てんの?」
「………」
「もしもし?」
「おっ!? わ、わりぃわりぃ……。別に何でもないって」
「何でもないって顔じゃ無いケド…… まぁ良いか。それに 小宮山。遊んでないで 勉強しろっての。何処狙ってるのか知らんけど 合格圏内入れてるのか?」
ウホウホ言って煩い小宮山。正直今の今までオレや西野も十分うるさかったと思うケド…… まぁそれはそれ、これはこれだ。
「う、うっせーーっ! オレはヤル時はヤル男だ! 勉強くらいお茶の子さいさいだ!」
「問① 次の連立方程式を求めよ。x+y = 3 …① 2x+5y = 9 …②」
「…………」
ダメだこりゃ。