平凡は、いちごと共に消ゆ   作:フリードg

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注※ 早めに投稿できたけど、短いです。


26話

 背中……じゃなく、脇腹かな。思いっきり抓られた。非常に痛い。

 抓りって 誰が誰にしたとしても痛い事には変わらないってどっかで聞いた事あるけど、マジで痛い……。西野は笑ってるのか怒ってるのか判らない顔してたけど、今は怒った顔になった。

 

「……って 早速浮気かっ!? 蓮っ! こんなトコで東城さんと2人っきりで!! ヒドイじゃんっ!」

「い、いやいや。なんで2人きり?? 真中いるだろ?」

「むーーーっっ! ……ん? あれ?」

 

 西野から死角になってたのか、或いは最初っから真中の事が眼中になかったのか、 うん。今回のは前者だと思う。 オレが言ったら 西野 はっ! としてたから。

 

「あ、ほんとだ……。やっ 真中くん。こんにちは。あれから えっちな事、考えたりしてないだろーな?」

「ど、どーも。って、図書室で勉強してたんだから! そんな事してないって!」

「そっ、なら良し!」

 

 多分真中がパンツパンツ連呼してた時の事西野は言ってるんだろうな。

 それにしても、真中の事に気付かなかったのは何でだろ?

 今の西野が視野が狭くなってるからか。

 そう言えば今思い出したけど、西野って今朝から結構な猪突猛進モードになってるからかな。

 

「――蓮? 今変な事考えてない?」

「滅相もありません。……後、離してくれると嬉しんだけど……。メチャ痛い」

「あ、ごっめんっ!」

 

 西野は ぱっ と両手上げて放してくれたよ。無罪放免って事だろうな。……無罪は当たり前だ!

 

「西野さん こんにちは!」

「東城さん! こんにちはー! ……ん? あれ?」

 

 図書室ではもうちょっと静かにしようね? とやんわり注意しようとしたら、西野なんだか東城をまじまじと見てる?

 

「え? どうしたの? あたしの顔に、何か?」

「やっ そうじゃなくて!! ほら、皆!」

 

 西野が東城の肩をぐいっ と掴んで こちら側に向けたよ。

 

「ほら、やっぱり 東城さん、前髪下ろしたら凄くかわいくなったよ!ほら、絶対可愛いよね? 真中くんも蓮も!」

 

 西野が 笑顔でそう言ってた。

 見てみると、倒れた時 メガネは割れたりしなかったけど 髪留めが外れたみたいで東城の前髪がおりてたよ。

 西野に言われるまで気づかなかったなーと言うより、倒れた東城をそんなマジマジと見れなかったから仕方ないか。それに 直ぐに西野に抓られたし。

 

 真中もオレ同様今気づいたみたいで顔を仄かに赤くさせて頷いた。

 

「……うん。オレも絶対そっちの方が良いと思う」

「ねー? あたしが言った通りでしょ? ほーら! どんなもんだい? 蓮くん??」

「なんで西野がドヤ顔するのか、いまいちわからんケド。………んん」

「ん? なんだよ蓮。不服でもあるの?」

「えふんっ……。いや そんなん無いって。オレもそっちの方が似合うって思うよ」

 

 確かに東城はそっちの方(前髪を下ろした方が)良いって思ったけど、それ以上にドヤ顔西野も十分すぎる程可愛いよ、って思ったから ちょっとタイムラグ起こしたよ。口に出して言わなくて良かった。

 言うのはやぶさかでもないんだけど、流石に皆の前で言える程 出来上がってないし。

 

 咳で誤魔化せたと思う。西野は怪しむ様子ない。良かった……。

 

 

「え、えと…… そ、そんな……っ」

 

 

 東城は 何か恥ずかしそうに顔を赤くさせてた。

 

「あ、そーだっ! その、西野さんも一緒に勉強するのどう?? ほ、ほら 朝図書室で皆勉強しよーって話、してたんだけど」

「え?」

「3人より4人! みんなで勉強した方が楽しいって思うから!」

 

 あ、東城 今強引に話題を逸らそうとしてるのがよく判る。

 でも そうツッコンで 意地悪をするのもちょっとかわいそうかな?

 

「確か西野は数学苦手って言ってたよな? 皆で復習すれば効率も増すと思うぞ。オレは賛成だ」

「んー…… そうだね! あたしも混ぜて貰っちゃおうかな?」

「よっしゃー! これで数学も英語も怖くないぜー! (ってか、美少女2人と勉強って、なんかメチャクチャ充実感もあるんだけど……。中3にして初めてだなー……)」

「ん?」

 

 真中が何かすげぇ感動してるみたいだ。何か涙まで流してるけど、そこまで好きになったのか? 勉強。

 

「な訳ないか」

「ん? どうしたの蓮」

「いや、なんでもない。ほら、そろそろ休み時間終わるぞ。……この面子でまた遅れたら、次はもっと長くなりそうだ」

 

 あまり思い出したくないけど、前の昼休み。盛大に授業遅刻して大変だった。勿論説教がな。

 

「あー、そう言えばそうだったねー」

 

 西野は同調してるけど、オレは覚えてるゾ。忘れてないし。

 

「お咎めなしだったよなー、1人だけ!」

「えへへ……」

 

 ぽこっ! と西野の頭を一発ツッコミ入れたよ。

 

 原因の1人って自覚があるのか、舌をぺろっと出して笑ってた。

 くそぅ…… やっぱ可愛いな。なんか簡単に色々と許しそうで悔しい。

 

「ふふ……あはははは」

 

 東城も笑ってるし。

 

「ってか いつの間にそこまで仲良くなったんだ? 神谷と西野」

「ええ!? ま、真中くん。2人の事 噂になってるんだよ? 知らない?」

「へ? 噂??」

 

 ……アレだけ騒がれてたら当の本人でさえ耳に入るのに。真中は知らないみたい。それだけ勉強に力を入れてたのか。うん。素直にスゲェって思うよ。今だけは良い意味で。

 

「2人はお付き合い……してるんだよね?」

 

 東城は 凄く恥ずかしそうにそう聞いてた。なんかこっちまで恥ずかしくなるくらいだ。

 

「あ、あはは~……。う、うん。そーだよ?」

 

 西野も顔赤くさせつつ、腕を取ったよ。オレの。

 ……ここが図書室で良かった。それに今オレ達以外誰も利用してなくてほんと良かった。

 

 

「だ、だから 東城さん! 蓮 取っちゃダメだからね! 私、結構一途で、更に欲張りなんだからね!?」

「そんな事しないよー。ふふふ。おめでとう西野さん。ほんと、良かったね」

「っ……/// う、うんっ」

 

 

 

 うんうん。仲良さそうで良いな。

 更に言えば 話題がオレ達の事じゃなかったら良かったんだけどなぁ。今、オレ非常に恥ずかしい。西野、ほんとあれから一直線だから。ストレートに言ってくれるから。嬉しい事は凄く嬉しいんだけど やっぱり恥ずかし過ぎて顔が熱い。

 

 オレも はっきりと西野のお母さんに色々言っちゃったから、『そんなのお互い様だもん!』って言われたけど……。うぅ これ以上やったら顔から火が出そう……。

 

 

「うーむ。成る程。だからあの時、告白するの止めたのか? 神谷。良かった。オレフラれると同時に赤っ恥かくとこだった」

「…………」

 

 

 後から聞いたら 真中にその後色々訊かれたりしたらしいけど、オレ全然覚えてなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ、へへへ…… 朝、勉強会……。 聞いたぞ、聞いたぞぉぉぉ……」

「面白そうな事になってるケド、女の子2に男4ってなぁー。オレ達余りもんだし。惨めになるだけだと思うよ? 小宮山」

「聞ぃぃぃたぁぁぁぁぞぉぉぉぉぉぉーーー!!!」

「ダメだこりゃ」

 

 

 


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