平凡は、いちごと共に消ゆ   作:フリードg

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原作沿いに漸く戻れた…… 気がする。




25話

 

 ほんと、昨日はいろいろとあったんだけど…… これからの学校生活。もう短い学校生活でさ、もっともっといろいろ起こりそうな気がして気が重いよ。うん、マジで。

 

 西野のお母さんに謝ってた時は 色々と緊張してて意識レベルまでシャットアウトしかねないレベルだったから まぁ 大丈夫? だったんだけど、流石にこれはなぁ……。

 

 

『おい 知ってる? 西野つかさに男ができたってよ』

『マジ!? ウソッ!? 誰だよ! 相手は!!』

『4組の神谷だって。……神谷ってそう言うのに全く興味示さねぇって思ってたのによぉ……』

『マジでっっ!? 大草とかならまだしも、あの神谷が西野をおとそうとしたっての? てか、落した!?』

『何でも、襲われてた西野を助けたー、とか。西野の前で華麗に不良をKOしたー、とかいろいろと噂が上がっててさぁー』

 

 

 もっとさぁ、色々な話題を話せよ。中学生諸君よ。

 なんで、その話題一色なんだよ! 今は受験シーズンだぞ! もっと勉強の事とか…… いや、勉強ばっかで詰まんないんだったら、ほれ、芸能人とか 話題の新曲とか新作のゲームとかいろいろと欠かせないのがあるだろっっ!? クリスマスシーズンで出た新曲・新作だってまだまだ断然現役なんだからよ!

 

「はぁ……」

 

 聴こえてくるから ため息が出るよ。滅茶苦茶。もう 廊下に出たくないな。めんどくさい。

 

「ひえーっ すげぇな……。もう皆して神谷とかの事話してるぜ。情報回るの早いなぁー。ってか、何処からどこまでが本当なんだ?」

「ううーん。正直眉唾な事が多いけどな。KOした~ とか除けて。そんな事しなくても 西野も神谷にはずっと気があったっぽいし、神谷の方もマンザラじゃなさそうだったし。……ってか、オレはどっちかって言うと、さっきからずっと勉強しまくりな真中の方も気になってるんだけど」

 

 好き勝手言ってくれてる小宮山と大草。真中がいないなーと思ったら、今熱心に勉強してるよ。スゲェ今更な気もするケド、しないよりは全然良い。英3を只管復唱してる。英語が壊滅的に苦手って言ってたから まぁ 妥当かな。

 

「―――オレ、アイツの考えてること全然わかんねぇな」

「いやいや、結構単純じゃないか? 真中もそうだけど、東城も結構勉強してるんだぜ? 元々学力優秀なのに、更にさ。多分、一緒のトコに行きたいんだろうな。何か意気投合してるっぽかったし。付き合ってる感じじゃないけど」

「……ほんと、噂のいちごの美少女が東城だった、って事なんかー。それもわかんねぇなぁ。あ、ちょっと髪下ろして見てもらいたいな」

「……まー、真中がずっと言ってた、変態単語連発してた頃に比べたら断然マシだろ。こっちの方が健全、って思いたい。年頃だと言っても 大声出すのはダメだって」

 

 しれーっとオレは2人の会話に入ったよ。

 周囲の声を紛らわせようと思ったから。

 

「んで、神谷。噂の程は何処までが本当なんだ?」

「……いやいやいや、なんでその話にする?? 真中たちの話だったんじゃねぇの??」

「気になるじゃねぇかぁぁぁぁぁ!! オレたちのつかさちゃんを掻っ攫いやがったんだからよぉぉぉぉぉ!!!」

「いきなり大声になんなよ馬鹿!! ってか、暑苦しい! 離れろ!! 抱き着いてくんな!」

 

 さっきまで真中と東城の話にシフトチェンジしてたのに、オレが来た事で直ぐに代わった……。ちっとはオレの中の空気ってヤツをよんでもらいたいわ。

 

 

『うー…… 西野さん相手じゃかなわないよねぇ……。だって、神谷くんでしょ? 大草くんとはちょっと違った魅力って言うか、落ち着いてて、大人って感じがしてて ちょーっと注目してたんだけどなぁー』

『あ、そう言うコって結構多いよ?』

 

 

 教室でも廊下でも……。

 ってか、オレって西野が言ってた通り…… 人気ってヤツがあったのか……? 気付かないオレが鈍い? 今までこんなの無かったんだけど……。

 

「大草。オレを隠す様にしてくれ。これからのボディガード宜しく頼むわ」

「なんでだよ!」

「木を隠すなら森だ。大草だったら樹海レベルだろ」

「……止めてクレ。神谷テンパり過ぎ。何かアホに見えるぞ。そんな事言ってたら」

 

 ……大草にそう言われたら グサッ! と見えない槍が突き刺さる感じがするよ。いや割とマジで。

 

 しかし アホ姉が『蓮は絶対モテそうだから、しっかりと私色に染めとかないと!!』って 結構言われまくってて、それで所謂洗脳されたのか、或いはアホ姉の言葉だから、って有り得ない有り得ないって考えてた結果なのかなぁ? そんなわけねぇだろ。って。

 

 

「うぅぅぅぅ…… それに神谷ぁ…… 朝だって西野と一緒に登校してたの…… みぃーたぁーぞぉー……」

「だから寄ってくんな! 化けモンがっ!!」

 

 オレは 何かいつもの数倍くらいの大きさの顔面にして襲い掛かってくる小宮山を押し返した。

 

「それよか、神谷はどの高校目指してんの? 西野と一緒のトコに行くんだろ?」

「あぁー……。まぁ、オレは一応ずっと泉坂に照準合わせてたからな。この辺ではあそこが一番だし。難易度的に桜海だけど、あそこは女子高だし。親は 基本的に放任主義なトコだから 何処言っても良いって言ってるけど…… 近場だって事もあってやっぱ泉坂かなぁ。西野は 『あたしもそこにする!』って言ってたから……」

「おーおー、お熱い事だねぇー。良いねぇー両想いってさぁー」

「うぉぉぉぉんっっ!! つーかーさーちゃーーんっっ!!」

 

「…………」

 

 しまった……、普通に話してしまった……。今朝の事も知られてて 色々と西野と話したりしてた事まで……。だって、大草自然に聞いてくるし。こっちも自然に返してしまったよ。

 

 周囲の目も、何だか痛く感じてきた……。

 

「はぁ…… オレ、図書室行ってくるわ。ここじゃ身が持たん。勉強してた方が 全然有意義」

 

 と言う訳で、ちゃっちゃと用意して向かう事にしたよ。廊下じゃ嫌でも周囲の視線が感じるケド、図書室なら大丈夫だ。騒ごうものなら図書委員と顧問の先生から大目玉くらうし。……そもそも んな話するくらいなら 図書室くんな、って話だし。

 

 

「真中に習って オレも英語の復習でもするかな……」

 

 図書室で教本とノートを広げて準備完了。

 

「関係代名詞1、2は問題なし。現在完了の継続と経験、完了方面も大体大丈夫だけど、とりあえずえそっちに力いれるか……」

 

 とりあえず開始だ。

 

 今更だけど 西野の事は大切。ちゃんと返事もしたし…… もう、流石に考えたくらいじゃ赤くなったりはしないけど、ファーストキスまでした。それもお互いが初めてだった。西野の事を中心に考える事はやぶさかではない、と言うより 実は周囲にナニ言われたって全然問題ない。

 

 でも――、そればかり疎かにしてて、受験に身が入らなくなるのはダメだし、西野のお母さんにもしっかりと言われたんだ。学生らしくつつましくってさ。だから 本分の勉強にもしっかり力いれないと、だな。

 

―――でも 登下校くらいは 西野がしたい事を優先させるよ。

 

 

 《勉強4 西野5 今後の周囲の対応1》 程度の割合で頭の中で考えてた時だ。

 

 

「『彼女が夏休みにハワイで買った高級バッグは偽物だった』を英訳しなさい……?? んー、主語はバッグだよな……? バッグ??」

 

 

 聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「……あれ? 真中?」

「うー……英語難し過ぎ……って、神谷じゃん。なんでここにいんの?」

「いや、オレの方が早かったろ。来た時、そこ誰も座ってなかったし」

「あ、ああ。そりゃそっか。集中してたから判らんかったよ」

「ほっほー、真中でも集中できるんだな? 映画関係以外で。なかなか見直した」

「うるせっ! オレは東城と約束したんだよ! ぜってー同じ高校に入って映画作る! って」

「おう。目標がある事は良い事だ。……だから頑張れ。あと、そこは使う文法があるだろ? その辺も意識して覚えないとミスるぞ」

「へ? そうだっけ?」

 

 英語苦手な真中に判りやすく教えるのは難しい。でも、判らない相手に教える事が出来たら、その時100%自分も理解できている証明にもなるって、受験講師が言ってた様な気がするな。

 

「そうだよ。そーいう場合は関係代名詞を使うんでしょ?」

 

 真中と話をしてたら、もう1人入ってきた。

 東城だったよ。

 

「こんにちは。2人とも勉強頑張ってるのね」

「ああ。東城も、だろ? うーん。東城が来たなら オレ場所変えるかな」

「えっ?? なんで??」

「いや…… その辺は空気読めるから」

 

 今の東城と真中の関係が判らんほどオレは鈍感でもない。……西野曰くオレは結構鈍感な面があるらしいけど、これくらいは判る。

 

「い、いやいやいや。今は勉強だろ?? 泉坂入れなきゃ意味ないんだし! 1人より2人、2人より3人だ! 誰しも苦手があるだろ?」

「そ、そうよ。無理して出ていくなんて……。わ、わたしが後から来たのに……」

「わ、悪かった。真中は兎も角、東城が悪い気がするなら、ここで勉強するって」

 

 顔を赤くさせてる2人を見るのは 良いんだけど、なんか東城は段々罪悪感が沸いてる様な表情になっていってるから 直ぐに改めたよ。

 

 ま、ここは図書室。勉強する場所だし。

 

「映画を作る為にも、オレの目標は泉坂高校合格! あそこじゃねーと映像部ないんだし、勉強をするしかない! あ、そうだ。東城。さっきの話だけど、神谷も誘うか?」

「ん? さっきの話??」

「あ、うん。朝少し早めに学校にきて、朝の勉強会をしようって話! 今西野さんも勉強頑張ってるって聞いたから、皆でしない? 捗ると思うんだ!」

 

 東城が身を乗り出しそうな勢いで薦めてくる。色々と嬉しい部分が当然あるんだけど、東城がそんな動きしたら……。

 

「きゃっ!」

 

 ほら、なんで? って思うタイミングで椅子から転び落ちたよ。それも顔面着地しけてる。

 

「と、東城!?」

「うわわっ! 大丈夫か、東城!??」

 

 すてーんっ! と転んだから……、うん。……仕方ないよな? これは……。女子生徒はみんなスカートだし…… 捲れちゃって、それを見てしまっても、オレらには罪はない。と言うより無罪だよな? ……ってか、最近こんなのが多い気がする。

 

 うん……。今 東城のスカートが良い角度で捲れてて、中身がはっきりと見えてしまったんだ……。

 

 それは、真中がずーーっと騒いでた柄のモノ。出会いって熱くなった? のを象徴する…… いちご模様の下着。

 

 

「だ、大丈夫。あたし、ドジだから……」

「……………」

「……………」

 

 

 フリーズしかけたって悪くないと思う。

 でも、ずっとこけたままなのはアレだから……。

 

「ほら。大丈夫か?」

 

 反射的に手を差し出したよ。この辺は真中の役割だと思ったんだけど、オレの方が近かったし。

 

「あ、ありがとー。……うん、メガネ、割れてないよね? ほっ…… 良かった」

 

 メガネわれそうな勢いで倒れてたけど、問題ない様子だ。目が悪い人がこの時期に割ってしまうのは、正直最悪だった、って思うから その辺は良かったってオレも思ったよ。

 

 それに、メガネだって馬鹿にならない金額するし。

 

 

「勉強中に倒れる~なんて事滅多にないと思うけど…… ま、気を付けろよ……って、いてぇっっ!?」

 

 

 東城を引っ張り起こした後、なんか背中に激痛が走った。

 ほんと、いきなり。

 

 

「……こんなトコで、とーじょーさんとナニしてるのかなぁー……蓮は」

 

 

 振り返ってみると、笑ってるのか怒ってるのか判らない表情をした西野がいたよ。

 忍者だ。全く気配を感じなかったし……。

 

 メチャ痛い。 でも、西野のその顔。笑ってるのか、怒ってるのか やっぱ判らないけど……。

 

 

 うん。やっぱどんな顔しても可愛いってコトは判る。

 

 ……口に出して言わないけどな。




……作者である自分はこーーんな甘酸っぱいシーンとは無縁だったなぁ…… (涙)









 ずーーっと部活部活部活…… スパルタスパルタスパルタ………  勉強ちょろっと

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