平凡は、いちごと共に消ゆ   作:フリードg

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超王道だと思う。こんな展開。
そして オリ主人公は色々な意味で強しw


22話

 

 

 走っていく蓮の後ろ姿を目に焼き付けてる。……うん。こう言う時って追っかけた方がやっぱり良いよね? 今逃げちゃう……何てことは流石に今更だし、絶対ないって思うけど、やっぱり……せっかく一緒にいられてる時間。あとちょっとだけしかないから 離れちゃうのは勿体ないもん。

 

 それにしても、今日はほんと色々とあったなぁ。

 あたしは 蓮の事ずっと気になってて、大変だった。

 うん。勿論 蓮と一緒に腕を組んで歩いている女の人の事だよ。

 

 

 

 あの日の夕方……。

 

 

 

 夕日の中に2人の男女が入っていく光景。

 今思い出しても 凄くロマンチックに見えるし、ユリが言ってた展開にも似通ってたって思うから(ま、流石にオーロラは無いけどね)。

 

 それで色々あって 今日初めて蓮の口からきく事が出来たんだ。

 

 最初は蓮、すっごく顔強張ってたり 固まってたり 慌ててたりと世話しなかったなぁ。でも やっぱり誰かに知られるのが嫌だったんだとあたしは思ってた。蓮は騒がれたりしたりするのが苦手、つまり恥ずかしがり屋だからね。

 

 それで蓮が言ってた真相……なんだけど。

 

『あ、あの……あのな? 西野。……あ、あれは……、………ね、なんだ』

 

 口籠ってて、更に声がいつもの3倍。歌を歌ってる時の5倍は小さな声だったから、とーぜんあたしには聞きとれなかったよ。最初。

 

『え? なに……?』

 

 凄く聞きたいって気持ちもあった半面、怖い気持ちだってあったりしてたケド あたしは、蓮にもう一歩近づいて聞こうとした。蓮は口をもごもごさせてて……、それで何度か呟いた後、はっきりと言ったんだ。

 

『だから あの時のは、 あ、姉なんだよ!! つまり、ねーちゃん! 姉貴!! 2個年上の姉!!!』

 

 周囲に滅茶苦茶響いてるんじゃ? って思えるほどの大絶叫だったよ……。

 姉もねーちゃんも姉貴も同じ意味なんだけど……それは兎も角、今度はあたしが固まっちゃってた。

 数秒固まった後。

 

『………あ、あね?』

 

 一度聞き返しちゃった。

 

『う………むむむ、 そーだ! そーだよ姉だ!! ってか、ウソだったとしても、そんな(もん)言いたくなんかねぇよーー!!』

 

 蓮の絶叫は止まんなかった。

 だから、あたしは思わず蓮の背中摩ってた。すっごく興奮してたから。

 

 それでね。ちょっとずつ落ち着けたみたいで、話してくれたよ。

 

『あの時…… その、メールがあって姉に買い物付き合ってって頼まれたんだ。買い物手伝ってって。……姉は色々と難がある性格というか、アブノーマルと言うか…… 色々とあるんだけど、世話にはなってるし、借りを作ったままって言うのはオレも嫌だし。基本、頼まれた事は断らない様にしてるんだよ。………それ以上に貸してる気がすんだけど、まぁ……』

 

 蓮は思いっきり頭を掻き続けた。

 うん。……嘘言ってる様には見えないんだ。ぜんっぜん。

 それよりも、あたしは驚いてた……。

 

 え? 驚いたのは蓮の事じゃないヨ?

 

 その……ね。ズバリ、的中したんだ。

 

 あたしの友達のユリが言ってた事が……。もうっ、ユリは超能力者だよ! ここまで来たらさ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日、あたしがへこんでた時にユリ、言ってたんだ。

 

 

『良い? つかさ。私が思うにね……。その一緒に歩いてたって人。神谷君のおねーちゃんじゃないのかな??』

 

 

 なんか、ユリ思いっきりあたしの手を握って断言してたんだ。

 とーぜん、あたしの顔は『はぁっ!?』なってたと思うよ。自分でも。だって ほんと突拍子もない事だったし、説得力って言うものもないと思ったもん。

 それがユリにも伝わったんだよ。きっと。

 

『つかさっ! 世の姉はね…… 本心では弟の事が好きで好きでたまらないモノなのよーーっ! みーーんな、理性とか世間体っつー偽善な壁を作っちゃってて、自分を誤魔化してるだけなのよーーっっ!! みんなみんな大好きなのっっ!!』

 

 どんっ! と胸を叩いてそう言われても……ね? 確かにユリは弟のサト君LOVEなのはずーーっと知ってたけど、世間一般の皆さんも同じ~と言うのは聊か強引過ぎやしないかい??

 そりゃ、弟の事、家族が大好きって言う人も当然沢山いるって思うけど…… ユリのって、親愛じゃなくって愛情、……LOVEって事だもん。LIKEじゃなくって……。

 

 

『だからきっと神谷くんのお姉ちゃんだったんだよ! 間違いないよ? キタコレ! だよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ほんとに……、ほんとに……。

 

『当たっちゃった……?』

『……ぅぅ。んん? 何が、だ……?』

『い、いやっ! ナンデモナイヨ? 蓮っ! うん。……そ、っか。……そっか!!』

 

 あたしは、驚いていたんだけど、直ぐにそれを覆いつくす程、ぜーーんぶ消えてしまう程嬉しかった。とても、嬉しかったし、安心もした。

 

『蓮のお姉さんは、蓮の事が好きなんだねー? 蓮もそうなの??』

『誰があんなアホを……っ。……当然 家族としてはある。……家族としては、だ!! あんなのと一緒にされたら困る!!』

『あははははっ! 仲が良い事は良い事だよっ! うんうん。でも アホは酷いと思うよー?』

『西野は知らんだけだ! 姉貴は限度が超えてるんだよ!? それにさっきも過剰すぎるっつったろっっ!! 無茶苦茶なんだっ!! だから、あんまり答えたくなかった!! ……なのに。……ぅぅ、言いたく、無かった。血反吐……吐きそうだ……』

『あはははっ。って血反吐!? そ、そこまでっ!?』

 

 蹲りそうな蓮を思わず支えちゃったよ。

 すっごいストレスだったって事……かな? でも、コレ ユリが聞いてたら……。 それどころかサト君本人から言われちゃったら……。

 

 うん。怖いから考えるの止めよう。ってか、それよりも。

 

 

『はぁーーーー……』

 

 

 凄く、凄く安心出来たせいか、気が抜けちゃったんだ。

 

 

 

 

 

 それで この後はカラオケに行ったんだ。

 

 とても、とても楽しかったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それで今。

 蓮はコンビニに入っていった。本当は あたしも一緒に行くつもりだったんだけど、先に行っちゃったんだ。 ただ、待ってるだけだったらアレだから、あたしも向かったよ。

 

「……はぁ、会えなかった時間って凄く苦痛に感じてたのに、今はへっちゃらだ。あはは。不思議……でもないかな。それに あたしの為に……だもんね」

 

 ちょっとはしゃぎ過ぎちゃったんだ。そのせいで 喉痛めちゃって、ちょっと咳き込んだ所を、蓮が見ていてくれた。

 

「(……嬉しかったなぁ。あはは。奢ってくれることじゃなくて、……あたしの事 ちゃんと見ててくれてるんだ、って思って)」

 

 だからこそ、もっともっと蓮と一緒にいたいから、ちょっと歩くスピードアップ!

 もうちょっとで、コンビニ。……うーん、出てきたところで思いっきり抱き着いてみようかな??

 

「ふふっ、流石にそれはちょっと早い……かな?」

 

 

「おっ、可愛い子ちゃんはっけーんっ!」

「え……?」

 

 突然、だったよ。

 突然……目の前に男の人が2人、ほんとに突然出てきたんだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2点で220円になりまーす。ポイントカードはお持ちですか?」

「いえ、ポイントカードはありません。あ、袋は大丈夫です」

「はい。ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」

 

 ここのコンビニは初めて利用するんだけど……ここの女性店員は凄く丁寧な対応だった。

 多分高校生のバイトかな? って思う。 

 

 ……なんでこんな事考えてんのか? って疑問はきっと前に利用したトコの接客対応が結構雑だったからだと思うな。前のトコは『ませー』『ありっしたー』しか言ってなかったし。

 

「ま、別にオレはあれ位でも全然OKだけど」

 

 最低限の接客ってのはあると思うけど、オレは別に気になんないんだよな。もっと濃い人とあった事だってあるから。

 

 それは兎も角……。

 

「うーん。買う前に西野に何が欲しいかくらいは訊いてた方が良かったかな? コーラとオレンジジュースでも良いかな。……嫌いだったらもう一回買えば良いか」

 

 西野がそう言う風に言うとは思わないけど…… リクエスト聞かずに飛び出したオレに非があるし、余ったら家に持って帰ったら良いだけだし。

 

「さてと。早く戻らないと……ん?」

 

 ふと外を見た時だったよ。

 西野がいた。それは不思議じゃない。それ以外に誰かがいたんだ。

 

「………」

 

 それに雰囲気が明らかに悪かった。

 だから、オレは足早にコンビニを出たよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと何よ、あんた達……!」

「お、キミって噂の美少女、西野つかさちゃんだろ? 中坊とは思えねぇくらい可愛いねぇー♪ 触っちゃったっ 手、やわらかーいっ!」

「おー! いーなーいーなー! オレもさわっとこっと♡」

「あの! 用が済んだなら、離してくれる!?」

「駄目だ―め! 離さないよ~~ん。こーーんな幸運逃したら、罪ってもんでしょ?」

「噂は訊いてたしね~。すっげー可愛い子がいるってさ? それに もう中学生はお家に帰らなきゃな時間だろ~? ちゃんと保護してあげないとなぁ~」

 

 凄く、凄く不快だった。

 こんなに触られるのって不快だったんだって 思った。

 学校の男子たちなら、『離して』って言ったら ちゃんと聞いてくれるのに、この人たちは全然聞いてくれない。

 

 凄く……凄く、怖い。……怖い。

 

「(こわい、怖いよ…… 助けて、……助けて……っ れ、れん……)」

 

 目の前が真っ暗になっていってる。

 逃げなきゃ、いけないって判ってるのに…… 掴んでる力が凄く強くて、振り払う事が出来ないよ……。

 

 あ、あたし…… ど、どうなっちゃう……の?

 

「れ、れん……」

「んー? なんだって? これからデートしてくれるって?」

「おっ、マジで?? 嬉しいな~! この辺ってあんま詳しくないしー。案内してよー」

「れん……、れん……っ」

 

 あたしは、ただただ 名前を呼ぶ以外できなかった。

 助けて、って、ずっと思ってて。 その、時だったよ。

 

「れん? 何それ?」

「……オレの事だよ」

「あ?」

 

 後ろに、いたんだ……。

 蓮が、来てくれたんだ……。

 

「その子と付き合ってんの。オレなんだけど……。勝手に連れて言ったら困るな」

「はぁ? 誰お前」

「つーかダメだろ。つかさちゃんは 今はオレらと付き合ってんの~! 何? 彼氏? なら ちょっと彼女貸してよー。大事に扱うからよー」

「はぁ…… ってか、中学生狙って恥ずかしくないのか? アンタら。……同学に相手にされないからって」

「あぁ!!」

 

 だ、駄目だよ……。あ、相手は2人、いるんだよ? あ、危ないよっ! 

 

「何お前。舐めてんの? クソガキ」

「つかさちゃんの前にお前と遊んでやろうか?」

「……はぁ 受験前に問題起こしたくないんだけど」

「なんだお前。ビビっちゃった?」

「はっはは! 今更詫び入れたって許さねぇぞ。オレらにケンカ売ってきてんだからよ! 彼女の前でぼっこぼこにしてやんよ!」

 

 や、やめて……!

 

「やめて……っ!!」

 

 なんとか、声に出せたのに。ようやく、出せたのに もう遅かった。あの男達が あたしの手を離して、行ってしまったから。心臓が締め付けられるような感じだった。とても苦しかった。

 

 でも、もっと 驚いたのは その直ぐ後だったんだ。

 

「ぷわあっっ!!」

 

 男の顔に、何かが、水か何かが掛かって、仰け反ってたから。

 

「ったく……、折角買ったコーラだってのに」

「てめっっ! 何しやがる!!」

「ん」

 

 蓮の方に、もう1人の男が飛びかかった……のに、飛びかかった方の男がひっくり返っちゃった。

 

「ぐええっ!」

「ぎゃああ!!」

 

 丁度……顔に何かが、コーラ……かな。それが掛かった男を巻き込んで。

 それで直ぐに蓮があたしの方に駆けつけてくれた。

 

「ほら。今の内。走れるか?」

「え、あ、……あ、あたし……っ」

 頭ではわかってても 行動する事が出来なかった。そんなあたしの事、判ってくれたのか。

 

「ちょっとゴメン」

「え…… きゃぁっ!」

 

 蓮があたしの事 抱えたんだ。

 

「ちょっと揺れるけど、我慢してくれ。ちょっといったら この先に交番あるし。あ、店員さん。110番も宜しく。何かあったら 証言してくれると助かります」

「え、えと。は、はい! 判りました!!」

 

 気付かなかったけど、コンビニの店員さんが 外に来てくれてた。遠巻き、だったけど。女の人だったから それも仕様がない、よね。だって あの男達があの女の人を狙う事だってあるかもしれないんだし。

 

 でも、その心配はなかったよ。

 

 

 

「け、けいさつはまずい!! いってぇ……っ こ、こしうった……」

「に、逃げるぞ!! うげっ、ま、前が見えねぇ……!」

 

 

 

 さっきの男達、へっぴり腰でよたよたと逃げていったから……。

 

 

 






所謂 原作の『日暮さん』の見せ場。

 それを盗った訳です。

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