平凡は、いちごと共に消ゆ   作:フリードg

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※注意※

遅い上に 全然進んでなくて。
西野ってうじうじキャラじゃない(って思ってる)のに このネタ引っ張ってて

                 すんませんm(__)m


なかなか進めない…… そして 現実はしんどい。


19話

 

「はぁ…… ほんっとあたしって意気地なしになっちゃったんだなぁ……。こんなんじゃないって思ってたのにな」

 

 あの日から今日で4日目だよ? 一週間、終わっちゃうよ? 時間は無限じゃないんだよ?? 

 

 って自分でも思ってるのに、頑張ろうっ! ってずっと思ってたのに。……なのに あたしは 蓮と一言だって話せてない。それどころか 蓮に会えてない。蓮の歌……いや 声さえも訊けてない。

 

「……やっぱり寂しいよぉ。でも まぁ 行けてないあたしのが悪いって言えば 自業自得なんだけど……。うぅ…… でも 蓮だって、蓮だってぇ……」

 

 クラスは違うけど 会おうと思ったら会えない筈はないんだ。現にちょっと前にはあたしは蓮に会っていたんだから。

 でも蓮とも仲良くなれたって(あたしは)想ってるし、ずっと会えてなかったら様子を見に来てくれたって良いのにっ!

 

 そうだよ! 蓮が来てくれないのも悪いっ! あたしだけのせーじゃないっ! 蓮が悪いんだゾ! 絶対にっ! ……。

 

「はぁ……」 

「おーい つーかーさっ! 猫背になってるぞー! それに ため息はすればする程 幸福が逃げてくんだぞーーっ!」

「きゃあっ!」

 

 突然、背中を叩かれてビックリしたよ。

 うん、誰にされたか判る。声で判ったし それに何より いきなりこーいう事するのは間違いなくユリだよ、絶対。

 

「も、もーっ! やめてよーユリっ! ビックリするじゃんっ」

「だって、もういい加減見てられないんだよっ。生返事だって多かったし、あの時は吹っ切れたー! って笑顔になったと思ったらすぐに戻っちゃって! それでも頑張るって言ってたから見てたけど……、全然変わってないんだから! だからほら つかさ! いい加減に話してよ! 元気ない つかさ見てるの私も辛いのっ! ほら、向こういこっ!」 

「ぅぅ……」

 

 今のユリ 全然フザけてる感じじゃなかったよ。強引なのは変わらないんだけど。

 それに、こう言うのって『余計なお世話』とか『自分の問題なんだからほっといて!』とか言う人だっていると思う。

 それでも、あたしは不快になんか思えなかった。前の時もそうだったけど、やっぱりあたしの事を本当に、本気で心配してくれてるって伝わったから。……それと同時に、やっぱり凄く心配かけてるんだって事も改めて思ったよ。また、同じ事言われちゃったから。

 

 だから、もうちゃんと話したよ。相手の事も。……相手が蓮だって事も。

 

 勿論、周りに誰もい無い事は確認したよ? 蓮って 騒がれるの嫌だって言ってたし。あたしも……、流石に恥ずかしいし それにその…… 望んでないのにいつも周りには誰かついてくるから。

 

 蓮と一緒にいる時は2人が良いから。

 

 うぅ……やっぱり恥ずかしいな。本人はいないとはいえ告白しちゃうのって。

 真中君やあの怖い男子は堂々と廊下で言ってたけど…… 今はある意味尊敬するかもだよ。

 

「ふむふむ……。成る程ねぇ。難攻不落なつかさを見事撃沈陥落、ハートを射止めたのは あの(・・)神谷くんだったのかぁ……。うーん。でも 分かる気はするかな? 言ったら大草くんが表で、蓮くんがが裏って感じ? 隠れイケメンって呼ばれてるもんね。でも 他の子よりもずっと大人っぽいし、大草くんって結構女子に囲まれる事が多いし 楽しく遊んでるのも見た事あるけど、神谷くんは そう言うのなくって 雰囲気も他の男子とは全然違うしねー」

 

 ユリ 凄く良く知ってる様な気がする……ケド、これがほんとスタンダードなんだよね。蓮は頑なに認めなかったり、信じなかったけど 結構人気だったんだよ? 聴こえてくるんだよ? ほんとに。

 

「う、うん。あたしは 蓮とは付き合いはとても短いんだけど。そんな感じがするのは確かだよ」

 

 もう、誤魔化したり はぐらかせたりせずに、蓮の事どう思ってるのか 認めたよ……。ユリにはもう嘘つきたくないからね。

 

「ほほぅ……付き合いねぇ……」

「あっ、ち、違う違う。知り合ったのは~だった! 付き合うって言ったら彼氏彼女って感じだし、そんなトコまで行けてないから!」

「どーどー、落ち着いて。うむ よしよし。と言う訳で つかさとの馴初め話なんかはどーなの? その話 プリーズ」

「うぇっ!? な、馴初め!?」

 

 馴初めって言われたら、何だか凄く恥ずかしいよ! だ、だって確か恋人同士とか 付き合ってる男女とかが知り合ったきっかけとか、そんな意味だった筈だし。

 

「べ、別に話して面白いものじゃないよ?? そ、それに今は 違うじゃんっ! 今はかんけーないって!」

「あっ、そう言えばそーだったねー。つかさを元気付けて神谷くんのトコに送ろう! って会だったね」

「ぅぅ…… ユリ、絶対楽しんでるだろ……」

「あははは。ごめんごめん。そんな事無いって」

 

 笑いながら謝られたってなぁ……。

 でも、やっぱし軽くなれたって思うかも。……最初からユリには相談しとくべきだったかな? 面白おかしくされちゃうのは嫌だけど。

 

「でもさ、訊いてみたいって思うかもだね。だって つかさ ってば ほんと色んな人に告白とかされちゃったりしてるけど、まーーったく靡かなかったじゃん? 大草くん~とまではいかないけど、秀才クン、イケメンクンとか沢山いたけど全部撃沈させたしー」

「う、うるさいなーー! あたしだって 好きでされてるんじゃないよーっ! そう言うの興味ないって言っただけだもんっ! それにまだまだあたし達なんて子供っ! 中学生なんだから!」

「そうそう、判ってるってば。あたしが一番つかさの傍にいたんだし、判らない訳ないでしょ? だからこそ思っちゃうんだよ。あの、つかさがねーって」

「むー……。しょーがないじゃん。蓮と一緒にいるととても楽しいんだから。何気ない話だって楽しくて仕方ないんだから。あたしと一緒に笑ってくれると、なんだか幸せな気分になれるんだから。……でも」

 

 あたしは 今までの事を思い出しながら、続けたよ。

 

 屋上で出会った時の事。逃げられちゃった事。思わず告白みたいな事しちゃった事。……それで歌まで聴けた事。

 

 蓮の歌ってた曲がコンビニとかで流れた時さ。何だか今まではあまり聴かなかった曲だったのに すっごく聴く様になって、好きになって……。……なってたのに。

 

「……あれから好きになった曲だったのに、全然良い曲に聴こえなくなっちゃったし。もう4日目だって思ったんだけど…… 本当はあたしは凄く長く感じてたんだ。ご飯だって何だか砂を食べてるみたいで美味しくなくて。……やっぱり つまらないんだ。蓮が隣で笑ってくれないと。蓮と一緒にいないと……」

「…………」

「あっ! ご、ごめん! 違うよ! ユリや皆といる時が楽しくない訳じゃないんだよ??」

「あっはは! 無理してそんなフォローしなくて良いってば。友達との付き合いとはまた別次元の話だって。そのくらい判るから。甘い物は別腹って感じでさ?」

 

 ユリは腕組しながらうんうん頷いてた。

 でもなんだか例え話が変だって思ったケド、今は良いや。

 

「あのね、つかさ」

「う、うん?」

「話聞くと、つかさは れん…… 神谷くんと喧嘩した訳でも こっぴどくフラれた訳でもないんだよね?」

 

 何だかすっごく不吉な事言ってくれてるよ…… ユリ。そんな訳ないじゃん! 

 だからあたしは、反射的に首が痛いって思うくらい頷いてた。

 

「神谷くんと一緒に誰かが帰ってて……、その後ろ姿が恋人っぽくみえて、って事なんだよね? んで、そこからSTOPしてるって事?」

「う、うん……。そこから先に行けてない。……行けてないんだ」

 

 うぅ 改めていわれたらすっごく落ち込んじゃうよ……。

 情けないってあたし自身でも……。まだ そうと決まった訳じゃないのに。……確かめるくらいなら 簡単だろっ! って思うのに……。

 

「ふんふん……。ま つかさが初めて好きになった人。つまり初恋の相手だから ちょっと奥手になっちゃう理由も判らなくもないよ」

「う……。ど、どーも」

 

 初恋って言うのは……うん。間違いない、かな。きっと……。こんな気持ちになったのって初めてなんだし。

 

「よしっ! なら まだまだ望みはあるってば。道は途切れてないよ!」

「うぇっ!?」

 

 突然ユリが身を乗り出してきたからびっくりしちゃった。思わず仰け反ったった。

 

「『うぇっ!?』じゃないって。どんどんアタックしようっ! ほら 私も一緒に行くからさ。1人じゃしんどくても、傍にいてあげる!」

「あ………」

 

 それは……確かに勇気が出るかも。……ユリがいてくれたら、いつものあたしに戻れるかも。

 

「それに話を訊くと 神谷くんって つかさに『家族以外の異性と話のはつかさが初めて』って言われたんだよね?」

「え、えっと……。うん まあちょっと違うって言われたケド。普通に話しかけられたら話し返すって言ってたし、実際にそこは見たし」

「違う違う。話の肝はそこじゃないってば。……良い? つかさ。私が思うにね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――っ」

「(なんだか……遅いな。まだ始まって10分かぁ)」

 

 

 最近のオレ 結構な頻度で窓の外見てる気がする。

 飛行機雲見つけたり、鳥が飛んでてその数数えたり、ただぼーっと眺めてたり。

 

 つまり凄く時間がたつのが遅いんだ。

 

 

「―――やっ!」

「(……今日の晩飯、なんなんだろ……。姉貴は帰ってこないって言ってたし、少しは落ち着いて食えるな………)」

 

 

 何か考える事自体を考えてる。

 集中してたら、時間って凄く早く感じるから、それを狙って考えてる。でも、一向に早くならないんだ。

 

 

「――みやっ!!!」

「(………はぁ、もう認めろよオレ。会えてないからだろ? ……アイツに会えてないから、なんだろ? そうだろ。……認めなって。もう)」

 

 

 無理矢理判らない風を装ってたんだけど、……判ってた。もう流石に認めるしかなかった。

 

 

 ここ最近 アイツ……西野の声、訊けてない。顔だって見てない。

 

 

 何でだろう? 今までは 西野の方から……だったのに。見ない日はないって思うくらい連続だったのに。逃げようとさえしてたのに。

 

「(……こんなに考えてんのに、自分で行動せずに西野の事待ってるって言う事 事態女々しいって事なのかな……? オレから行かないとダメって事か? でも……なんでだろ? なんで来なくなった? あぁ、勉強とかかな。東城と勉強するとか何とかって言ってた様な気がする……。それに、……他に、……その)」

 

 それは 考えたくない事だったんだ。

 西野くらい可愛かったら、正直引く手数多だ。西野がいる所には男が集まるのはこの目で見たし。知ってるし。

 西野本人は 見た目だけでは嫌! って言ったんだけど 好きな人が出来たって全然不思議じゃないだろ。………その、こ このオレでも、今まで考えもしなかったオレでも、こんなんになっちゃったんだし。

 

「(……どうするのが正解、なのかな。この数学の問題なんか目じゃないくらい難しい……。ん? 東城??)」

 

 ふと、東城と目があった。

 西野が東城と勉強するって話を思い返した時、反射的に東城の方を見たんだ。それで目があって、何だか慌ててる。

 

「(ん? どーしたんだ)「コラァ! オレを無視するたぁー良い度胸だな! 神谷ぁ!」っっ!!!」

 

 考え事、一気に全部ぶっ飛んだ。

 耳元で怒鳴なれたら誰だってそうなるって思う。

 

 

 

 

 

 その後の展開は、容易に想像つくと思うから…… うん。考えるまでもないだろうな。

 

 と言うか、考えたくないってのが実情だ。

 

 

 

 

 

「どうしたんだよ神谷。お前にしちゃ珍しくないか? あんなの」

「……オレも戸惑ってんよ。これでも内申点はすげー気にしてるんだし」

「ま、オレとしては神谷のおかげで嫌いな数学の授業が短く感じたから良いけどなー」

「小宮山に好きな授業ってあるのか? そもそも」

「あるわ!! た、体育とか?」

「オレに訊くな。……大体返答判ってたし」

 

 数学の先生にこっぴどく怒られたんだな。当たり前かもだけど、名前呼ばれてた(らしい)のに、ずっと無視してて外見てたんだし。

 

 一応、名指しされて解かされた問題は 答えたんだけど授業態度に問題があるってさ。……受験を控えてる身とすれば、内申点に - が着くのはほんと勘弁だ。

 

「ほほう。抱える悩みが何となく見える様な気がしたなぁ、神谷君?」

「芝居がかった動作と口調で何しに来たんだ? 大草君」

「お、軽口反撃が出来るトコ見ると そこまで深刻じゃないって事か」

「怒られたオレを慰めにきたってか? ……そりゃどーも。一応貯金があるみたいだから大丈夫だって」

「いやいや、そこはオレも心配なんかしてないぜ。推薦じゃなくたって神谷なら 大体どこでも行けるだろ? それとは別な事だ」

「?」

 

 真中と小宮山に続いて、大草もやってきたよ。

 まぁ、この4人でつるむ事が多いから 別にー って感じだが 言った通り口調や仕草に違和感バリバリだったから。数学の授業で怒られた事を慰めにでも来たのか? 程度しか思ってなかったんだけど……。

 

 

「最近来ないよなー、西野」

「……………」

 

 

 侮り難しだ。やっぱり大草だけは。

 でも、そっち方面(恋愛事?) に関しちゃ偏差値がダントツ大草だから……仕様がないかも。

 

 

 

 でも―――― どーしよ……。何て返せば……? 

 

 


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