密疎の狩人とシュレーディンガーの吸血鬼   作:(´鋼`)

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№0~1 1年間

 疎宮明密は気弱である。元から気弱という訳ではなく、小さい頃に個性を無意識に発動させ他の者に重症を負わせてしまった事によるトラウマが関与している。そんなトラウマは中学3年初期まで続いた。

 

 しかし今。4月。彼は“ある敵”に対してのみ本気で“殺す”事ができる様になった。二度と悲劇を繰り返さないために。

 

 これは疎宮明密が『アーカード』と出会い、雄英に入学するまでの【過程】である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『1ヶ月目』

 

 アーカードと共に吸血鬼退治をする事になった明密。しかしその翌日、アーカードは明密にある事を言う。

 

 それは吸血鬼等の【フリークス】を倒す為に必要な武器。【祝福儀礼】と呼ばれる儀式によって力を得た武器が必要なのだ。

 

 あの時の吸血鬼には心臓を一突きする事で消滅させる事が出来た。しかし、その他は吸血鬼にはダメージにすらならない。そこでアーカードは明密に武器の選択を迫る。

 

 明密は正直悩んでいた。あの時吸血鬼を倒したのは自分の硬質化された手刀で貫き破壊したのは覚えている。しかし安全面を考慮すれば遠距離武器である銃という選択もありなのだ。

 

 安全度重視で行くなら拳銃を。威力又は一撃必殺重視で行くなら近接武器を選ばなければならない。しかし明密の出した答えはアーカードの予想を斜め上まで飛んでいった。

 

 

「近接武器と遠距離武器、両方って出来ますか?」

 

 

 これにはアーカードも大笑いする。こんな気弱な明密があろう事か遠近両方の武器を選択していたのだから。

 

 通常、人間は脆い。だからこそ遠距離武器を選ぶ。しかしそれは明密たちにとっては昔の事と明密は考えていた。

 

 その結果、明密は遠距離武器として拳銃【ベレッタ M92FS】を二丁。近接武器として肘まで覆われた【ガントレット】を注文した。

 

 届くまでの5日間は“個性”の追加を市役所に提出したり、“個性”の強化訓練をアーカードとしたり、学校で雄英を希望する事を担任と友人である飯田天哉に伝えたりしていた。

 

 市役所には『使役』という形で登録。アーカードの場合種族自体が理解できないので【不明】という形で書いて終わったが。

 

 市役所から出たあと、明密はアーカードは何故“元”吸血鬼なのかを聞いた。理由としてはシュレーディンガーというフリークスの血を吸った事で『何処にでも居るし、何処にも居ない』存在となった。

 

 その影響か主食は吸血鬼の時と変わらず血液を飲むが、平気で日光を浴びたり、傘をささずに雨の中を歩いたりしているのだそう。さらにはワープ紛いの事も出来るため、どんな状態、場所、時間だろうと無視して急に現れる事もできる。

 

 “個性”強化訓練では、吸血鬼との対戦に使ったバネの様な筋肉とダイヤモンド並みに固くした皮膚の両立。

 

 脚の筋肉の密度操作でバネの用量で加速させる事は出来たが、使っていく内に皮膚が剥がれたりとデメリットがある事も分かった。

 

 そこで皮膚を密度操作で硬質化し、筋肉はバネの様にする両立方法を訓練する。

 

 さらに空間に漂う空気の密度を操作し自分の密度を操作、霧状にさせ空気と同化し新たな形にさせる訓練も行う。触れたものの密度を操作できるが、何も“手だけ”ではなく体全体で密度操作ができる様にしているのだ。そうでなければ服まで操作できないからだ。

 

 勿論、通っていく内に空気に肌が触れる事はあり幼少期は無意識に空気の密度を操作をしすぎて辺りに真空状態の箇所が生まれたり空気が凝縮していた箇所があったという事。今では精神面も安定し、肌に触れた空気は任意で操作の有無ができる様になった。

 

 担任や友人である飯田天哉に雄英への進学希望を話すと飛び上がる程喜んでくれたのは明密にとっては良い思い出であり、苦しくなる思い出だ。

 

 何故なら、あの時吸血鬼と一緒に居た者は【敵/ヴィラン】と思われるからだ。ならば、ヴィランと合法的に戦える【ヒーロー】になるのが得策でもあったからだ。

 

 勿論まだ吸血鬼の事件は起こっていたりするが、それは今からでも潰しに行けると考えている。

 

 そして5日後、アーカードが武器を入れたアタッシュケースを明密に渡し、明密はそれを開き武器を確認する。

 

 拳銃では9㎜パラの弾頭を硫化銀にさせた法儀式済み弾丸を放つ【ベレッタ M92FS】二丁。ホルスターも完備。残弾数は3000発ほど。弾倉にして200個。

 

 ガントレットは鋭利な部分が肘まで覆われており、その鋭利な部分で攻撃も可。さらに密度の操作ができる様に腕には予備の銀を箱状の物に入れて装着。ボタン式で開閉ができ、金属を取りだし触れる事で武器の硬度を増加させる。それ無しでも十分固いが。

 

 それらを手渡されたあと拳銃の構え方や反動の逃がし方を覚える。二丁拳銃で撃つ場合もあるため、密度操作で筋力の増強をした状態で反動を逃がす動作を反復する。

 

 ガントレットは重さ1つ3㎏程。2つ合わせて6㎏はある。これは素の筋力を増強させる為、装備して腕立て伏せ、バーベル上げ、砲丸投げを行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『2ヶ月目』

 

 二度目の吸血鬼狩りを行った。今回は身元がバレるのを防ぐため、小型暗視スコープを装着。布で口を隠し吸血鬼を狩った。

 

 戦闘時は夜。当たり前だが、普通の吸血鬼は夜に行動するのが特徴なのだ。日光に当たれば死ぬが。

 

 吸血鬼は1体。反動を逃がす訓練をし続けた拳銃での遠距離攻撃-二丁-を試した所、弾倉を3つ消費。しかしそれは連続で吸血鬼に風穴を開けた事によるオーバーキルの証。

 

 つまりは全弾命中。たった1ヶ月でここまで成長するのは殆ど化け物並みの成長……いや化け物は成長しないと仮定して良いだろう。成長するのは人間だけだ。

 

 しかし吸血鬼に対して憎悪を持ちながら殺すのは良いのだが、アーカードが止めなければ攻撃を中断する事すらできない明密。

 

 そこでアーカードと明密は精神を強固なものにさせる訓練を行った。といっても……見れば発狂するタイプの動画をずっと見続けるだけだが。勿論、見続けた後は一息いれて癒し系統の動画を見たが。

 

 意外にも効果はあり、吸血鬼に対して憎悪はあるが冷静に戦闘できる様になった。可笑しいと思うが、これが意外に効果をもたらしたのは事実。

 

 勿論、勉学には影響を出さないように注意を払いつつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『4ヶ月目』

 

 夏本番。この季節には肝試しとして廃墟に行く輩が多く居る。それを狙ってか吸血鬼も廃墟に忍び込み、人間の血を貪りグールにさせるという事例も多くなる季節。

 

 アーカードは暑くて死にそうだと言っていたが、夜に行動しているのでまだ涼しいぐらいだ。

 

 吸血鬼を倒し続ける事4ヶ月。その間に殺した吸血鬼の数は既に20を越えていた。グールは合計で約80体程。

 

 しかし家に戻れば暑い。明密は吸血鬼狩りをする前は何時も図書館に行き、涼みながら本を読みふける事が多かったのだ。その為エアコンは無く、氷枕や保冷剤を脇に挟んで寝ていた。

 

 流石にアーカードは夏の夜だけは所属している政府国教機関、通称【ヘルシング機関】に帰って寝たそうだ。

 

 そして……ここで人生のターニングポイントとなった出来事が起きた。

 

 雄英高校の校長が、明密の家を訪ねてきたのだ。勿論部屋にはアーカードも居るため乗り気では無かったが、入れるしか無かった。仮にも目指している高校の校長、よく分からない生物が知能を得た見た目とはいえ断らせる事はできない。

 

 明密は部屋に入らせ座布団に座らせたあと冷たい麦茶を校長に、熱めのお茶を自分の所に置き話を聞く。その際「熱くないの?」と聞かれたが、「熱いものを飲食すれば発汗作用で涼しくなりますから」と答えると何処か納得した反応をしていた。

 

 そして本題に入る。最初にある動画を見せられた。

 

 そう、明密とアーカードが吸血鬼を狩っている【動画】を見せられたのだ。恐らく、何処かの誰かが明密とアーカードの戦闘を記録し載せていたのだろう。肖像権侵害で訴えたかった明密だが、すれば正体がバレてしまうので止めた。

 

 ちなみにアーカードは戦闘する時は美少女の様な姿になってもらっている。今の大男の状態でも世間に知られているのに、そのままの姿で行けば大騒ぎ確定だからだ。

 

 話を戻そう。校長の『根津』が言うには日本政府までもが知っているのだそう。しかし毛髪や皮膚片などの細かいものはシュレーディンガーで消えている筈だ。

 

 だが、どうやら事件が起こる時間帯が夜という事を利用し遠視の“個性”を持った人物に頼んで見てもらった所、明密たちだということが判明したそうだ。

 

 勿論、明密とアーカードが銃刀法違反の刑になる事も分かりきったこと。しかし吸血事件の全貌が『吸血鬼によるもの』と理解した途端、倒せるのは今の所明密たちだけだという。政府もヒーローに協力を依頼したがグール化した為、明密たちの存在が必要だそう。

 

 そこで、明密たちが吸血鬼狩りをする代償として雄英に進学するという条件を持ち出してくる。勿論特特待生としての扱いになる事も条件に入っているそうだ。

 

 明密とアーカードも最初の戦闘の時に出会ったヴィランの事を話した。これには驚きを隠せない根津校長だが直ぐに表情を戻して明密は雄英に特特待生として入学、日本政府は吸血鬼狩りの真相を隠蔽という条件を成立させた。

 

 最後の最後でアーカードが「変な化け物だな」と言ったせいで根津校長の背中が重くなっていた様に見えたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『8ヶ月目』

 

 季節は巡り巡って冬本番。寒い中を明密は走っていく。この日はデパートで食品全般が特売日という異例の日になっていたのだ。しかしそれは午後4時から開始されるのだが、明密は何故か2時間前に着く様に移動していた。

 

 デパートに入り手袋とマフラーを仕舞い、食品売り場まで人にぶつからない様に走っていく。

 

 食品売り場に着いた所で探索開始。予め買っておく物を目利きし、どのぐらいの量を買うのかを決めておく。そして場所を把握し、残りの数量を確認していく。

 

 それはそうと最近は吸血鬼の行動も抑制されている様だ。証拠に明密とアーカードが活動的では無くなった事と、グールの数が皆無にある事からだそうだ。

 

 その代わり、チンピラヴィランによる犯罪件数が何故か上昇している。吸血鬼関連の事件とチンピラヴィランの事件は反比例の図式に表せられると考えていた明密。

 

 今回も明密の居るデパート内で立て籠り事件が起きたようだ。明密は最悪という表情を浮かべながら霧状になる。移動してみて分かった事は『ヴィランの数 14名』。いずれも『空間操作系』の“個性”という事が判明。

 

 仕方なしに空気と同化して1体のヴィランの首もとまで移動し首を絞める。気絶程度だが戦意を喪失させる。その次も同じように行動し、判別できるだけで9名は気絶させた。

 

 残りの5名の内4名は首を絞めて気絶させたが、残った1名が人質を引き寄せ“個性”を付与させた手刀を人質である女子の首に当てる。ヴィランは出てくる様に叫んだ。流石に明密は無視できないが、吸血鬼狩りに使うスコープと布を空気で製作。それを装備してヴィランと対面する。

 

 向けられた条件としてはヴィランの逃走劇に手伝えという内容だったが、先にアーカード(ver美少女)がヴィランの背中に拳銃を周囲に見えない様に当て脅迫している。

 

 そのまま大人しく眠って(気絶)してもらい人質の救出を成功させる。因みに人質の女子も“個性”持ちである。主に耳が。

 

 アーカードと共にデパートの男子トイレに移動しアーカードは元の大男に、明密は装備を外してデパートの食品売り場まで歩くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……『12ヶ月目』。雄英入学の日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヤン「ヤンと!」

ルーク「ルークの」

「「後書きコーナー!」」

ヤン「さぁて今話で分かった事はぁ~!?」

ルーク「オリ主の狂人化テラワロスwwww」

ヤン「シュレーディンガーのアーカード……ヤバくね?兄ちゃん」

ルーク「ハッ!!あんな成り下がった狗なんぞ興味ないわ!!」

ヤン「……兄ちゃん、うしろ」

ルーク「ん?」( ・∀・)(ФωФ)<グルルルル

ルーク「ヒアアアアアアアッ!!!」モシャモシャバリバリ

ヤン「うっわぁ……ひでぇ」((((;゜Д゜)))

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