密疎の狩人とシュレーディンガーの吸血鬼   作:(´鋼`)

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久しぶりに前書きをば。

小説情報を確認中………評価バーが白から黄色に変わっていた時の表情の変化。
( ・∀・)→( ・д・)→?!(・◇・;) ?

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では本編をどうぞ。


№3-2 救助と……?

 翌日、今朝の明密は少し眠たそうな表情をしている。

 

 明密が時計を確認すると、まだ4時半。まだまだ空は暗いままであり、二度寝も考えた明密だが異様に目が覚めてしまう。仕方なく私服に着替えて外に出ていく明密。

 

 明密の私服姿は特にこれと言って目立つ点は無い。殆ど無地だったり、少しチェックの柄を持っている程度。明密曰く“服は必要最低限で良い”だそうな。

 

 何も行き先を決めていない明密は玄関の鍵を閉めフラフラと何処かへと歩き始める。しかし行き先は当然無い。欠伸をしながら宛も無く歩き続けていると不意にスマホを取り出し、イヤホンを接続した後アプリから音楽を聞く。

 

 余談ではあるが明密が今一番気に入っている音楽-というよりBGM-が今イヤホン越しに聞いているものである。名前は詳しく出せないが某有名PCゲームの敵キャラのBGMだ。

 

 歩き続けている内に明密は1つの公園に足を運んだ。何の変哲も無い公園だが、ここは天哉と天晴と明密が小さい頃によく遊んだ場所なのだ。その公園のベンチに座り、まだ暗い空を見上げる。頭に響くBGMが明密の眠気を吹き飛ばし、懐かしい場所で空を見上げて思い出を振り替える。

 

 たっぷりと懐かしんだ明密はベンチから立ち上がりアパートへと帰っていく。まだアーカードは帰ってないため、1人で朝食を摂るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は進みに進んで雄英高校での午後の授業。この日は本来4日前に行われる筈だった【救助訓練】を行うのであった。13号と相澤が引率として来ている中、またもオールマイトが居ない事に関して相澤と13号は溜め息をつく。

 

 ここで麗日たちが13号の傷の事を心配するのだが、「仮死毒もらっただけなので治療で治りました」等と元気そうな声で言われれば余計な詮索は無意味だという事を理解する。

 

 到着した場所は八百万、耳郎、上鳴の居た山岳ゾーン。ここで明密は嫌な思い出を思い出すかの様に苦笑いする。まぁそうだろう、誰しも“あの様なR-18G”の光景を見せられるのも見せるのも堪ったものでは無い。

 

 上鳴は自身の個性の影響で頭がショートしてアホになっていたためうろ覚えだが、耳郎と八百万はバッチリ吸血鬼の心臓を貫いて返り血を浴びる明密というショッキングな光景を見てしまっている。その沸き上がる罪悪感のせいで2人に近付き、その事に対する謝罪をする。

 

 謝罪をしている明密は真剣であったが、何度も頭を下げるため如何せん頭頂部のアホ毛が動いてしまう。それを見ていた上鳴が笑ってしまうが耳郎によって制裁される。

 

 話を戻そう。今回はこの山岳ゾーンで救助訓練を行うのだが……リアルに近い模倣された場所とはいえ、底の見えない谷底を見ていると寒気を覚える。

 

 13号が話した要救助者設定では

 ・1人は頭を打ち付け意識不明

 ・もう1人は腕と脚を骨折し、傷口から出血

 ・残り2人は脚の骨折

 

 だそうだ。しかしながら、この高さで2人は骨折で済んだのかと何かしら矛盾の様なものを覚える明密であった。用意された救助道具は使用可能だそう。

 

 そして救助要員役は八百万、常闇、轟、爆豪の4名。怪我人役は天哉、出久、お茶子、明密の4名となった。明密たち4人は崖を降りていきスタンバイする。

 

 そして崖の一番下まで降りて各々位置に着く。その際に起こった会話がこれだ。

 

 

「全力で怪我するぞ3人共!!」

 

「おおー!!」

 

「怪我のフリね」

 

「というか皆さん、誰がどの役をするんですか?」

 

「「「…………ハッ!!」」」

 

「じゃあ僕は腕と脚の骨折に加えて傷口から出血している役……というより僕、本当にその状態になっても治るんですけどね」

 

「あんな状態から治ったから確かに分かるけど……」

 

「「緑谷/デク君!あんな状態って何の事/だ!?」

 

「え、えぇと……それは……「あぁ、僕一回死んでたんですよ」…………明密君!?」

 

「「………………し、死んでたぁ!?」」

 

「えぇ。まぁ個性の発現で今生きてますからね」

 

 

 完全に自分の置かれていた状況をさらっと話す明密。これにより天哉とお茶子から質問の嵐が舞い込んだのは仕方の無い事だ。途中爆豪の声が聞こえたが不満しか言ってない様に思える。

 

 そして救助側のスタンバイも終わり天哉が大声を挙げて救助要請を求める。その際、お茶子が笑いに堪えている様子を出久と明密は苦笑いしながら見ていた。

 

 またもや爆豪の怒声が響いた。何かしら危ない内容だったのは聞いていないフリをした。あれが救助要員で良いのかと考えるのはお約束。

 

 そして八百万の声が崖に響く。本来救助を行う際に始めにするべき事、それは要救助人を安心させる事。この様な行動はやはり推薦組、順序の理解が出来ている。

 

 因みに明密は本当に腕と脚を折って出血させようかと思い手の密度を操作して腕を折るつもりだったが、何をしていたのか出久に尋ねられ止められた。ここで出血なぞ起こしては訓練の意味が皆無となるからだ。

 

 少し時間が経つと、常闇がロープを伝って降りてきた。上を見ると、どうやら氷で摩擦を減らしている様だ。摩擦によってロープが切れ、救助要員が落ちてしまっては元も子も無い。紛れもない事実を考慮した上での補助なのだ。

 

 常闇が降りると今度はロープに繋がれた担架が現れた。先に意識不明役のお茶子から運び、次に重傷者役の明密という風に運ばれる。その際に常闇は“個性”である【黒影《ダークシャドウ》】によって担架が上昇される。何か気性が荒っぽかったが、気には止めなかった明密。

 

 そしてお茶子を運び終えると今度は明密の番。ここでは右腕と左脚の怪我という設定を伝えると、ダークシャドウが明密の右腕と左脚を包んでゆっくり担架に乗せた。

 

 そして崖から地上へと救出される明密だが、引き上げられた際お茶子が口を抑えながら悶えている。表情を見る限り笑っている様に思える。右腕と左脚からダークシャドウが離れた後、轟が右腕と左脚を凍らせて明密を持ち上げて運ぶ。この場合はやはりお姫様抱っこという形になってしまうが関係ないだろう。

 

 轟は明密を下ろした後、明密は右腕と左脚に付着している氷を気体にさせる。少し肌寒いが時間が経てば元の体温に戻るだろうと考え何もしなかったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 時間が経ち今度は明密、瀬呂、砂藤、青山という組み合わせが救助側。耳郎、峰田、八百万、障子の4人の組み合わせが怪我人役。少々怪我人役の方に難のある生徒が居るのは頭に入れない。

 

 さて、ここでは明密が主に指示を出しながら救助を行う。

 

 

「先ずは……瀬呂君、ロープと結合部の補強をお願いをします。ロープの二重補強と担架の補強は僕が行います。砂藤君と青山君は引き下げと引き上げの作業を頼みます」

 

「お、おぉ…………」

 

「何か…………変わったな」

 

「勝手に指図しないでくれr「これが最善です」」

 

 

 担架の密度を操作して補強を完了すると、少し悩んだ表情をしたあと担架の床を密度操作しながら話す。

 

 

「青山君、貴方の発言で指摘されるのは苦手と理解しました。しかし……少々言ってしまえば、貴方の個性で今回の救助訓練では活躍するのは難しいでしょう。そのため今回は砂藤君と共に行動をしてほしいのです」

 

 

 この明密の言動に未だ唖然した状態でいる青山。言いたいことをハッキリと言う事はある意味素晴らしい事でもあるが、同時に言葉を選ばなければ誰かを傷付けてしまう事に成りかねない。青山は砂藤に声を掛けられ渋々ロープの作業をする事にした。

 

 瀬呂がロープの補強を終えた後、そのロープに触れ密度操作で強固な物にさせる。そのロープの端と担架をくくりつけテープと密度操作で補強し終え降りる準備が整う。

 

 

「では、これから救助に向かいます。瀬呂君は、もしロープに切れ目が出来てしまった場合は迅速に補強をしてください。それ以外は砂藤君と青山君と共にお願いします」

 

「任せとけ」

 

 

 瀬呂は右の二の腕に左手を置き明密に見せる。自身の鼓舞のために行った行動を見て明密は微笑んだ。明密は降りる際にロープが接地する箇所の密度を操作し液体に近い固体にさせる。掛け声での合図をすると他の3人は頷き、明密は崖の底に居る怪我人役の4名を救助するために先ずは底に居る4名に声を掛けた。

 

 声を掛けた後、直ぐ様行動に移る。そびえ立つ岩の壁に足を付けスイスイと降りていく。底まで降りた後、4名に安心させる言葉を言いつつ意識不明役の八百万に対し声を掛け判断したあと持ち上げて担架に乗せる。担架の底は明密が密度操作によってに低反発状態になっているため怪我人に負担がかかりにくいのだ。

 

 作った足場につま先を置いてロープを引っ張り合図をする。引っ張られると同時に密度操作で足場を作り登っていく明密。引き上げ作業が終わり横たわる八百万に声を掛けた。

 

 しかし何故か返事をしないため、八百万の口に耳を近づける。すると規則正しい寝息が聞こえていた。どうやら低反発状態にさせた影響で安眠した様だ。これには苦笑いしか起こらない。気持ちよく眠っている所を邪魔したくは無いが一応授業なので起こす。意識が覚醒した後の八百万は顔が真っ赤になっていたそうな。

 

 続いて底まで降りていき、今度は重傷者役である峰田を救助する。明密は峰田の怪我の状況を確認し密度操作で左腕と左脚を伸ばした状態にさせ動かない様に間接ごと固くさせる。そして傷口は本来触れて血液凝固を起こして運ぶのだが、訓練の為その手順は口頭で伝えて峰田を乗せて上まで登る。またもや寝かけていたので峰田を起こしたのは良かったが、その際に「眠らせろ!」と愚痴を言った峰田だが13号と相澤にツッコミを入れられる。

 

 そしてまた降りていく。今度は骨折の2名だが道徳倫理的に女性を優先した明密は耳郎の元に駆けつけ右脚を間接ごと固くさせる。耳郎を持ち上げ担架に乗せたあとロープを引っ張り作った足場を用いて登っていく。その途中、耳郎は眠気と戦っているのか欠伸をしていた。どちらかといえば明密は安心させる為に低反発にさせているので耳郎に眠って良い事を伝えると直ぐに寝た。案の定また起こす羽目になってしまったが、直ぐには起きなかったので持ち上げたあと耳郎に大声を出す。大声を出した事で耳郎は突如起きるが現在の状態に戸惑い明密に降ろす様に頼んだ。脚の密度を戻し降ろすが、耳郎の顔が紅潮していた事に対して疑問を覚えた明密であった。

 

 最後に障子の元に駆け付け崖を登っていく。またもや寝ていたのは、もう定番と化している様だ。試しに上鳴が横たわると数秒で寝てしまった。

 

 そしてこの訓練で明密のアダ名が増えた。【眠らせ人】という訳の分からないアダ名だが、他に生徒全員から鈍感と言われたらしい。明密はその事に益々疑問が募る一方、峰田は「わりと童顔で鈍感だと…………!?」等と口走っていた為、梅雨に制裁される。

 

 まぁこの明密の今までの人生に色恋沙汰というのは無縁だったので分からなくもないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 続いて向かったのは倒壊ゾーン。どうやらこの場所で制限時間の8分の間、救助側の4名が残りの17名を捜すのだとか。さらに声が出せない状況の要救助者という想定で8名声が出せない。まるで巨大なかくれんぼと芦戸がはしゃぎつつ言っていた。

 

 そして1回目の捜索側は出久、お茶子、峰田、爆豪の4名であった。またもや爆豪が吠えたがそれはどうでも良く感じた。ふと峰田を見ると、明密も極度の女好きと理解しているのか峰田の目が血走っている事に気付く。それに対して殺気で黙らせたのは効果的だろう。

 

 要救助者側が2分間の間に隠れ、その後で救助側が捜索に当たるので隠れに行く。

 

 隠れる場所を見つけて、瓦礫の中に入り手だけを出した状態で横たわる。瓦礫の中に入る際は自身を霧状にさせて入った。しかしそんな隠れている最中に声を掛けられる。

 

 

「…………何してんだ?こんな所で」

 

 

 声の主は轟だったようだ。直ぐ様霧状になって脱出し轟の後ろで形を形成する。

 

 

「いえ、一応救助訓練なのであの様な状態も考えられる可能性を考えての行動です」

 

「ん、そうか」

 

 

 轟は明密が下敷き(仮)になっていた場所の上に座り明密に話しかける。

 

 

「なぁ疎宮」

 

「はい?」

 

「USJの時、助けてくれたろ」

 

「あぁ…………あれはどちらかといえば、氷が砕かれた隙に殺したので別段助けたという訳じゃ無いんですよ」

 

「…………そうなのか?」

 

「本音を言ってしまえばですけど…………」

 

「…………そうなのか」

 

 

 そんな感じの雰囲気の中、明密は口を開く。

 

 

「焦凍君、失礼かもしれませんが……1つだけ質問構いませんか?」

 

「……何だ?」

 

「あの……君は何にッ!?」

 

 

 突如壁が破壊され、その余波で吹き飛ばされる明密。数回転がり壊された壁の方を見る。そこにはガスマスクで顔を隠した巨体。発言で4日前と言ったので恐らく敵かと思い殺気を確認してみた。

 

 しかし瞬間、明密に1つの疑問が浮かび上がった。その瞬間に明密の背後に敵は回り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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