side愛莉
「白夜君。」
「愛莉か。どうしたんだ?」
「うん。あのね、私・・・真帆ちゃん達と一緒に女子バスケ部を作ったんだ。」
「知ってる。」
「だからね。私に、私達にバスケを教えて下さい!」
そう言って私は白夜君に頭を下げようとすると
白夜君が私の方を掴んで
「愛莉。頭を下げなくていいよ。少なくとも俺はお前達の友達だよ。だから男バスの練習がない時なら練習に付き合うよ。」
「ホント!白夜君!」
「ああ。それじゃあ俺はこれから男バスの練習だから行くよ。」
そう言って白夜君は教室から出て行くのだった。
sideback
「おっぜーぞ白夜!」
「悪いな夏陽。」
「うちのエース何だから頼むぜ。」
「俺はエースじゃなくて司令塔だ。言ってるだろ。俺は司令塔で夏陽がエースだって。」
「それで白夜の方がエースなんだよ。何てったって白夜しか全国大会で点を取れていないんだよ。白夜の得点だけでベスト8だぞ!」
「それがどうしたよ!それでも俺1人なら戦えなかった。夏陽達がディフェンスを頑張ってくれたからだ!」
「それでも!・・・俺さ。最近出来たばかりの女バスにイライラしてるんだよ。」
「何でだ?」
「湊はともかくとし真帆達はお遊びのバスケじゃねえかよ!俺はお前におんぶに抱っこで全国で戦うのは嫌なんだよ!」
「言ってんだろ。お前たちがいるから俺も戦えるって!」
「でもそれはあくまで戦えるだけだ・・・勝てる訳じゃない。あの準々決勝だって。白夜がダブルチームで一つ空いてるはずなのに俺達はまともに点を取れなかったんだ。今のままだとまた全国へ行っても白夜に頼りっきりになるだけだ!」
「だからそれは違うんだよ!」
「お前はそういうと思う。でも俺達は違うんだ!・・・だから監督に言ったんだよ。女バスのお遊びのバスケをする時間を俺達には貰えるようにしてくださいって!」
「何を言ってんだ!俺はお前を見損なったぞ!夏陽!」
「勝手に言ってろ!それでも俺達は上手くなりたいんだ!」
「俺は好きでこれからバスケを始めていくあいつらの時間を奪ってまで俺達の時間にするのは反対だ!」
「ダメです。白夜君。試合に出なさい。」
「嫌です。俺は今回に限っては真帆達の味方です。」
「白夜君は強くなりたくないんですか?」
「強くなる事と友達達のバスケの時間を奪うのは話が別です。強くなりたい。でも・・・だからと言って女バスの時間を奪うのは話が別です。」
「白夜君はチームメイトと女バスはどちらが大事ですか?」
「どっちもです。」
「勝ちたくないんですか?」
「全国ベスト8まで行きました。」
「もっと上まで行きたくないんですか?」
「あの試合は俺の作戦ミスです。」
「君が点を取れなくなったら全国では勝てないと言うのを防ぐ為に彼らは練習時間が欲しいと言っているのですよ。」
「なら自主練の時間を増やせばいい。それでも十分じゃないですか!俺は毎日最低でも3時間以上は自主練に費やしますよ!毎回確実に目標を決めてそれに向けてやっています。・・・これでどうですか?」
「皆があなたのように才能がある訳ではありませんよ。」
「俺に大した才能なんてありませんよ。あるのは練習と自主練で身に付けた自信とメンタルだけです。それに今の言い方だと夏陽達に才能が無いみたいですよ。」
「そうは言っていない。君の才能は他のメンバーと比べて差がありすぎると言っているのです。」
「俺は自分に必要な自主練をしているだけです。それを見極めれば良い。」
「皆がそれをできる訳では無い。」
「だから監督がそこを見極めて自主練のテーマを見極めれば良い。」
そう言って俺は初めて男バスの練習をサボるのだった。