烏帽子宮地下支部にある、ベッドの寝心地はとてもよかった。
いや、寝心地が良かったのかはわからない。昨日はとても疲れていたからかもしれない。
彼埜高校に入学して、二日目でこんな大波乱に巻き込まれたのだ。
班の皆が攻撃適正を持っていたり、先生が実は闇のグループの幹部だったり、烏帽子宮市が燃えたり…
大変な一日だった。っていうかみんなの精神力凄すぎだろ。こんな出来事が起こったら普通はSAN値葬コースだわ。
ちなみに全員が個室で寝ることができた。
「おはよ~」
とドアを開け、まだ眠そうな瞼をこすって挨拶したのは智東さん。明日の朝は個室の近くにある、「談話室」に集まろうと決めていたのだ。私は二番目で、一番早く来ていたのは宮内さんだったようだ。いつもの難しそうな本を読んでいる。
「ね~、宮内さん。その難しそうな本、面白いの?」
と智東さんは眠そうな声で聞く。若干寝ぼけているようだ。いや、僕と同じで昨日の一件もあって疲れているのか。
「あ…おもしろいですよ?この作者の本はとても…この本は大学の実験施設で密室殺人事件が起きるという話でですね…」
と、宮内さんはどこか嬉しそうに話した。
「へー…それって確か、犯人は○○と○○(自主規制)じゃないっけ?」
と智東さんが言う。いや、宮内さんが読んでるのにそれは言っちゃダメだろ…
「え…?なんで知ってるの?読んだことあるの!?」
といつもの宮内さんとは全く違う様子で嬉しそうに智東さんに話しかけてくる。
「ああ…うん。そのシリーズは一応…。それ、一作目がアニメ化されたでしょ?それの原作読んで、なかなか面白いなー…って。」
智東さんもなんか驚いてるというか、半分引いているような感じである。
「ですよね!このシリーズ面白いですよね!」
宮内さんはとてもテンションが上がっている。こんな宮内さんは初めて見た。
「皆おはよー!」
赤海君が元気に部屋に入ってきた。
「お、全員揃ってるね。そして宮内さんのそのテンションは何…」
赤海君も困惑。
「なんか宮内さんの読んでいる本を智東さんも読んでる、って分かったらあんなにテンションが上がって…」
と僕が説明する。
「あー…なるほどね。ああいうタイプの子は、自分と同じ趣味を持ってる人見つけると、あんな感じになるよね。分かるわ。」
と赤海君はちょっと苦笑いしたような感じで言った。
「で、ですね!私は一作目はこのキャラがこのセリフを言うところが最高に良いと…」
「皆…コーヒー飲む?」
と、智東さんは宮内さん話を切って答えを聞く前に談話室に置いてあるコーヒーメーカーの所へ行った。
「あ…ちょっと待ってください!まだ話したいことが…!」
と宮内さんは引き止めた。しかし、智東さんは戻らない。
「ではコーヒーを飲みながら話をしましょう!」
「宮内さんってこんな感じだったっけ…?」
と赤海君が呟いた。
誰かイラスト描いてくれてもいいのよ?(チラッチラ)