「ここです。」
桜庭さんに連れてこられたのは、地下へと続く階段だった。周りの建造物が炎に包まれている中、僕たちはここまで歩いてきたのだが…
「地下に何かあるんですか!?」
智東さんはこういった秘密基地的なものが大好きなようで…目をキラキラ輝かせている。もうちょっと緊張感を持った方が良いと思うけど…
「まぁ…そうなるかもしれません。とにかく、ついてきてください。」
と、僕たちはこの階段を下りた。そしてそこには赤いドアが一つ。
桜庭さんが鍵でそのドアを開けると、その部屋は無地の壁と床の、何の家具もない部屋だった。ただ…
「これはなんですか?」
と智東さんが真っ先に質問する。そう、床に魔法陣のようなものが書かれていた。
「これでワープするんですよ。みなさん、この魔法陣の上に立ってください。」
「大丈夫?」と赤海君が質問する。
「大丈夫です。私を信じてください。」
皆桜庭さんを信じてその魔法陣の上に乗った。そして…
「ワープ」
と桜庭さんが唱えると辺りが光りはじめた。
「なにこれ!すごい!」
と声を上げたのは智東さん。僕は結構怖いのだが…宮内さんも怖いのか、おどおどしている。
「大丈夫か…」
「着きました。では、案内しますので、私についてきてください。」
そうして着いたのは、また下に魔法陣があって、さっきの部屋と一見同じような部屋だ。だが、目の前にあるドアの色は青色だ。
「ここは?」
と僕は質問する。
「ここは攻撃適正保安委員会、烏帽子宮支部です。この烏帽子宮の町は適正道具カリキュラムがある彼埜高校があるので、この委員会が置かれています。一般には公表されていないので、あなた方も知らなかったはずです。」
と桜庭さん。
確かに…烏帽子宮にそんな施設が、そんな委員会があるなんて知らなかった。
「でも窓もありませんし、まったく暑くもない…ってことは地下ですか?ここ。」
と智東さん。
「ええ。この施設は地下にあります。安全性を高めるため、結構地下深くにあるんですよ。」
「ロマン…!」
うん。智東さんならそう言うと思った。
「ちょっとお待ちください。」
と案内された場所にあるドアには「支部長室」と書かれていた。桜庭さんがドアをノックして中に入る。
「何だろうね…」
と宮内さんが呟く。
「さぁ…これからこの委員会に保護してもらうわけだし、挨拶とかじゃない?」
と赤海君。
「こんなロマン溢れる施設の長なんて、カリスマ性のある人かなぁ?」
と智東さんが目を輝かせながら言う。
しばらくして、桜庭さんが出てきた。
「大丈夫なようです。皆さん、この部屋にお入りください。」
「はい…失礼します。」
と僕が一番先に部屋に入り、後に続きみんな入った。
その部屋もコンクリート張りの部屋だったが、壁際に本棚があり、そして何より、目の前に大きな机と大きなイスがあった。
そしてそこに座っていたのは…
「やぁやぁ!君たちが『T4A1』に狙われたっていう、彼埜高校の生徒さん達かい?まぁ、そんな緊張せず、そこの椅子に掛けたまえ~!」
えぇ…。彼女を形容する言葉と言ったら「ロリ」だとか「幼女」だとかしか浮かんでこないような女の子だった。大きなイスと机には不釣り合いだ。まぁ、一番驚いていたのは、僕ではなく智東さんのようだが。
目の前にいる少女は、金髪で、黄色い目をしていた。かわいい。
「君たちが狙われている以上、私がここで保護するからな!安心したまえ!私はこの攻撃適正保安委員会、烏帽子宮支部長の
「アマンダって…ハーフ?」
と赤海君。
「そうだ!英国の方の母を持っている!」
と上山さんは答えた。
「これからよろしくお願いします!アマンダさん!」
と言ったのは智東さんだった。さすがに打ち解けるのが早いなぁ…
「おう!こちらこそよろしくな!」
それにしても上山さんはしゃべり方独特だなぁ…
「支部長、『T4A1』の話をしておいた方が良いのでは?知っておいた方が、彼らにとっても得です。」
と桜庭さん。
「そうだな…君たち、重要な話だからよく聞いてほしい。君たちを狙った、攻撃適正を悪用している集団の話だ…。」
と、上山さんは急に真面目な口調になり、語り始めた…。
T4A1の正体とは…