次は智東さんか…と思い、名前を呼ばれ智東さんも立ち上がったところで一人の男が部屋に入ってきた。
「桜庭さん!」
と男が言う。
「どうした?緊急事態か?」
と桜庭さんは落ち着いた声で言うものの、顔に少し焦りが出ているように見える。
「彼埜高校から生徒が一人…」
「ここに来たのか?」
「ええ。先ほど…。長走さんが教えたようですが…後をつけられているか確認した方が良いですか?」
「指示されずともそのくらいはやっておけ。」
と桜庭さんは少々厳しい口調で言った。
「はい…すみませんでした。以後このようなことないように気を付けます。」
「で、その生徒はどこに?」
「はい。少し怪我もあったようなので、医務室に連れて行きました。」
「分かった。すぐ行く。」
と桜庭さんは歩いて行こうとしたが、少し行ったところで振り返り、
「もしかしたら君達が知っている生徒かもしれない。ついてくるか?」
と桜庭さんが聞いた。
「はい!ついて行きます!」
と智東さんが答えた。やはり気になるらしい。
「他の三人もか?」
と桜庭さんに聞かれ、
「はい。」
と三人は声を合わせて答えた。
医務室まで移動する中…
「なぁ、彼埜校から逃げてきたって…誰だと思う?」
と赤海君に聞かれた。
「さぁ…同級生かな?でも自分たち以外校舎にいなかったような気はするけどなぁ…」
と僕が答えた。
「ねぇ、今の学校の状況とか聞くの楽しみじゃない?」
と智東さん。なんだろう…智東さんはいつも何かがずれている気がする。
「楽しみ…って表現は適切ではない気がするけど、確かに今学校がどうなっているのかっていうところに興味はあるね。ってかT4A1に攻められたのか…?」
と赤海君。
「さぁ…」
と僕は気のない返事をしながらも、学校にいるであろう日下部快人の事を心配していた。
あいつは攻撃適正を持っているわけでもないだろうし、体術とかできなそうだし…
「ついたぞ。ここが医務室だ。ちょっとドアの前で待ってろ。」
と、桜庭さんがドアの中に入っていった。
「僕は快人が心配だな…」
と言った。すると
「あぁ、あの朝に一緒に登校した友達?学校においてきた友人が心配なのは私も分かるよ…」
と智東さんが言った。
「…私も、烏帽子宮北中の皆が…心配。」
と宮内さんが少し涙目で話した。
「…そうか、俺らの母校、烏帽子宮東中も燃えたかもしれないってことだな…」
と赤海君は言った。烏帽子宮市が燃えたってことは…そうなるか。
「よし。君たち、入って良いぞ。」
そういえば桜庭さんはいつの間にか君達呼びに戻ってるなーと思いつつ保健室に入ると…
「「お前は!」」