「沖原の適正道具は確か…刀だったか。」
と桜庭さんから聞かれる。
「はい。」
と僕は答えた。
「刃物なら基本的に適性があるから…日本刀以外でも大丈夫なのだな?」
「たぶん…」
「で、適正能力はどんなに大きく、重い刀でも自由自在に扱えると…まぁ、凄いと言えば凄いが…使い勝手が悪い能力だな。大きな刀が自在に扱えるといえば聞こえはいいが、狭い所で大きな刀なんぞ使っても意味はないどころか逆効果だしな…」
「なんかすみません…」
「いや、謝ることはない。剣術の基本から教えよう。まずだな…」
そう言われて手渡されたのは、竹刀だ。なんというか…予想通り?
「さぁ、基本練習だ。素振りから!」
と桜庭さんがさっき赤海君を特訓していた時のような声で言った。
――――――
「よし。まぁ、まだまだではあるが…剣術の訓練は今日はそのくらいで良いだろう。だんだんできるようになっていけば良いしな…」
…桜庭さん、そのくらいで良いって…二時間近く…ハードな…
「さぁ、適正道具の訓練はこれからだ。俺について来い。智東と宮内と赤海もだ。」
「はい。」
と皆は返事してついて行った。僕も赤海君たちに合流した。
「沖原お前…大丈夫か?かなりハードそうだったぞ?」
「大丈夫大丈夫…これでも中学時代に鬼のような顧問から結構しごかれたんだから…」
「…中学の時何部?」
「…卓球部。」
…と少々赤海君と雑談している間に(その時、宮内さんと智東さんもこれからどのような特訓を受けるのかについて怖さ交じりに話していたが)広い何もない部屋に出た。天井も高い。壁もさっきの訓練場と変わらず、コンクリート張りだ。
「これはとある適正能力持ちの職人が作った刀でな…見た目は普通の日本刀のレプリカだが…、赤海、ちょっと持ってみるか?」
と刀は赤海君に手渡される。
「…重!」
そう言って赤海君は刀を床に落とした。刀が床に落ちた時も大きな音(どうやら金属音ではないようだが)がして、その刀の重さを物語っていた。
「そう…この刀のレプリカは、重さはなんと20キロだ。」
20キロ…?10キロのコメ袋二袋分…!?
「え…桜庭さん、これを私が持てと?」
「あぁ、そうだ。お前なら持てるはずだ。」
本当かなぁ…
そう思いながら、僕は桜庭さんから手渡された刀を持ってみた。
「あれ…?普通の重さじゃないですか。むしろ、さっきの竹刀ぐらい軽いですよ?」
「そう…それが君の適正能力だ。どんなに重く、大きい刀でも簡単に扱うことができる。」
これが僕の適正能力…初めて適正能力というものを体で感じた。なんかこう…拍子抜けな感じもするけど…
「さて…大変なのはこれからだぞ?」
と桜庭さんは言った。
ぶっちゃけジャパニーズケンドーは全く詳しくないです…