俺が初代魔王なんて間違っている。   作:すのどろ Snowdrop

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ルミルミどうやって出しましょうか。


4話:再開のダーカライブ城

4話:再開のダーカライブ城

 

「転移、ダーカライブ城封印の間」

 

白い光に包まれる中、頭に機械音声が響いた。

 

“監視スキルを取得しました”

 

えっ、監視スキルって何?てかテレポート中にスキル取得すんなよ……。

使い方も頭に響いてきたけども。

 

光が薄まる感覚に、目を開けると、そこには……

 

「…………は?」

 

「お兄ちゃんお兄ちゃん、どこが封印の間?」

 

視界いっぱいとはいかないまでも、辺り一面に広がるのは色鮮やかな花畑。まるでどこぞのアホの子の頭の中のようだ。

一色や戸塚は歓声をあげ、花に近づき、大志や川崎姉、材木座は呆然としている。その中俺と小町は記憶を掘り返していた。

 

「「うん、おかしい」」

 

「せんぱい、どうかしたんですか?」

 

「あぁ、俺と小町が戦ってた時はこんな花畑は無かったんだよ」

 

「それに戦ってる時に部屋中穴だらけになりましたし」

 

「そういえば、せんぱいと小町ちゃんの関係ってなんなんですか?急に魔王っぽくなったり勇者っぽくなったりしてましたけど」

 

「歩きながら話すわ。あっちに扉あるみたいだし。おい、ボサッとしてないでいくぞ」

 

いきなり歩き始める俺に慌ててついてくる一同。小町と一色は俺に並び、一色はキラキラとした目で俺をみてくる。後ろからも視線が集まっている。

はぁ、と一つため息をついて話し始めた。

 

「あー、めんどくさいから簡単に言うと、俺と小町はこの世界の初代魔王と初代勇者なんだよ」

 

「やっぱり八幡はすごいや」

「お兄さん!俺に魔法教えてくださいっす!」

「八幡!剣術教えてくれてもいいのだぞ?」

「せんぱい、隠してたんですか?」

「はぁ……」

 

1度に言うなよ……。てか川崎姉よ、ため息つくと幸せが逃げるぞ。俺に着いてきてる時点でかなりの幸せが逃げてるけどな。

 

「気が向いたらな。それで、小町と俺で封印魔導撃って相打ちになったから」

 

「地球で兄妹になって転生したのです」

 

この時の小町の顔がo(`・ω´・+o) ドヤァ…!って感じになってて可愛かったです。

 

「兄妹じゃなかったら大変なことになってたかもな」

 

色々説明していると、なんの罠もなく扉に辿り着いた。逆に怖いわ。この扉開けたらなんかありそうで。

 

「全員少し下がってろ。あと小町、防壁はっとけ」

 

俺はそっと、ゆっくり扉に近づいていくと……

 

“忍び足スキルを取得しました”

 

急に頭に響いた機械音声についコケてしまった。頭から扉に突っ込み、重たそうな扉はいとも簡単に開いた。

そして……

 

「私の庭にどうやって入ったのかな?」

 

どこかで聞き覚えのある声に顔を上げる。

 

「………何してんすか、雪ノ下さん」

 

や、ほんと何してんのこんなとこで。てか悪魔の翼に角て……。何?ほんとに魔王だったの?

 

「え?比企谷君、なの?」

 

「えぇ。比企谷です。小町、防壁解除していいぞ」

 

「りょーかーい」

 

「で、雪ノ下さんはここで何を?」

 

首を傾げ、唇に指を当てながらえーとー、と呟く。

仕草があざとい。あと魔王ルックだから怖い。

 

「魔王やってます♪」

 

えぇ……。マジで魔王だったのかよ……。てか雪ノ下さんいるなら城廻先輩も……?

 

「お久しぶりです陽乃さん!初代勇者の小町です!」

 

「ええっ!?初代勇者だったの!?」

 

「そーですよー。ちなみにお兄ちゃんは初代魔王でした♪」

 

「ええぇっ!?」

 

城廻先輩について質問しようとしたら小町が先に話してた。うん、まぁいいけど。珍しく雪ノ下さんの驚いた表情みれたし。

俺は小町が元いた場所まで下がり、暇つぶしをすることにした。うっわ、失礼な言い方。まぁ、いつも失礼なんだが。

 

「あー、お前らレベルが150になるまでは1人で行動すんなよ?俺か小町を連れて行動しろよ?現魔王が雪ノ下さんだから大丈夫だとは思うけど。この城周りはレベル高いからな」

 

「じゃあ私せんぱいと同じ部屋が「却下」なんでですかー!」

 

常識考えて?異世界だけど常識考えて?

 

「男女は別々だろう。そもそもこの城なら1人一部屋は余裕にあると思うんだが」

 

「八幡、みんなレベル低いから不安なんだよ。だからなんとかならないかな?」

 

「よし任せろ」

 

戸塚の上目遣いには抗えん。

……数名引いてる気がするけどまぁいいか。

 

「雪ノ下さん、この庭ください」

 

「やだよ」

 

即答。ま、当たり前だろう。だから挑発してみよう。

 

「じゃあ俺が12代目魔王になりますね?」

 

「いいの?私、レベル333だよ?」

 

「俺のレベル、386なんですが」

 

戸塚達が息を呑み、雪ノ下さんは絶句した。

 

「で、一部だけでも貰えませんかね?」

 

「し、仕方ないな、右半分だけだよ?」

 

おお、なんという好条件。なら早速……

俺は両手を掲げ、目を瞑った。イメージするのは元住んでた俺と小町の家。つまりは比企谷家である。さすがにそのままでは狭すぎるので少し大きくした比企谷家をイメージする。

 

「創造神よ、我が命ずままに全てを創造せよ」

 

瞬間、この花畑の右手前に魔法陣が展開され、毎分4mの速度で魔法陣が上昇していく。

…………魔力足りるかな……。不安なんだが。

 

sidechange

 

お兄ちゃんがいきなり陽乃さんを(半分)脅してこの庭の右半分を奪っ……譲り受けた。小町は戸塚さんや沙希さん達の話を聞いていなかったからよくわからないけど、何か頼んだんだと思う。お兄ちゃんは自主的に動こうとしないからねぇ。たぶん。少なくとも味方のはずの陽乃さんと敵対はしないはずだから頼んだんだと思う。

陽乃さんから許可を貰うと、お兄ちゃんが両手を翳して中二病発言をしだした。魔導はイメージ通りに言葉を出さなきゃいけないんだけど、お兄ちゃんはチートみたいになんでもかんでもやるからもう無詠唱でいいんじゃないかと思う。そんなスキルは滅多にでないらしいけど。

 

「あ」

 

つい小町は声を出してしまった。なぜなら、今お兄ちゃんが創っているのは比企谷家だったからだ。

ていうか創造魔導って魔力消費量がかなり多かったと思うんだけど、家なんて創って魔力足りるのかな?

あ、星魔導なら魔力回復できるじゃーん。

 

「星に祈りを……全ては兄の為に」

 

みんながギョッとするなか、詠唱を終えると、お兄ちゃんに光が降り注ぎ、魔力が回復していく。していってるはず。その証拠に、お兄ちゃんの魔法陣がさっきより速く回転している。

 

「こ、小町ちゃん、せんぱいは何を……」

 

「お兄ちゃんは比企谷家を再現しています。中も比企谷家なら安心して過ごせると考えたんだと思いますよ」

 

「「やっぱり比企谷君(比企谷)はシスコンだね」」

 

なんで?いや、シスコンなのはあってるけど。

今はみんなのた…め……?

…………お兄ちゃんだし小町のためというのが否定できない……。

 

「ま、まぁ、お兄ちゃんですので」

 

小町もちょっと苦笑い。

逆にいろはさんはちょっとキラキラしてる。

お兄ちゃんもモテるようになったんだねぇ。小町としては複雑な気分だよ……。あれ?この世界でお兄ちゃんと小町って血は繋がってるの?

ニヤリ

小町もお兄ちゃんのお嫁さん候補に参戦かな?

楽しみだなぁ。ふふっ

 

sidechange

 

小町に星魔導を使って貰ってから俺の魔力量が一気にフル回復した。星魔導強すぎない?まぁ、それはおいといて。魔力量が全快してから、魔法陣の上昇速度が毎分6mになった。いや、もうすぐ完成だったから上昇速度上がってもあんまり嬉しくないんだけど。魔力が尽きかけてたから中途半端に家が創られても困るから星魔導は有難いんだけど。それはそうと、

 

「ふぅ、疲れた」

 

「お兄ちゃんお疲れ様ー」

 

小町が労いの言葉をかけてくれると精神的にも回復していく。はずなのに今はそんなに回復しない。何故だろうか。

………寝るか。

 

「おう、ありがとな、小町。俺は寝る」

 

「ちょちょちょっと待って比企谷君!」

 

寝ようとした時点で雪ノ下さんに引き止められた。解せぬ。

 

「なんですか?」

 

「家の案内してよ!」

 

…………小町に言ってくださいよ、それ…。

 

「小町、あそこでボケっとしてる奴らとキラキラしてるのも引き連れて案内してくれ。俺と小町の部屋以外はほとんど客室だから」

 

「お兄ちゃん、それ小町的にポイント低い」

 

えぇ……。案内なんてめんどくさくてしたくないよ……。

てことで案内はまた次回。

 

(お兄ちゃん、メタ発言はやめようか)

 

小町が直接脳内に……!?

 

“以心伝心を取得しました”

 

あぁ、意識しないとめんどくさいやつ……。

 

(心が通じ合う♪小町的にポイントたっかい〜♪)

 

八幡的にポイント低いよ……。

 

 

 

 

賢者を冥界側の味方につけるか否か

  • 味方にする
  • しない
  • 味方にして、R18指定のストーリーを出す

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