俺が初代魔王なんて間違っている。   作:すのどろ Snowdrop

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3話:裏切りは勇者候補達に勇気を与える

3話:裏切りは勇者候補達に勇気を与える。そして彼女達は……

 

「汝に死の宣告を!」

 

さぁ、蹂躙の始まりだ。

 

「魔王め!我らが王に非道なことを!今すぐ殺してやる!」

 

「そこの勇者と勇者候補!ボサッとしてないで殺れ!」

 

はっ。小町はともかく勇者候補のレベル10もいかないやつらに俺は殺されはしない。というよりこっちにきて一時間ちょっとで武器も持たされない奴らに殺せとか命令するなよ。鬼畜にも程があるぞ。人間としてどうなの?

 

“風魔導を取得しました”

 

脳内に機械音声でテキストが流れ込んでくる。使い方もバッチリ♪

キモいわ。やめとこ。てかいきなり風魔導の取得かよ。ビビったわ。

まぁでも。

 

「風は吹き荒れ、護るべき者を護り、中立を抑え、殺るべき者を殺る」

 

遠慮なく使うんだけどね!

護るべき対象。それはもちろん奉仕部と一色と戸塚と川崎姉弟と材木座である。あいつらは、あいつらだけはこの世界でも守り抜きたかった。もちろん過去形である。

この姿を晒した以上、着いてくる者は小町だけだろう。あとは気になるのは一色と海老名さんだな。(?)なんて付いてるのアイツだけだし。

 

王室全域に暴風が吹き荒れ、騎士や王と総武高校メンバーと奉仕部関係を3分する。そして風は騎士や王に襲いかかる。その風は鎧を削り、服を破き、肉を裂く。そして血が咲き、舞い上がる。後ろでは叫び声が響き渡っている。こんな状況じゃあ当たり前だ。

 

「な、なんでも言う事聞くから許せ!」

 

王が何か叫んでいるが俺には関係ない。何故なら現魔王ではなく、初代魔王だからだ。それに俺や小町、そして奉仕部や大事な人達を巻き込んだんだ。これくらいさせてもらわないと。あと召喚される時に死んだ奴らの敵討ち(笑)

 

「許すも何もねぇよ。俺は初代魔王だ。今の魔王とは関係ない」

 

「小町は初代勇者だけどお兄ちゃんのが大切だから♪」

 

小町、お兄ちゃんは嬉しいよ。そんなこと言ってくれるなんて。

 

「小町的にポイント高いっ♪」

 

その言葉で大暴落……。

 

「裏切り者め……」

 

「ほう、誰が裏切り者だと?」

 

俺は小町の背中にあった剣を引き抜き、瞬時に王との距離を詰め、王の首筋に剣を突き付ける。

 

「どう考えてもあい……」

 

その言葉が最後まで続くことはなかった。言葉のかわりに王の首が飛んだ。その首は総武高校メンバー側まで飛び、それは生徒の牽制代わりとなった。阿鼻叫喚の嵐で気付いている者は零に等しいだろうが。

 

「お兄ちゃんお兄ちゃん、これ以上殺したら勇者候補達が戦えなくなるよ?」

 

「おお、そうだな。……そして風は止み、安寧が訪れる」

 

瞬間、ピタリと風は止み、叫び声も止んだ。全員がこちらをみている。騎士や王妃は腰を抜かし、呆然とこちらを眺めているだけだ。

 

「小町、剣返すわ」

 

「お兄ちゃん、血、付いてないよね?」

 

「俺が血のついた物を持ち主にそのまま返すと思うか?」

 

剣は拭かなくても血は付いていなかった。

 

「まぁ、その剣を小町が持ってたら大変なことになるからここに置いてくことをオススメする」

 

「了解であります!」

 

ビシッと敬礼し、肩にかけてあった鞘を外し、玉座に放り投げた。

 

「投げんな」

 

「あたっ」

 

優しいチョップをかますと小町はむぅ、と唸って俺をみる。

 

さて、これからどうするか。とりあえず奉仕部関係のところに向かう。さて、拒絶するのか、受け入れるのか。修学旅行じゃ辛かった拒絶。今じゃ楽しみになっている。狂ってる。でも本能が暴れたいと叫んでいる。

 

「ひ、比企谷君……」

「ヒッキー……」

 

奉仕部の二人の目には明らかな拒絶の色が見える。

まぁアイツらからしたら罪もない人を殺したんだ。当たり前の反応だろう。しかし……

 

「八幡!なんだお主!かっこいいではないか!」

 

ドタドタと駆け寄ってきたのは材木座。コイツは中二病だしな。分かるが、それは内心に留めておけよ……。

 

「我も連れてけ。我は八幡、お主についていくと誓ったのだ。あのころから、ずっと」

 

かっこいいこと言うじゃないですかやだー。ていうか近い、近いよ材木座。顔がドアップしててウザイ。

 

「……そ、そうか」

 

「お、お兄ちゃんについていくる友達がいるなんて……」

 

酷くない?小町ちゃん。

 

「裏切り者め!光よ!」「風よ!切り裂け!」

「水よ!」「火よ!焼け!」「氷よ、貫け!」

 

へぇ。刃向かう度胸のある奴らも総武高校にはいたんだな。

 

「防壁構築」

 

半透明なドーム型の防壁が俺らのまわりに展開される。

 

「さて、話をしようか」

 

「罪もない人を殺す人に話すことなんてないわ」

 

「ゆきのんの言う通りだよ!なんで王様殺したの!?」

 

なんで、か。知らないから言えることなんだろうな。部室に居れば教室や廊下の様子なんてわからないだろうし。

 

「テレポーテーション起動」

 

雪ノ下と由比ヶ浜の足元に魔法陣が展開され、それは即座に上昇し、二人を覆う。次の瞬間には三浦や葉山達のところに転移していた。

 

「僕は八幡に着いてくよ!親友だもん!」

 

1歩、踏み出したのは戸塚だった。もちろん、拒むわけが無い。

 

「せんぱい……」

 

次は一色か。てか外野がうるさい。

 

「どうした?」

 

「私、人じゃないみたいです……」

 

「俺は初代魔王だ。人じゃなくても誇りに思えよ」

 

おい葉山、その玉座においてきた宝剣取り出すのやめろ?さすがにその剣は防壁じゃあ防御できねぇから。

 

「……なので、私もせんぱいに着いていきますねっ♪」

 

涙目で俺を見つめながらそんなことを言う。やっぱり一色は……

 

「……あざとい」

 

「あざとくないですぅ!」

 

ぷくぅ、と頬を膨らませて抗議する。どこからどうみてもあざといです。

 

「で、川崎はどうするんだ?今ならまだ引き返せる」

 

「あたしは……」

 

「俺はお兄さんに着いていくっす!」

 

なんでコイツに好かれてるんだろうか……。俺なんかしたっけ?

 

「お兄さんは俺の憧れっす!だからどこまでも着いてくっす!」

 

「ふっ、そうか。小町はやらんがな」

 

「お兄ちゃんシスコン発言やめよ?」

 

ウィッス。

 

「大志が着いてくならあたしも……」

 

「俺がやろうとしていることにそんなブラコン発言だけで着いてくるなら要らない」

 

歯軋りする音が聞こえる。そして大志はすっと息を吸った。おそらく批難しようとしているのだろう。……大志は強いな。毒虫とはもう言えないな。

 

「……姉ちゃんは俺が守るっす!だから姉ちゃんも連れてってください!」

 

おおう、ここまで強いとはな。この見た目の奴相手にここまで言えるなら……。

 

「はああああ!」

 

葉山が宝剣を抜き、駆けながらそれを一気に振り下ろす。ドーム型の防壁はいとも簡単に破られ、俺に剣が振り下ろされる。

 

「創造、刀」

 

俺は魔力から作り出した刀を右手に、宝剣を弾き飛ばした。

 

「何故だ、比企谷!」

 

お前に答える言葉なんてない、葉山。

 

「答えろよ比企谷!」

 

「……お前らには関係ない」

 

とだけ言っておこう。

 

「なんで協力できないんだ……!」

 

「そうだな、俺はお前が嫌いだから、と言っておこう。風は対象を元ある場所へ運ぶ」

 

葉山が元の位置にまで一気に戻るほどの強さの風を起こし、再び防壁をはる。

 

「雪ノ下、俺からのプレゼントだ。召喚、ラーブ」

 

猫型魔獣を最初の敵として贈ろう。上手く手懐けてくれることを祈ろう。あのラーブのレベル216だけど。

 

「お兄ちゃん、ダーカライブのどこに飛ぶの?」

 

「もちろん俺らが戦った場所。テレポーテーション起動」

 

「待て!比企谷!」

 

「転移、ダーカライブ城封印の間」

 

じゃあな、雪ノ下、由比ヶ浜、葉山。お前らが俺の前に立ちはだかることを楽しみにしてよう。

……、その前に魔族は人間を攻撃しなくなるかもしれないが。

 

光が俺らを包み込んだ。

 

ラーブが手懐けられるのか、殺されるのか。楽しみだな。

 

……海老名さん攫ってくれば良かったかな。

賢者を冥界側の味方につけるか否か

  • 味方にする
  • しない
  • 味方にして、R18指定のストーリーを出す

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