俺が初代魔王なんて間違っている。   作:すのどろ Snowdrop

1 / 11
1話:記憶そして転生

「何故だ、比企谷!」

 

お前に答える言葉なんてない、葉山。

 

「答えろよ比企谷!」

 

「………お前らには関係ない」

 

**********************

 

1話:記憶そして転生

 

「お兄ちゃん、お弁当持ってきたよー」

 

「おー、すまんなー、小町よ」

 

1ヶ月ほど前、無事に総武高校に入学した小町は、毎日お弁当を作っている。俺の分も作ってくれるからありがたい。たまに作ってくれないが。

 

「で、なんでお兄ちゃんはいつもここで食べてるのさ。奉仕部でみんなで食べればいいのに」

 

「ばっか、お前奉仕部に行ったら罵倒されまくっちゃうでしょ?ここなら風は気持ちいいし戸塚の練習姿見れるし」

 

「うっわ……」

 

ひかないで?小町ちゃん。

 

「ってあれ?これなに?」

 

そう言って小町が指したのは何らかの模様。それを辿っていくと、急に光りだす。

 

「ああああああ!」

 

「いぁああああ!」

 

光を認識した瞬間、八幡と小町の脳裏に映るのは八幡が手を翳し、黒い魔法を放ち、小町がそれを避ける場面。そして、何か、大切なもの。

思い出せそうで思い出せない。

 

「「………あ」」

 

2人が目を合わせたその瞬間、全てを思い出した。

初代勇者、小町。

そして、初代魔王、八幡。

つまりはこの2人は敵同士だった。

何故忘れていたのか。本当の敵は目の前に、いつも傍にいたのに。

……お互いに封印魔導撃ったからなんだけど。

 

話を戻そう。

……戻るのか?

 

地面に描かれた?出現した?魔法陣は徐々に上昇し、今や3階まで昇っている。

教室からは叫び声や悲鳴やらで阿鼻叫喚。

それだけで済めばまだ良かっただろう。だが、各教室では、ある者は倒れ、ある者は血を吐き、ある者は文字通り弾けた。それは地獄そのものだ。

 

八幡や小町がいたあの世界に召喚されるのなら、耐性がなかったり、適合しなかったりした者は、召喚魔導の対象になると死やそれに近いものをもたらす。

つまり、この学校ではたくさんの者が死に至っている。その中に八幡と特に仲が良いあの4……3人が居なければいいのだが。

少なくとも戸塚は生きている。

何故分かるかって?目の前にいるからだよ。

 

やがて、魔法陣は総武高校を覆い尽くし、光に呑まれた。

総武高校があった場所には何も残らなかった。

 

**********************

 

光が収まっていき、辺りを見回す。そこには建物はなく、おそらく地下なのだろう、高い位置に天井が見える。

学校ごと召喚されたと思っていたのだが、学校はなかった。

そして、俺のように立てていたのは小町だけだった。

俺の姿は制服、ではなく、魔王。

小町は勇者のそれであった。

 

「小町、どうするんだ?敵としてまた殺し合うか、魔王につくか」

 

俺が人間の味方をすることはない。絶対にだ。おまけに魔王の姿である。敵と間違えられて終わりだ。

 

「もちろん、お兄ちゃんについていくよ。お兄ちゃんと戦うなんて嫌だし」

 

ふと、ポケットになにか硬いものが入っていることに気づく。そのポケットに手を突っ込み引っ張り出す。小町も同じようにしていた。

 

「これは……」

 

名前:ハチマン

種族:魔王

Lv.386

HP:80952

MP:88834

称号:初代魔王 蘇りし魔王 魔帝 月、闇、影の使徒

取得スキル:闇魔導 影魔導 月魔導 死魔導 幻魔導 火魔法 水魔法 氷魔法 樹魔法 雷魔法 光魔法 土魔法 風魔法 召喚魔導 創造魔導 封印魔導 守護魔導 使役魔導 並列処理 剣術 テレポート 吸撃 虚偽の申告 索敵 鑑定 本物を…… 妹を想う気持ち 本当の友の為に……

 

俺ってこんななんだ……。

 

「お兄ちゃん、小町の見せるから見せて〜」

 

この兄妹はなんて呑気なのだろうか。

 

そういや召喚士はどこだよ。

 

「ほれ」

 

小町にカードを手渡し、受け取る。

 

名前:コマチ

種族:人間(?)

Lv.377

HP:79548

MP:88795

称号:初代勇者 蘇りし勇者 陽、光、聖の使徒

取得スキル:陽魔導 聖魔導 光魔導 星魔導 火魔法 水魔

法 氷魔法 風魔法 雷魔法 土魔法 封印魔導 守護魔導 剣術 テレポート 虚偽の申告 索敵 鑑定 兄の為に……

 

なんか似てるわ。てか人間(?)とか。小町が可哀想だわ。

 

「ほえー、お兄ちゃん強いね」

 

カードを返す。

 

「そういう小町もな。さて、そろそろ起こしにかかるか。虚偽使っとけよ」

 

「そだね。私雪乃さん達起こしてくる」

 

そう言って駆け出した。思ったけど魔王ルックで起こしたらヤバイんじゃね?

 

「見た目だけでも誤魔化しておくか。虚偽の申告」

 

…………………葉山グループ起こしてあとは任せるか。

 

「水よ……」

 

水に願いかけ、呼び出す。その水を葉山の頭にかけた。

起きるまで、何度も。風邪?知らん。

 

「ん…、ここは……」

 

「異世界だ。他の奴らを起こすのは頼んだ」

 

「っ!?わかった。ヒキタニ君は……」

 

「俺はここの召喚士を探す。たぶんそろそろ来るだろうが」

 

「そうか。ならそっちは任せた」

 

まぁ、このあと裏切るんだけどね。

次に会うのはいつになることやら。

……、あいつらはどうしようか。あいつらを連れてくわけにはいかんし。

 

「お目覚めですか、勇者様方」

 

来たか。とりあえずアイツに案内させてからここを出るか。

 

賢者を冥界側の味方につけるか否か

  • 味方にする
  • しない
  • 味方にして、R18指定のストーリーを出す

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。