戦女神達の戦争 軍団、『彼の地にて』   作:電話圏外

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6話 長官、戦の行方を担う運命と出会う

 

 

[東京 総理官邸] 11:09

 

 

 

総理官邸、その一室で目を覚ました金髪の美女は腹痛に耐えかねて蹲っていた

 

 

直ぐに警備員がやって来る

 

その女性は救護室へと移動し、その場の警察官により何故招いた覚えもないのにここに

居るのか、と質問を行う

 

 

「何故!?why!?ニホンジンがここまでレヴェルが低いとは思いませんデシタっ!」

 

 

「…落ち着いて、アナタはどなたですか?」

 

 

「ベリーFBI長官…元…」

 

 

「今は?」

 

と、尋ねられると狼狽え

 

「何故かこの状態よ!」

 

本人は日本に捜査協力に当たる為ここに呼ばれた一人だと騒ぐが

 

FBIはもとより来客の予定もないとのことで

 

その後電話、ネット対応により、国籍、戸籍、諸々当たってみるも存在そのものが無いようで

 

多摩川沿いのホームレスの情報に都内の市役所でヒットした

 

 

 

「えー、貴女は『ベリー・M・アタゴ』一家離散した直後から連絡が途絶えています」

 

務めていた企業は解体され、恋人も居らず。父親の借金で首を括ろうとしていた処を一

時保護、ギンザのジュエリーショップで現在働いていました

 

 

「つまり、ワタシは身元が無いってとこネ?」

 

 

「どうやら、記憶の混濁も、です」

 

 

「ホスピタル…は大丈夫、確りしているわ」

 

重い鉄の扉を開く音が静かな取り調べ室に響く

 

「彼女については、我々が引き取ろう、ありがとう警備部のみなさん」

 

 

「シノサキ議員…」

わかりました、と被りを振って警備員は別室へと向かった

 

 

ドアが締まりきるのを見た黒スーツの一般的な日本人の顔立ちの彼は

 

 

「Mr …アナタは…」

 

 

「どうも、ミセス、ベリー」

その言葉にベリーは目を見開いた

 

「シノサキ・ススム国会議員、といっても若手ですがね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「出してくれ」

 

 

「乗り心地は良くないかもしれないが、道路事情は大分優れているよ」

 

 

「息子さんと娘さんはどう対処する?」

 

 

「ご本人からメールを打っていただこう」

 

 

「失くしたと思ったのに…」

 

 

「今は静かな物置部屋と化した警察庁の一課のオフィスにあったよ、『彼』も訪れたよ

うで…」

 

 

「鬼のフミジマがまだ生きている…それは本当なのか?」

助手席のササガワは驚いていた

 

「フミジマ…?あの地の果てまで犯人を追い、海外だろうと捕まえるというあの?」

ベリーまでも聞き覚えのある有名な男のようだ

 

「ああ、『それらしきモノ(バケモノ)』をスポーツジムで見かけたって情報があああ」

 

ダッシュボードに載せているスマホを見つつ運転していた情報処理担当の環境省政務課

に所属するオコタ政務員

 

咄嗟の判断で急ブレーキを駆ける

 

 

「どうした、って!バックバック!切り返せ!」

 

どうしたことか目の前には2mはあろうかというワイバーンがビルの横から転がってき

たのだ

ササガワが指示する前にバックを行う

 

唸りを挙げてタイヤが輪転するが空振る

 

大きなコンクリート片の上に後部が乗り上げたようだ

 

 

ベリーは急いでドアを開け、それに驚く男性達を尻目に身体をワイバーンに向け、右腕

を指し伸ばす

 

 

 

「何をしているんだ!戻れ!」

 

彼女は目の色を変え、仁王立ちの体制で何度もその右腕を上げる動作を行う

 

「おいっ!シノサキ!」

 

シノサキ議員も降り、彼女の隣に立つが目の前にはワイバーンの揃った歯が口を開け

 

その顎を喰い破らんとする直前だった

 

 

「…て」

 

 

「逃げ…」

 

 

 

 

撃てーーーっ( F i r e )!!」

 

 

 

 

直後、響くのは戦艦の大砲の轟音だった

 

 

「見事に…ミンチだなこりゃ…おい、手伝…ありがとう 」

 

「いいえ、問題ない、先を急ぎましょう」

 

肉の塊と化したソレを彼女は片手で歩道へ投げ、車の後部を軽々と持ち上げ元の位置に

戻し、後部座席へと戻った

 

 

静かに運転を開始したオコタはシノサキへと尋ねる

 

「彼女、何者(・・)なんですぅ…?」

 

「彼女は…」

 

 

 

蘇った死者(・・・・・)だ」

 

彼女も俯き両手を見て何かを感じているようだ

 

「これからは俺達の指揮所で話す」

 

 

 

オコタはこの人に着いていって正解だったのだろうか、と何度目かのため息を吐いた

 

 

 

「今、拠点となっていると聞きましたがアキハバラ…という処はどうなったのですか?」

 

先程とは明らかに仕草も様子が違うベリー

 

「位置的には絶対防衛線ですね。貴女がた死者の勢力によって築かれています」

 

シノサキの共犯者ササガワ

 

 

「我々は其処へ向かいます」

 

何を考えているやら、シノサキ

 

 

 

 

 

 

『我々は、生き延びる戦いを行う』

 

 

着いてこられるか?

 

 

ギンザの混乱の中言われた言葉

 

 

 

「隊長の為ならどこへでもどうぞぉー…」

 

まあ、構わないだろう

あの人に連れられなければオレもあそこ(ギンザ)で死人になっていたところだ

 

 

軽快なラジオでも流そう、雨が上がった今は米軍のラジオでも流れている筈だから

 

 

 

 

 

 

 

 


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