それぞれの世界でホラーと戦い続ける冴島雷牙と道外流牙。だが、突然現れた黒い穴に吸い込まれて、最初2人は警戒して魔戒剣で混じり合うが理解し合う。しかしそんな2人の前に現れたのは、亡霊と化した金城滔星とエイリスの分身体。さらに滔星とエイリスは、ゼドムの種と一緒に融合して強大な力を得た。しかし雷牙と流牙は過去の因縁として対決をする。
「滔星!」
最初に流牙が大きく魔戒剣を振りかざして滔星の首を斬り落とす。しかし首は巻き戻すかのように繋がって再生。
「なにっ!?」
「無駄だ。今の“俺達”は永遠の力を得た…こんなのへでもないわ!」
滔星は手をかざすと魔法陣が展開し、そこから巨大な拳が流牙を殴って攻撃した。
「うわっ!?」
ぶっ飛ばされた流牙は遺跡に激突する。
「流牙!貴様っ!!」
すぐに雷牙も魔戒剣でエイリスの顔がある滔星の腹部を突き刺した。しかし何も感じない様子で話しかける。
「さっきも言っただろ?“俺達”は不死、永遠になったんだとな!」
「ぐおっ!」
雷牙にも魔法陣から出るパンチでぶっ飛ばされて地面に叩きつけられた。この光景を見て滔星はこれが見たかったのだと、顔を歪めて大笑いし始める。
「あははははは!これだよこれ!俺の邪魔を散々しまくった黄金騎士を痛めつけるところがよ!今の俺は尊士以上…いや、尊士なんて雑魚だぜ♪」
自らの目的のために魔戒騎士の先輩を魔導ホラーにしておきながら、あざ笑いながら尊士を罵倒する滔星。そんな彼に強い怒りを感じる魔戒騎士2人は立ち上がる。
「滔星!絶対にお前を許さねぇ!」
「さっきも言ったが、お前達みたいな奴を好きにさせてたまるか!」
2人が叫びながら自分達の頭上に魔戒剣で円を描くと、黄金に輝く鎧を召喚し2人の体に装着する。
黄金騎士
牙狼
今まさに異なる世界の黄金騎士牙狼が揃い。牙狼剣を滔星に向けて構えて斬りかかったが、再び魔法陣からの複数の手を出して攻撃し始めたので、2人の牙狼は避けたり斬りつけた。しかし今度は滔星の背中から蔦のような触手を出して牙狼達に攻撃する。2人は牙狼剣で斬り落としたり防ぐ。触手から魔導ホラーの武器が出てきて槍のように飛ばし、さらに掌からも刃のような葉やトゲを飛ばした。
「はっ!ふんっ!たっ!」
「ふっ!とぁ!そりゃ!」
雷牙狼と流牙狼が牙狼剣で弾いたりしていると、そのまま滔星の所に向かって突撃する。
「うおぉぉぉぉぉ!」
「はぁぁぁぁぁぁ!」
そして雷牙狼は縦に流牙狼が横に滔星を斬り裂いた。
「「無駄だ」」
「「うがっ!!」」
縦に斬られながらも余裕の笑みで魔法陣からの巨大パンチと、再生途中の体から出した触手を束ねたボールで攻撃する。ダメージ大きかったのか2人の鎧が解除それた。
それから再生すると顔の位置が変わり、頭部にはエイリスの顔で腹部には滔星の顔になっていた。
「うふふふふふ。最早、我らを倒す者など存在しない」
「そうさ…人間界でも魔界にもいない。絶対にな♪」
響き渡る2つの邪悪な笑い声。それを聞いているだけで吐き気を感じてしまうほどに。
「この世に…絶対や永遠なんてない!」
「少なくとも、貴様達のような奴らには!」
すぐに2人は鎧を装着し直した瞬間。魔法陣が2人の前に展開し、そこから滔星そっくりの黒い影が分身2体出てきた。
『『来るぞ!』』
「「分かってる!」」
それぞれのザルバの掛け声に返事しながら、襲って来た分身体と交戦する。分身体はそれ程強くないので簡単に倒せると確信した。しかしそれが隙になって、魔法陣からの巨大な手で2人を殴りつけた。
「ぐわっ!」
「うおっ!」
ぶっ飛ばされ壁に激突し再び鎧が解除されると、雷牙と流牙はかなりのダメージを受けたのか動けずにいた。
「本当にお前らは無駄な真似を?」
滔星がまたエイリスと顔の位置を変えて笑いながら近づく。すぐに動けない体を無理にでも動かそうとした途端、触手が2人の手と足を縛って身動きを取れなくした。
「残念だったな?だが、これで分かっただろ?俺達は永遠なのさ」
「なにが永遠だ!」
「そうだろう?いくら魔戒騎士でも子供を産む前に死んでしまえば途切れるだけ…だが、今の俺は違う。不死と不滅の肉体と無敵の強さ…これこそが永遠だ」
自分の力と姿を改めて惚れ惚れしながらも邪悪な笑みで2人に語り続ける。だが、流牙は未だかつてない怒りを感じる。
「まだだ…絶対にお前達を倒す…」
「これを見てもか?」
すると滔星が指をパチンと鳴らすと、周りからたくさんの空間の穴が開き。さらには魔界のゲートもあった。
「どうだ。エイリスは時空を操れるから、融合した俺もこれが出来る。今ここでホラーを解き放っても良いんだぞ?」
自慢するが2人にはどうでもいい事。なにもかも最悪な男をどうすれば倒すのか考えていた。しかし滔星の口からとんでもない発言をする。
「もっとも、俺達はさらに力を得るのさ」
「なに!?」
「まずは時空を超えて、もう一つの我が貴様に再び封印される前に向かい。そして今の我らと融合する。さらに亡霊前のコイツとメシアとギャノンとゼドムをも融合し、更なる力を得て新たなるホラーの神になるのだ」
なんと滔星とエイリスはそんな事を企んでいた。もしも本当に本体と亡霊前の自分と、メシアとゼドムと融合したら大変なことになる。しかしこんな状況でも、2人の目には諦めるというものが見えない。
「たとえ…俺達が死んでも、次の黄金騎士を受け継ぐ者が必ずいる!」
「それに…まだ色んな世界にも魔戒騎士が存在する限り、お前に自由はない!」
それは守りし者としての信念に満ちた目で叫ぶ2人の黄金騎士。これには滔星も少し抵抗したが、すぐに切り替えた。
「そんな事を…言える立場か?」
すると滔星が両手から出したのは魔導ホラーのプラント。
「前にお前の魔導ホラー化は失敗したが、今度はそうはいかんぞ!」
「次は俺だけでなく…」
「もちろん、もう1人の牙狼もだ」
かつて流牙を魔導ホラーにしようとしたが、仲間が右手を犠牲にしてならずに済んだが今は身動きがとりない状態。2人はもがいたが一向に触手が緩む様子はなく。魔導ホラーのプラントは雷牙と流牙に向けて
「じゃあな…そして誕生だ!」
そして滔星はプラントを2人に目掛けて投げつける。だが、その瞬間に何かが飛んできてプラントを斬り裂いた。
「なにっ!?」
驚く滔星だったが、なによりも衝撃的だったのは飛んできて地面に突き刺さってたのは牙狼剣だった。これには雷牙も流牙も驚く。
「これって、俺達のじゃないけど?」
「あれは!?」
雷牙が目撃したのは遺跡の上に立っている黄金に輝く魔導馬・轟天。そして轟天に堂々と跨る牙狼。轟天が蹄を鳴らしながら走って来て滔星に体当たりし遠くまで吹っ飛ぶと、雷牙と流牙を縛っていた触手が解けた。3人目の牙狼は轟天から降りて、突き刺さった牙狼剣を抜く。
「大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。それで……アナタは?」
3人目の牙狼が鎧を解除して轟天も消えると、それは雷牙と流牙以上に修羅場を生き抜いて戦って来た戦士の顔。そして雷牙と雷ザルバは驚きを隠せずにいた。
「大きくなったな、雷牙」
『鋼牙!』
「…父さん!?」
それは雷牙の父にして先代牙狼の冴島鋼牙。かつてエイリスによって歪まれた時空の穴に、鋼牙の愛する人で雷牙の母親のカオルが吸い込まれ。鋼牙は雷牙に牙狼を託してカオリを探す為に、自分から時空の穴に入って姿を消す。
「雷牙の父親?アナタが…」
「父さん…どうしてここに?」
「カオルを探していたら、次元の穴を見つけてな。もしかしたらカオルがいると思ったら、まさか成長した息子だったとはな」
鋼牙は雷牙の姿を見て少し苦笑いする。どうやら現実世界と時空の狭間との、時間差が違うらしく。6歳だった雷牙が立派な魔戒騎士に成長したのに対し、鋼牙はそれ程年を取っていない様子。
「それで、君は?」
「俺も黄金騎士牙狼の称号を受け継ぐ者。道外流牙です」
「……そうか。君が?」
「え?」
じつはある空間で、魔戒法師の烈花と莉杏が黄金騎士に倒されたホラーの恨みの集合体・ザジに襲われた時に、今みたいに現れて助けていた。その時に莉杏が言ってた仲間の黄金騎士が流牙だと理解する。たが、しばらくすると復活した滔星が3人に近づく。
「まさか…3人目の牙狼が現れるなんて…」
「我としたことが…」
滔星とエイリスは鋼牙を睨みつける。そして鋼牙も改めて目の前の敵を確認した。
「なんだあれは?」
「父さん。アイツは金城滔星という亡霊とエイリスが融合し」
「そして信じられない再生力と力を得ているんだ」
雷牙と流牙が目の前の邪悪な敵の説明をすると鋼牙が口を開く。
「なるほどな。とりあえず、貴様らという陰我をここで断ち切ってやる!」
「黙れぇぇぇぇ!俺達は永遠になったんだ!絶対に死ぬことのない、不滅になったんだ!たとえ3人でもここでぶっ殺してやる!!」
癇癪を起して叫びまくる滔星に対して鋼牙は喋り出した。
「お前の言う永遠などたかが知れてる…本当の永遠は、心の中にある守りし者としての決意と」
鋼牙と雷牙と流牙がそれぞれ持つ魔戒剣で円を描くと、そのまま上に掲げクロスする。すると牙狼の鎧が装着と同時に大きな黄金の輝きに包まれ、滔星はつい目を閉じてしまう。光が晴れると3人の牙狼の姿が変化して、背中には黄金の巨大な翼と両肩と胸には狼の装飾に、黒くなった腹部と腕と足に各部分の装甲に鋭い鉤爪と刃とトゲが生えた。そして鋼牙は通常よりも少し巨大で羽と牙の装飾のある牙狼剣。雷牙は双剣で師匠の銀牙騎士絶狼の銀狼剣に少し似た形状の牙狼剣。流牙は莉杏の魔戒銃に刀剣が組み合わされたブレードガンの牙狼剣。
「俺達のこの想いが…永遠だ!」
3人の黄金騎士が時空を超えて出会えたことで変化した牙狼の強化形態。
「なんだあれは…なんなんだよ!聞いてねぇぞ!?」
見たことのない牙狼の新形態を目の当たりにして、冷静さを失い喚き散らし出す滔星。元々滔星は小心者な上に器の小さい小悪党で、ホラーに憑依さても戦わずに命乞いをして逃げる程の。いくらエイリスと融合した時点で性格は変わらないまま。
「滔星!そしてエイリス!!」
「お前達には分からないだろ!」
「ひっ!」
雷牙狼と流牙狼が滔星に向かって叫ぶ。思わず怯える滔星だったが、いきなり後頭部にエイリスの顔が浮き出て言い返してきた。
「なにをしようと無駄だ。真に永遠な我らを勝てるものはいない」
そのまま魔法陣からの巨大な手や、触手から槍を発射しまくった。しかし剛牙狼が大牙狼剣を一振りすると手を消し去って槍を薙ぎ払う。それから雷牙狼も双牙狼剣で叩き落して、流牙狼は銃牙狼剣で撃ち落としたりする。すると滔星は全身から大量の刃とトゲを生やし、さらに腕を阿修羅のように6本にして、魔導ホラーの武器を持つとそのまま宙に浮く。
「2人共、行くぞ!」
「「はい!!」
剛牙狼の合図に3牙狼は翼を広げて空に飛んで滔星に向かった。滔星は体を回転させて斬りかかったが、すぐに3牙狼が避けると両腕から黄金の弾丸を発射。6本の腕で弾丸を弾いたりするけども何発か当たってしまう。
「クソ……」
「残念だな?いくら不死の力を持とうともお前達。特に貴様の薄汚れた心じゃあ無駄のようだな?」
「うる…うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
自棄を起こし3牙狼に向かって突撃する。そして3牙狼がいっせいに、それぞれの牙狼剣で滔星を細かくバラバラに斬り裂く。だが、しばらくすると滔星は顔から全身にかけて再生。
「何をやっても無駄だ」
「そうだ…貴様らが如何なる力を得ても、ん?」
「なっ…なんだこりゃ!?」
滔星とエイリスは自分の体を見て驚く。それは体にいつのまにか何本か黄金の鎖が埋め込まれて、その鎖の先が3牙狼達からだった。
「お前達が肉体を再生するとき、必ず最初は頭部から」
「そこに、この仕掛けをしておけば」
「後は、簡単に捕まえることが出来る」
「おのれ…魔戒騎士共!!」
鎖を引き千切ろうとするがビクともしない。それでも滔星は必死になったりするが、そこに鋼牙狼が声をかけてきた。
「それよりも、今自分のいる場所を確認したらどうだ?」
「なにっ!こっ、ここは!?」
それは、滔星が今いるのが魔界のゲートのど真ん中。
「お前達…まさか俺達を?」
「そうだ。魔界に落として封印してやるよ」
「うっ……やってみろよ…さっきも言ったが、俺達は時空を操れる。たとえ封印しても、俺達の能力と人間の陰我がある限りな!」
開き直るかのように大声で宣言するが、続いて雷牙狼と流牙狼も宣言した。
「俺達も言ったが、さまざまな世界に俺達と同じ魔戒騎士いる!」
「それにきっと、お前達を倒せる手段がどこかに存在するかもしれない!」
強い信念で宣言するが、万が一滔星をこのまま魔界に落としても能力で戻って来る可能性が高い。どうすれば奴を大人しく魔界に封印させるか考え始める。
「烈火炎装よ」
「ん?」
その時、流牙狼の耳元で女性の声が聞こえた。しかもなんとなく懐かしく感じる声。だけど、とりあえず流牙はその声に従おうと思った。
「鋼牙さん、それに雷牙…烈火炎装を使ってみませんか?」
「烈火炎装を?」
「だけど…はっ!」
すると鋼牙と雷牙はあるものを見た。それは鋼牙の父で雷牙の祖父である、初代牙狼の冴島大河の姿。大河も烈火炎装を使えと頷くと消えてしまう。
「良し…雷牙、烈火炎装だ!」
「勿論ですよ…父さん!」
さっそく3牙狼が烈火炎装を発動。全身が緑色の魔導火を包まれたが、背後には無数の黄金騎士の姿がうっすらと見えた。
「なっ、ななな…なんだ!?」
「それは…なんなんだ!?」
当然、滔星とエイリスは無数の黄金騎士に驚いて逃げようとするが鎖で動けない状態は変わらず。そして3牙狼がさらに魔導火の火力を上げて大声を上げる。
「これが、俺達黄金騎士…」
「「牙狼の炎だ!」」
「「ぐおわあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!?」」
3牙狼の烈火炎装による魔導火が鎖を辿って、滔星の体を燃やした。燃えるたびに体が灰になっては再生していく。
「この炎は…過去から遠い未来と別の世界の黄金騎士からの炎だ。永遠に消える事は絶対ない!」
「そ…そんなあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
それを聞いて絶望する滔星だが、本当に消える気配はなく燃え続けた。
「父さん…このまま魔界に落としますか?」
「そうだな?もしかしたら、この状態で魔界から逃げだす可能性が…」
「だったら私達に任せてください」
「「「え?」」」
すると先程、流牙が聞こえた声が今度は鋼牙と雷牙にも聞こえると、目の前に黄金の光と一緒に姿を現す。その姿に一番驚いたのが
「母さん…符礼法師!」
それは流牙の母親の波奏と師の符礼。2人共、流牙と莉杏達にすべてを託して死んでしまったが英霊として現れた。
「き……貴様は!!」
「流牙…よくがんばったわね」
「後は私達に任せてもらおうか」
英霊の波奏と符礼が燃え続ける滔星に魔導筆を向けて円を描いて、今回の戦いに終止符を打つかのように法力を溜めていき。
「「破っ!!」」
波奏と符礼は魔導筆から金色の光を放つと滔星に直撃。そして体に埋められた黄金の鎖が消えると、滔星が金色の水晶に包まれると掌サイズに縮んで、魔界のゲートに真っ逆さまに落ちる。ゲートもそのまま消えてしまう。3人が鎧を解除して流牙が最初に波奏と符礼に声をかけた。
「母さん…滔星は?」
「私達の残された力で滔星とエイリスを水晶に永遠に閉じ込めました」
「そして奴らは永遠に水晶の中で、お前達の消えることのない炎に焼かれながら魔界を漂い続けるさ」
3牙狼に説明する波奏と符礼。その頃、水晶の中に閉じ込められて滔星が本当に絶対に消えない魔導火の炎に、全身焼かれては再生の繰り返し魔界に落下中。
「熱い!熱い!お願いだ…俺を殺して、死なせてくれ…うげゃあああああああ!!」
聞こえる筈もないのに滔星は自分を殺せと泣き叫びながらも燃え続ける。
「この我が…また、黄金騎士共にぃぃぃぃぃぃぃ!!」
エイリスも牙狼に対する怨みを叫ぶ。しかし水晶はただ魔界の奥底に、いつまでも落ち続けた。
雷牙と流牙の前に現れたのは鋼牙で、3人の黄金騎士は力を1つにして新形態・獣翼闇装になり。さらに波奏と符礼と一緒に滔星を魔界に封印しました。次で完結にします。