「着弾!砲撃命中!!」
その日の昼、一通りの挨拶などを済ませ弥生は摩耶、木曾、叢雲と砲撃訓練をしていた。
「やるねぇ、弥生。」
「ありがとうございます木曾さん。砲撃は、得意ですから....」
弥生は海上の的を的確に撃ち抜いた。
海上では波などで常に照準がぶれる。
そんな海上で動きながら正確な射撃ができるのはかなりの腕前だ。
「弥生、お前すごいな!あんだけ正確に撃てるなんて、さすが、本土から戦力要員として来ただけはあるぜ!」
「...ありがとうございます」
"砲撃訓練を終了します。海上の艦娘は帰投してください。,,
一通り訓練が終わったのと同時に、海上のブイ型スピーカーから大淀の声が聞こえてきた。
「終わったみたいですね…では私はこれで。お付き合いありがとうございました…」
そう言うと弥生はすぐに鎮守府に戻って行ってしまった。
「.......」
鎮守府に向かう彼女の背後を、摩耶は怪訝そうな顔で見つめていた。
「どうしたの摩耶?」
「叢雲。弥生、どう思う?」
「うーん...ちょっと口数少なくて近寄り難い感じかな?」
「それだけか?」
「どういうこと?」
「いや、弥生見てて思ったんだが、どこか集団を嫌うような感じがしてな。」
「どうかしら。まぁ、確かにそんな感じもするけど....」
「ま、今考えてもしゃーない!帰投するぞ!」
帰った頃には、ちょうど昼休憩の時間になっていた。
「__たまには外でお昼もいいわね。」
帰投後すぐ昼休憩になり、叢雲は昼食を持ちながらどこで食べようか外を歩いていた。
(んっ?あれって…)
視界の端で、桟橋に座ってる人影が見えた。
「弥生?弥生よね?」
「あ....叢雲ちゃん...」
桟橋で弥生が一人で昼食をとっていた。
「一緒にお昼食べてもいいかしら?」
「....どうぞ」
もぞもぞと動いて隣を空け始めた。
「ありがとう」
躊躇いなく座り込むと黙々と昼食を口に運びだす。
「ねぇ、弥生。」
「...なんですか?」
「人と話すのは、苦手?」
それを聞くと、弥生は顔を逸らし黙り込んでしまう。
「ええ、まぁ..」
顔を逸らしたまま話し出す。
「あなたが無口かどうかは関係ない。ただ、多少は打ち解けようとしてもいいじゃない。私達が信頼できない?」
「別に信頼できないとかではないけれど....」
「じゃあなんで?」
「....貴女には、関係ありません。失礼します。」
「え、ちょ、ちょっと弥生!」
そう言うと弥生は食べ終えた昼食のゴミを持って歩き去っていってしまった。
「なんなのよ…」