艦これSS〜一筋の航跡〜   作:鉄製提督

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素人ですが、読んで頂ければ幸いです。


第一話「着任」

 

 

白い砂浜の上を、一人の少女が歩いていた。

 

「ふーん。ここがショートランド泊地ねぇ…」

 

彼女の名は、吹雪型五番艦「叢雲」。

叢雲は、更に奥へと歩いて行く。

しばらくして、木造の大きな建物が見えてきた。

彼女はその建物の中へと入っていった。

 

「何か、結構ボロいわねぇ。」

 

彼女の言うとおり、建物の中はだいぶ老朽化していた。廊下は歩くと床鳴りがし、照明は電球をそのまま吊り下げただけのものだった。

 

少し歩くと、「執務室」と書かれた木札のかかった部屋を見つけた。

 

「ここのようね。」

躊躇うことなくドアを開ける。部屋に入ると男性が1人と、眼鏡をかけた、艦娘と思われる女性がいた。

「やっと来たね。叢雲。」

 

「あら、私のこと知ってるのね。」

 

「当然さ。これから来る予定の娘を知らないでどうするんだい?」

 

「アンタが司令官ね。よろしく。」

 

「春日 英人(かすがひでと)だ。よろしく。」

 

「アンタ随分と若く見えるわね。本当に提督?」

 

叢雲の言う通りだった。彼の見た目は、二十代後半から三十代前後、中肉中背で、提督と呼ぶには、若過ぎるような見た目である。彼女の鋭い発言に、春日は苦笑いを浮かべた。

 

「叢雲さん。私は軽巡大淀です。よろしくお願いします。」

 

「えぇ、よろしく。」

 

一通り挨拶を終えると、春日は口を開いた。

「それでは、残りの艦娘達も紹介しよう。」

 

そう言うと彼は、机の上にある放送用マイクのスイッチを入れた。

「全艦娘は、執務室に集合してください。」

 

しばらくすると艦娘達が執務室へ入ってきた。

 

「紹介しよう。加賀、赤城、飛龍、長門、摩耶、妙高、木曾、白露、吹雪、綾波、明石だ。」

 

「へぇ、ほかの艦娘は?遠征?」

 

「いや、これだけだけど?」

彼の口から放たれた言葉に、叢雲は驚愕した。

 

「はぁ!?私と大淀入れても13隻しかいないじゃない!」

 

「は!?いやいや、なんでこんなに少ないのよ!普通もっといるでしょ!」

 

二艦隊分+1しかいないことに、叢雲は驚愕の声を上げた。

 

本来は、四艦隊を運用するのが当たり前であった。つまり、24隻は少なくともいるはずなのである。

 

「ま、まぁ、それついては今度詳しく話すから。ね?」

「.....」

彼の言葉に対し、叢雲は黙り込んだ。

 

「...わかったわ。」

 

彼女は渋々承諾した。

 

「よかった。それじゃあ、君の部屋へ案内しよう。摩耶、頼む。」

 

「おうよ!摩耶様に任せときな!ほら行くぜ!新入り!」

 

そう言うと摩耶は、叢雲の手を引き、強引に外へ連れ出した。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

二人がいなくなり、少し部屋が静かになった。

 

「さて、君達もご苦労だった。各自解散でいいよ。」

 

「了解」と同時に言った後、それぞれ談笑しながら部屋を出て言った。

大淀だけは部屋に残った。

 

「....いいのですか?提督。」

 

「ん?何がだい?大淀。」

 

質問に首を傾げるのに対し、大淀は溜め息をついた。

 

「しらばっくれないで頂けますか。」

 

その言葉で、春日は柔らかい笑顔から、硬い表情へと変えた。

 

「ああ、いいんだ...僕達は受け入れるしかない、たとえそれが残酷な巡り合わせだったとしても____」

 

To be continue...

 

 


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