連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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どうもアゲインと申します

学園の生活、中編

そんなサイドストーリーでございます


SS:学園の日常 中編

 グラウンドの視察も終わり、大食堂にやってきましたの。ほとんどが学生のこの学園の食堂ですからそれはもう巨大なのです。

 そして何より頑丈!

 度重なる破壊と改修を繰り返した結果、ビルの倒壊に巻き込まれようと無事という訳の分からない強度を誇る施設となったのです。

 もっと他に強化するべき場所があるはずなのですが、あまりの頻度に左右堕先生がブチキレて全面改修を施したのですの。

 

「この食堂は皆さん無料で利用することができるのですの。あくまで学食だからですからね。趣向品が欲しい場合はまた別の手段が要りますの」

 

 ついでだからここでその説明もしておくことにしますの。

 私はポケットからスマフォのようなものを取り出してみせる。

 

「これは『電子生徒手帳』ですの。生徒全員に支給されて、各々の働きによってこの学園内だけで使える電子通貨『モノポイント』、通称『MP』が使えるようになりますの。他にも校則や学園の地図、もちろん通信にも使えますの」

 

 食事をしながら聞いていた面々から疑問の声があがりましたの。

 ふむふむ、『どうやってポイントを獲得するのか?』、ですか。よい質問ですの。当然ともいえるそこにいち早く気付けるかはこの早馬の目を盗むかのような環境では大事なことですの。

 

「---それは自分が答える」

 

 食堂の扉から出てきた人影に、ここにいた人たちの視線が集まりましたの。けして大きいとは言えない声量でしたが、不思議と空間に響くような、そんな声でしたの。

 

「始めまして諸君。私はこの学園の教師の一人、『超超人級の生存者』こと不死身沢(ふじみざわ) 生死牢(せいしろう)だ。担当は主に特殊授業を請け負っている」

 

 私にも彼らと同じものを、と厨房に指示を出し、皆さんの視線が集まりやすいところへ移動しましたの。

 

「巡。少し時間を貰うぞ」

「いえいえ、どうぞよろしくお願いしますの」

 

 あまりこういうのはどうかと思うのですが、教師の中でもだらしない格好なのです。上下を黒いスウェットに身を包んでいるのですが、汚れというかしわというか、とにかく着っぱなしなのです。

 お風呂には入っているようですが、それでもこれはちょっと・・・。

 

「さて、君たちが気にしているポイントだが、基本的には才能開発の過程で得ることができる。これは授業を真面目に受けていれば貰える。次に研究補助、これはこの学園でその才能を認められたもの達の研究に駆り出されることがあり、その活動を評価するものだ。そして---」

 

 そこでいったん溜めを作り、周りを見渡すようにして視線を巡らせたかと思うと、ゾッとするような笑顔を浮かべた。

 

「---私が提供す特別授業。内容は---

 

 

 ---コロシアイだ」

 

 その瞬間に新入生の間には言い知れない悪寒が全身を駆け抜けていったような感じがした。まるで首輪を掛けられてしまったかのような、死神にあったかのような、そんな不吉な感覚が止まないのだ。

 

「おいおい安心しろよなにも本気にすることないだろ。まじな殺し合いをするわけじゃないのだから。確かに本気の殺意をもってあらゆる計略を使い対象を殺す訳だが、なにも本当に殺さなくていい」

 

「特殊な施設内で共同生活を送り、その中で行うコロシアイサバイバルだ。一定時間ごとに殺人の動機が与えられる。殺人が成立した時点で殺されたと判断されたものは退場。状況を再現した人形に入れ替わる。そしてその死体役を三名以上が見つけた時点で本題に入るわけだ」

 

「諸君らはこの事件を調査し、学級裁判にて殺したものを見つけ出す必要がある。殺したものをクロ、それ以外はシロとなり、クロを見つけ出せばクロだけがお仕置き、それ以外のシロにポイントを進呈する。違う相手をクロとした場合はクロ以外の全ての生徒がお仕置き。はれてクロの勝利となり、大量のポイントをゲットできる。簡単だろ?」

 

「私の用意するコロシアイのための研究だ。人間の根本に迫る究極の探求だ。多くの参加を期待しているよ」

 

 それではよい学園生活を。

 いうだけいって、いつのまにか感触していたランチを返却しにいってしまったですの。

 

「・・・えー、こういたったことも学園の一部ですの。あまり人気がないのでここまで出てきたみたいですの。今は気にすることはないので、どうしてもポイントが欲しい場合以外は関わらないほうが得策ですの。

 

 さあ、気を取り直して午後からも視察を頑張りますの!!」

 

 不死身沢 生死牢。

 自身の探求のために人がいるのに、その性質のために望みが叶わない、自業自得な男であった。




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