連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~ 作:アゲイン
父、またも暗躍す
そんな四十八話でございます
やあ、画面の前の皆様。
どうも、希望ヶ峰 絶です。
改造人間アフォの実戦テストもほどよく完了し、今は別の個体の製造に取り組んでいるところだ。
別にあいつ専用という訳ではないからね。これはある意味とても素晴らしい交渉材料となるのだから。
「氷室君。交渉の席についてくれる方々はもうお目見えかね?」
「はい、学園長。五十三名の方がモニタールームでお待ちです」
「それは上々だ。早速いこう」
進捗を確かめていた部屋から場所を移し、数多くのモニターがずらりと並ぶところにきた。モニターには既に幾人もの人物が映し出されており、よく映画とかで見るような大会議のような様相となっている。
「やあやあ、始めての方もそうでない方も、改めましてモノクロームだ。今日は有意義な時間を提供できるよう努力させて貰おうじゃないか」
不遜な態度を全面に押し出した私の姿に、画面の内の何人かは目に見えて不快な顔をする。それだけでこいつらが中の下の奴らということが確認できた。せいぜいほざいてもらおう。
『高々敵の首領が大きな態度ではないか。あまり我らをなめるなよ』
そう告げてきたのはこの中でも身なりのいい男だ。アジア圏のとある国のなんたら企業の重鎮だったかな?
「いや失礼した。豚ごときに払う敬意は持ち合わせていないものでね。謝るよ、ごめんなブーちゃん」
『貴様っ!?』
『待て』
容易く激昂した豚を諌めたのは白人の男。ふふ、懐かしい顔だ。なんだい、こんなところに出てくるほどの男になっていたか。
「久しいね、アイン」
『ええ、お久しゅうございます。モノクローム』
ヒーローの時に出会い、そして敵になったこの私に対しても変わらない態度をとってくれる。
『あの時のご恩、ここで返せればと思い参上いたしました』
「なに、仕事のついでだっただけさ。そこまで言われるほどのことじゃない。死者には安息が必要であったというだけのこと」
『そのお陰で、私はこうして地位を得ることができました。全てはあなたが絶ち切ってくれたからです』
「嬉しいねぇ。過去がこうして良い結果を産み出すのはとても嬉しいじゃないか」
思わず二人の空間になっていたところに、次々と声が掛かってくる。
『ヘイ! 俺もいるぜ旦那!!』
「ボールスか! かみさんはどうだ、元気してるか?」
『あー、あたいもいるんだが・・・』
「おおマリー、綺麗になって。町娘がえらい変身だ」
『ここにもおりますぞ』
「弁天丸! 弁天丸じゃないか!!」
いやー、懐かしい顔ぶれだ。みんな元気にやっているようで私はとても嬉しい。嬉しい限りだよ。
「じゃ、始めようか」
悪の組織の秘密の会議だ。盛大にやらかそうじゃないか!!
◆
「さて、こうして諸君をこの場に呼んだのは他でもない。我々才改学園は君たちに売り出したいものがあるのだよ。氷室君、データを」
「皆様、こちらをご覧ください」
席に腰かける私の背後に大型ディスプレイで映し出されたのはアフォの戦闘の模様だ。もちろんこれは改造人間として、データ取りの一環にとこさえていたものだ。
これに見入る面々に、今回に主旨を説明していく。
「ご覧の通り、とある人物から造り出した所謂クローン体でね。良くできてるだろう。なんの個性も持たずこの性能だ」
そして、これがもたらすのは革命と言えるものなのだ。
「諸君には、この技術を交渉材料に---」
---ちょっと世界征服の足掛かりを作っちゃくれないかい。
今の私の表情は、それはそれは邪悪に染まっていることだろう。だがそれを咎めるような人間はこの空間にはいない。
我ら輩、絶望の徒なり。
さあさ、いやさと、励もうじゃなか。
「さあ、お楽しみは、これからだ!!!」
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