連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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どうもアゲインと申します

前回は失礼いたしました
今回はきちんと続きとなります

それでは、四十七話でございます


どうにかしなきゃね! 三時間目!

 わたしの言ったことがどれほど大変なことか、簡単に説明するならば今の敵の事情が変化する、ということなのだ。

 それも、かなり深刻な問題であるのだ。

 こんな風に言い合いをしている場合ではなく、迫る脅威について早急に対策をなさねばならないのだ。

 

 

「対峙した人たちには分かると思うけど、

 

 ---強いよ、彼ら。

 

 個性があるからとかじゃなく、人として」

 

 おそらくそれこそが、父が見いだした絶望としての強さなのだ。

 弱さ故の強さなのだ。

 初めからそうだったわたしたちとは、力に対する覚悟が違うのだ。

 

「そして展開も早い。どこからか襲撃の様子が撮影させられていてネットに流れている。

 これはアピール。

 世間に対する、ひび割れた人の中に染み込んでいく毒液」

 

 これにはやられた。これを見た者の中には父の組織に接触する影の有力者、実力者、日陰者たちがいるだろう。

 そしてもっと大きな組織となっていくことが考えなくたって分かる。警察関係も慌ただしくなるだろう。

 

「父は彼らの才能を目覚めさせることができる。そんな人たちが、何十、何百と徒党を組んで世界を壊すよ。

 彼らは絶望している。

 その絶望は、どんどん感染していく。

 やがて世界はその絶望で包まれる。このまま。なにもしなければ、必ずそんな未来がやって来る。

 

 父は、不可能を可能にする天才だから」

 

 なかなかに困難なことをさせるものだ。彼らに雑兵は一人としていない。全員が全てを投げ出してでも世界に爪痕を残さんとする死兵であり精鋭なのだ。

 それをわたし一人で相手することなんてできるわけがない。

 だから。

 

「こうなったのは、わたしがヒーローを目指したから。父はそのために敵としての活動を再開してしまった。わたしのせいで、いろんな人がその運命をねじ曲げられてしまっている。

 それでもわたしはやりとげたい。わたし自身の意思で」

 

 わがままなのは百も承知だ。こんなことになったのは、わたしのわがままに他ならない。

 

「でも、わたし一人じゃ父に、その組織に、絶望にはけして勝てない。そう改めて認識させられた。

 

 

 だからお願い、力を貸してほしい。

 

 

 今度はもっと大きな被害が出る。それを黙って見過ごすわけにはいかない。どうかお願い」

 

 わたしは頭を下げた。深く深く、体を沈ませるように。

 誠意を持って、頼まねばならない。

 

 わたしのその態度にざわつくクラスのみんなに、続けざまに語りかける。

 

「このままの実力ではどうしたって抵抗なんてできない。撃退だってできない。打倒などできようはずもない。

 

 『協力』して『強くなる』

 

 両方同時にしなければ、なにもできずに滅びを待つだけ」

 

 問わねばならない。

 『覚悟』を、なによりも『覚悟』を!!

 

「『壁を見る』か!!

 『星を見る』か!!

 二つに一つしか選べないのなら・・・・・・

 

 わたしはっ! 星の光を見ていたい!!

 希望の光に! 手を伸ばす存在で在りたい!!」 

 

 体を前に戻し、真っ直ぐにみんなを見渡す。相澤先生は黙って事態を見守ってくれている。すべてはお前次第だと、そうやって無言でもわかる視線を向けている。

 

 みんなが黙り込む中、初めに声を発したのは百だった。

 

「・・・希さん」

「百」

 

 それなりに親しくしてきたと思っている彼女だ。その瞳に浮かぶ感情を読み間違えるようなことはないと思う。

  

「私たちはヒーローとなるべくここにいます。今回の襲撃で実際の脅威を体験しましたわ。力をつけねばならないということは身に染みて感じております。あなたのことには驚きましたが、それがなんだと言うのです?」

 

 使命感を伴った『覚悟』のある輝き。それが瞳から感じられる。

 

「騙していたわけじゃないけど、それでも言わなかったことがこういしてあなたたちに大変な事態を引き起こしている」

「こんな事態にならなければ信じるもなにもなかったでしょう。今のことを前の私たちが聞いても、受け入れることもできなかったでしょう。

 そしてなによりも、希さん。あなたはこうして話してくださいました。頼ってくれた、頭を下げてまで。

 

 

 それに応えなくて、なにがヒーローと言えましょう!!」

 

 その宣言があたえた影響は凄まじいものだった。

 瞬間、沸き立つ教室。

 暗かった彼らの表情は一気に気力に満ち溢れ、それまでの雰囲気を払拭した。

 

「やってやろうぜ!!」「負けてたまるもんか!!」「怖ぇけど、怖ぇけどよ!!」「ここまでいわれちゃね?」「ぜってーぶっ殺す!!」「次こそは!!」

 

 口々にみんなの声があがる。

 

「希さん。私たちは負けませんわ」

「・・・・・・ありがとう」

 

 感謝しかない。ただ、感謝を。

 さらに騒がしくなる教室。その中を相澤先生が前に出てきた。

 

「威勢がいいのは結構だが、何もこれだけがお前たちのやるべきことではないことを忘れるな」

「「「?」」」

 

 

 

 

「---雄英体育祭。一大イベントだ、振るって励めよ」




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