連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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どうもアゲインと申します

オールマイトの協力者

そんな四十一話でございます

申し訳ありません
動画の件について書いておりませんでした
警察関係者がそのことに言及しないわけはないと今さら気づきました

書き足しておきましたが話の流れはそこまで変わりません


クウガの時みたいな関係性

 一方その頃、自身らも治療を終えたオールマイトと相澤はとある場所にて人に会っていた。

 

 

 

「どうもすみません。忙しいところを」

「お気になさらないでください。今回の事件は警察も無関係とは言えない事態ですから」

 

 

 塚内(つかうち) 直正(なおまさ)

 オールマイトの秘密を知る数少ない人物だ。今回判明した敵連合関係の事件を担当していることもあり、こうして彼の元を訪ねているのだった。

 

「そちらからの情報である程度敵の素性を知ることができています。こちらがその資料です」

「ありがとうございます」

 

 差し出された資料を見ながら質問を繰り返し、相互の認識を擦り合わしていく。

 敵のボス、死柄木 弔。

 改人、脳無。

 その裏で糸を引く、宿敵『オール・フォー・ワン』

 そして、かつての友。

 

「モノクローム・・・・・・」

「そうです。あの人が、また私たちの前に現れました」

 

 こちらを。

 そういって取り出したのは今回の襲撃とはまた違った内容のものだった。

 

「大量失踪事件・・・ですか?」

「大規模、と言い換えてもそう違いはありません。全国から数百人という失踪者が出ていました。捜査を進める内に、彼の関与が浮き彫りになってきました」

 

 資料から読み取れる範囲だけでもその言葉が誇張でないことがわかる。そこにはある共通点があった。

 

「失踪者たちは、その殆どが無個性の者たち・・・?」

 

 それは襲撃に参加していた敵連合とは別の組織と同じ特徴。

 三人という極少数でありながらその脅威は生徒たちを苦しめたと聞いている。

 

 「極めつけにはこの動画です。どのような手段を用いたのかわかりませんが、極めて鮮明に、襲撃の様子が撮られてネットワークに流されていました」

 

 手元のタブレットを操作して、その動画を見せてくる。

 それは襲撃の初めから最後のオールマイトの到着、決着までを映していた。

 しかもそれぞれに分断された生徒たちの様子さえある。

 

「いったいいつの間に」

 

 相澤はもちろん、オールマイトでさえそのことには気づかなかった。周りの生徒たちもまったくだ。

 

「裏でこの映像が出回っています。どうやらハッキングで多くのブログなどに強制的に流されていたり、動画投稿サイトなどにもあげられていました。大本はすべて消しましたが、拡散は止められないでしょう」 

 

 この映像からわかるこちらの戦力。個性やその弱点もおおよそ明らかにされてしまっている。

 失態としてマスコミや各所からの対応に身動きができなくされてしまうのは目に見えているだろう。

 そして世間は伝わる恐怖によって安定を崩していくことだろう。正義の象徴が苦戦し、ヒーローの卵が膝を屈する。

 

 そんな存在が、敵として姿を現した。

 

 しかも片方は、それまで無個性として身近にいた者たちだ。それが力をつけ個性を持つものに対抗できるだけの能力を有することができると証明されたのだ。

 

「・・・相変わらず、恐ろしい人だ」

 

 顔の前で手を組み、冷や汗を流しながら語る塚内。その表情は恐怖で彩られている。

 

「・・・あの人は、以前ヒーローとして活動している時から私たち警察と密な関係にありました。難解な事件を次々と解決に導き、彼の名は警察内で伝説とされてきました」

 

 当時のことを思い返しているのだろう。その働きはけして世間に知られることなくあくまで協力者という立場であったという。

 

「あの人が敵となった時、我々は荒れに荒れました。彼はすでに不動の地位を築いていて、信奉者、とでもいうべき奴らがいました。そいつらが起こした不祥事は、忘れられない大事件でしたよ。

 

 そして、今回の事件です」

 

 今まで姿を消していた奴が、組織を率いて表の世界に舞い戻って来たのだ。これほど恐ろしいことが、彼らにあるだろうか。

 

「・・・おそらくは、娘のためでしょう」

「娘!? 彼に娘がいたんですか!!」

 

 オールマイトはクラスに所属しているモノクロームの娘、希望ヶ峰 希のことをその理由だと口に出したが、それに塚内警部は身を乗り出して驚いた。

 

「え、ええ。ヒーロー科に」

「そんな・・・ということだ」

 

 乗り出した体を席に戻し、今度は頭を抱えて踞ってしまう。瞳は小刻みに動きその動揺がありありと伝わってくる。今、彼の頭の中は過去の事件のことが駆け巡っている。

 

「・・・・・・今度はこれまでとは比べ物にならない被害がでるぞ」

「やはり、そうなりますか」

「十中八九そうなります。単独犯の時ですら押さえきれない被害が出ました。それが今回は組織を作って大々的に、より大きな規模で行われます。失踪者全てが彼の傘下になったとすれば、見たことのないほどの犯罪集団となるでしょう」

 

 その未来が訪れるのは、ほぼ確実と言えます。

 

 その情景が脳裏に浮かび、体が震え出した塚内。吹き出す汗が滴り落ち、テーブルの上に散らばっている。

 

 

「---そうはさせません!」

 

 

 弱気な彼を励ますように、正義の象徴オールマイトは立ち上がる。それは力強い、ヒーローとしての姿だった。

 

「奴を止めるため、あの娘は強くなるために我々のところに来ました。その思いは、必ずやあいつに届くでしょう。私たちは、彼女という希望を信じています」

  

 

 『そのためにできることを、我々は全力でやり遂げる』

 

 

「・・・・・・ええ、わかっています。私たちもできる限りの協力はさせてもらいます。必ずあの人の脅威から、この国を守ってやりましょう」

 

 警察とヒーロー。

 立場は違えども、志すものは同じ、平穏な世界。

 改めて、そのことを確認し合った。

 決意は固く、それこそが彼らの原動力となるのだ。




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