連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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どうもアゲインと申します

雑談いろいろ
そんな三十九話でございます

昨日は少しだけですがランキングにこの作品が上がることができました
やっぱりランキング効果ってすごいですね~
本当にありがとうございます

これからもがんばりますので、応援よろしくお願いいたします

また、記念企画のようなものを活動報告の方であげております
もしよろしければ気軽にメッセージ、コメントなどいただければ幸いです


おしゃべりは相応しいところで

「今はまだ言えない」

「あん?」

 

 伊留御への希の返答は、消極的な拒否であった。

 

「確かにわたしはあなたたちが知りたいことをある程度わかっている。でも、それはみんなが居るところで話すべきだ」

 

 それは自分が問題の渦中にあることの、ある意味誠実な対応をしたいという思いからのことである。

 

「先生たちからも、そう言われてる」

 

 ことは希一人で収まるものではない。彼女が雄英にいる限り、父は周りを巻き込みながら大いに悪巧みを行うだろう。そうなれば今回のように、その尖兵と遭遇して傷つく者も出てくる。

 相澤たちも生徒のため、希の事情を周知させておくことは必要であると考えていた。

 

「・・・・・・黙りこむつもりじゃねぇんだな?」

「わたしは覚悟してここに来た。経歴どうこうは今更な話」

 

 それなら、といった風に伊留御は席から立ち上がる。

 

「い、伊留御くん!?」

「俺は行くぜ。こんなところで時間を無駄にできねぇ」

 

 背中を向けてさっさと帰ろうとする伊留御に緑谷は待ったを掛けようと手を伸ばすが、構わず彼は行ってしまう。

 部屋の入り口を出て、しかし伊留御はそこで止まる。

 

「一つだけ言っとくとだな」

 

 短く、それでいてはっきりとした口調で誰にとは言わず語り出す伊留御。

 それは希に向けてのことでもあったが、同時に原作の主人公である緑谷に向けての発言でもあった。

 

 

「俺がまだまだなのは十分わかった。だがよう---

 

 

 ---負けるつもりはさらさらねぇ」

 

 

 そんだけだ。

 

 それだけを語り、彼は今度こそそこから立ち去った。

 なんとも言えない雰囲気になった病室に居心地が悪くなった緑谷たちは希と軽く挨拶をしてその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・いいよ」 

 

 希は自分の病室から見舞客が去るのを確認し、改めてその存在に呼び掛けた。

  

 

「----いやー、すみません。気を使ってもらったみたいで」

 

 

 するり、と。

 動作が速く、それでいて滑らかと表現できる、そんな動きでその人物は侵入してきた。

 

「・・・手が早い」

「いやいや、私のような木っ端な存在。気にとめていただけ行幸ですよ」

 

 ごてごてとした装飾を各所に着けているが、それにしては体の中心、胴の部分の防御が薄い。タンクトップ一枚という、少女としてはいささか意識が低い装いは、彼女が身を置くところを考えればまあ分からないでもない、といったところだろう。

 

「一応、こういう者です」

 

 かしこまったような物言いの少女は、その手にコインのようなものを取り出す。よく見ればそれはオセロの駒に似た作りになっていたが、黒い側には特徴的な、見るものが見れば即座にその意味を理解できる、紅い刻印がされていた。

 

「『サポーター』として、できる限りのことはいたしますよ」

 

 そう自らを紹介するこの少女は、にこりと笑って丁寧なお辞儀をする。それから体勢を直した彼女は後ろ手に扉を閉めて施錠する。内密の話となれば当然の警戒と言えるだろう。

 

「・・・・・・見透かされているってこと」

 

 彼女の正体は推測するまでもなく父、絶の手の者だろう。まさかとは思ったが行動が早すぎる。いったいどこまで見えているのかと、自分に親でありながら心底恐ろしい、希は改めてその脅威を認識した。

 

「見ての通り、装備の開発などが主な任務ですが・・・どうですか、なにかご入り用な物はございますか?」

 

 そう言ってくる彼女に対し、希は最初にするべきことがあると、まずはそれから始めるべきだと思い、体を彼女の方へと向けた。

 

「まずは名前を聞かせて」

「ああ、これは失礼を。では改めて」

 

 

 

 

 

「才改学園所属、発目(はつめ) (めい)と申します。どうぞ明と、呼び捨てで構いません」

 

 その少女は欠片の迷いなく、敵の組織の者だと告げる。

 照準器のようなその瞳は真っ直ぐに希を捉え、自らの能力を存分に活かす機会がきたことをただただ喜んでいた。

 




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