連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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遂に対峙した娘とヒーロー
そして明らかになる父の敵名

そんな感じの第四話でございます


悪の娘と正義の象徴

 試験も無事終了し帰宅しようとしていたら、扉の影から覗く大きなネズミの頭がこちらを注視していた。・・・・・・今のはけしてジョークではない。

 

 ともかくだ、そのネズミはどうやらわたしを誘っているようで頻りに手を振っている。他に人もいないようなのでわたしで確定だろう。

 こんなところに敵がいるわけもないし、警戒する必要はないだろう。わたしはその可愛い存在にホイホイついていってしまった。

 

 

 

 

「やあ、初めましてだね。私がオールマイトだ!!」

  

 そしたらこれだよ。

 別の扉に入り込んでいくネズミを追っていくと、そこにはテレビでお馴染みのナンバーワンヒーローの姿が。

 スーツを着込んでいるが全く威圧感が押さえられていない。見事な筋肉をしているのがわかる。そしてやっぱり画風が違う。

 

「・・・・・・失礼しました」

「いやいや、君に用があって呼んでもらったんだ」

 

 あまりの事態に逃げ出そうとするがそうはさせてくれない。くっ、なんだってこんなことに。父の偽装はこのくらいの期間では解くことはできないはず。わたしが敵の娘だとどうやってわかったのだ。

 

「他の子たちにはしていないんだが、君には特別話を聞きたくてね。時間がよければ試験のことについていくらか聞いてもいいかい?」

 

 なんだ、そのことか。やれやれ脅かせる。こんな段階でバレては・・・・・・はて、どうしてバレてはいけないんだったか? すでにわたしは父と袂を分かれている。父はわたしの敵なのだ。よし、これが終われば早速交渉してみよう。

 

「かまいません。むしろ大歓迎です」

「そ、そうかい? では遠慮なくいかせてもうおうか!」

 

 そこに座ってくれ、と促され席に着く。見てみるとオールマイト、ネズミさんの他にもう一人、こちらを睨むように、これは観察されている目だな。鋭い目をしてくる暗い人。

 その目線に気を配りつつ、わたしは正面を向いて質問に備えた。

 

「さて、まずは自己紹介といこう。すでに言ったが私がオールマイトだ。そしてこちらが、」

「やあ、僕の名前は根津。人でもネズミでもないその正体は--------校長さ!!」

「ど、どうも」

  

 お、おう。なかなかビックなお人じゃないか。いきなりこんな人と面談なんて、幸先いいのか、これ。

 

「そして彼が相澤先生。今年のヒーロー科の担任でもある」

「・・・・・・」

「ど、どうも」

 

 こ、こっちはこっちでえらい人が。なんでこんなに見られているのかわからないけど、とりあえずあっちは出来るだけ見ないようにしよう。

 

「一応君の名を聞いておこうか」

「あ、はい。希望ヶ峰 希です。よろしくお願いします」

 

 ぺこりー、と。

 父に習ったやり方で頭を下げる。こうすると印象がいいらしい。

 

「ハッハッハ、お願いするのはこちらの方だ。あまり固くならず答えてくれ?」

「は、はい」

 

 さあ、どんとこいや。

 

「さて、まずは試験のことから聞いていこう。君は特に素晴らしい動きをしているが、どこで習ったのだね」

「父に教えてもらいました」

「個性を使った武装については?」

「父と考えました」

「お父様はエンジニアだそうだが、こういったものに関わった仕事ではないようだが?」

「趣味が高じたそうで、わたしと相性が良いものを外注で頼んでくれたんです」

「ふむ、なるほど」

 

 とりあえず納得がいったのか一旦そこで質問は止まった。ちなみに嘘は一つもない。すべて真実である。 

 

「よし、では次にもう少し込み入った話をしよう。君はなぜヒーローになりたいんだ」

 

 おっとその質問か。これはどうしよう、もう少し後で話すことにしようか。

 

「わたしは父の背中を見て育ちました。父は自分の信念を持って行動する人でした。わたしもまた信念を持った活動がしたい。だからわたしはヒーローになりたいんです」

 

 これも本当だ。父は悪事を働いてもそこには信念があった。そのために迷うことなく行動してきた父の姿は格好良かった。

 わたしも父を隠居させるという信念を貫く所存である。

 

「ふむ、その信念というのを聞いても?」

「父を隠居させるためです」

「・・・ん?」

 

 まあ、ここまで延ばしてもあまり意味はなかったか。インパクトは大事だしここらでぶっちゃけよう。

 わたしは懐から手帳を取りだし彼らに差し出した。

 

「わたしの父は敵なんです」

「なっ・・・!?」

「なんだって!?」

「・・・・・・!?」

 

 おうおう、よい反応だ。みな一斉に飛び上がった。これはドッキリは成功したということだろう。

 

「安心してください。わたしはすでに父とは袂を分かれました。今後は敵同士だとも告げています」

「・・・・・・君のお父さんの名は?」

 

 そういえば父は敵名でしか呼ばれたことがないといっていたな。これを期に知って貰おう。

 

「父の名は希望ヶ峰 絶。皆さんには『モノクローム』と言ったほうが分かりやすいですか?」

 

 その名を告げた瞬間、この部屋の空気が凍ったのを感じた。あれ、もしかして不味いことを言ったかも。




読了ありがとうございました
次の第五話で連続投稿は一旦お休み
また書けたならば投稿しますのでそれまで待ってくれるととても嬉しいです
それでわ

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