連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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どうもアゲインと申します

襲撃が終わり、次の日のこと

そんな三十八話でございます

…………いったいいつの間にランキングに?
ちびっとだけ上がっていました
ありがとうございます!

また、活動報告のほうにまた企画をあげていますので、よろしければメッセージを送っていただければと思います


話をしよう まずはそれからだ
始まりは待ってはくれない


 敵連合の襲撃から一夜明け、ヒーロー科の面々はそれぞれの行動を取っていた。

 傷を癒す者、鍛える者、無事を喜ぶ者。

 

 自身も怪我を負い、今まで治療を受けていた緑谷はリカバリーガールの個性のお陰で支障がないほどに回復していた。

 そして自由に行動できるようになった彼は、とある人物の個室を目指して歩みを進めていた。

 

 

「あ、デクくん! もう大丈夫なんだ!」

 

 

 そんな彼の背中を発見し声をかけてきたのは緑谷がクラスのなかでも仲のいい、麗日 お茶子だった。

 

「麗日さん。うん、問題ないよ」

「どこか行くところだった?」

「えぇと、希望ヶ峰さんのところに行こうと思って。一番酷い怪我をしていたから、心配で」

 

 緑谷が脳無との戦いに参加したとき、すでにボロボロになっていながらも、自分が立てた作戦に素直に従ってくれた。

 彼女がいなければもっと被害は大きくなっていたかもしれないと緑谷は考えている。だからこそ、体を張って戦い続けた彼女に改めてお礼が言いたいと思って彼は希がいる病室を目指していた。

 

「じゃあ私も行くよ! 怪我で身動きしづらいだろうし、人手がいるかもしれないしね」

「ありがとう麗日さん!」

 

 こうして二人は希の病室に来たのだが、教えられた個室には本人の姿はなく、もぬけの殻であった。

 疑問符を浮かべる二人だが、いないのなら探そうとあちこちを見て回り、ようやく見つけた場所は以外なところで、一種異様な光景をそこに作り出していた。

 

 

 

 

 

「な、なんてことだ・・・・・・」

 

 あるものは、そこを戦場というだろう。

 高まる熱量は陰りを見せることなく高まり続け、熱気となって辺りを包む。

 その光景を生み出しているのは一人の少女。

 それを囲むように人垣ができ、中央の彼女を驚愕の眼差しで見ては、煽るように、はたまた応援するように声を張り上げる。

 それを意識してか少女の動きはさらに加速していく。

 眼前に待ち受ける標的を、機械的な動作で繰り返し繰り返し捌いては亡骸の山に追加していく。

 もはや憐れと思うほど、それはあまりにも無慈悲な光景だった。

 

 

 

「・・・・・・おかわり、十人前」

「勘弁してくれぇえええ!!」

 

 

 

 クックヒーロー・ランチラッシュ。

 彼は生涯で初めて、料理の手を止め膝を屈した。

 異次元の胃袋を持つ少女、希望ヶ峰 希。

 その咀嚼の速度についていけず、彼は真っ白になって意識を手放した。

 

「次を、はやく」

 

 

 

 

 食料が供給されなくなり、ならば用はないとばかりに残りを平らげた彼女は周りの観衆を気にすることなくその場から立ち去った。

 彼女の戦果に恐れをなし、彼らはモーゼのごとく道を譲る。

 

「・・・・・・あ、もじゃ髪くん」

「あん? なんでお前らいんだよ?」

「い、伊留御君もいたんだ」

 

 人の波が割れた先、緑谷たちは逃げるのが遅れて真っ先に見つかった。希にだけ注目していたため伊留御についてはまったく視界に入っておらず、近くにきて初めてその存在を認識した。

 

「なんだとこらぁあっ!!」

「ひぃい! ご、ごめん!!」

「ふわふわちゃんもきたの?」

「ふ、ふわふわ? あ、そっか名前」

 

 オラつく伊留御にビビる緑谷。

 妙な呼び方をされ、きちんと自己紹介した訳では無いことを悟る麗日。

 一同はとりあえず、周りの邪魔にならぬよう希がいた病室まで戻ることにしてその場をあとにすることにした。

 

 

 

 

 

「そ、それで・・・大丈夫なの?」

「ん、問題ない」

 

 病室に集合した四人。緑谷はまず最初の目的である希の安否を確認したが、怪我を負った本人がたいして不調でないことに少々驚いていた。

 

「でもあの怪我・・・」

「わたしはサイボーグ。通常とは治し方が違う」

 

 そういうと彼女は足の包帯を解き、傷のあった箇所を晒す。

 そこには痕が残るのみで深手を負っていたとは思えないほどだ。

 

「自己修復機能をフルに使えばあのくらいなら一日掛からず治せる。そのためにエネルギーが必要だった」

「こいつ、足引きずりながら食堂に向かってたんだよ。怪我人だってのに無茶しやがる」

「時間を無駄にしたくないだけ。電飾こそなんできたの?」

「伊留御だ。いい加減覚えろ。肩貸してやっただろうが」

「頼んでないのにそっちが勝手にやっただけ」

「んだとこらぁあ! 礼の一つも言えねぇのか!!」

「評価が覆ったわけじゃない。調子に乗るな」

「・・・・・・だったら今度こそぶっ飛ばしてやらぁああ!!」

「お、落ち着いて二人とも!!」

 

 緑谷たちを置いて勝手にヒートアップしていく二人。伊留御が身を乗り出したのを二人がかりでなんとか止めたが、全然といっていいほど収まる気配がない。

 

「そ、そもそも伊留御くんは何しにきたん!?」

 

 麗日がかろうじてそう聞くと、伊留御もそのことに思い至ったのか、渋々といった態度で席に座り直す。

 

「・・・・・・情報収集だ。聞きに来たんだよ」

「あの敵たちのこと?」

 

 緑谷は襲撃犯の敵のこと、脳無や主犯のことかと思ったが、伊留御が聞きたいことはそうではなかった。

 

「他の奴から聞いた。明らかにそいつらは他の敵とは違った組織に属しているらしい。軽く行動を調べた限り、どうも別の目的があって襲撃に参加した連中らしい」

「それって・・・・・・」

 

 伊留御の視線の先。希に延びる疑惑の目線。つられるようにして緑谷たちも彼女を見る。

 

「何を知ってる」

 

 厳しい面持ちで希を睨む。伊留御は半ば確信していた。この原作とは違う流れの原因に、この女が関わっていることを。

 鋭い眼差しを正面から受け止め、希は口を開いた。 

 




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