連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~ 作:アゲイン
父は子の成長を見た
そんな三十七話でございます
また、SSのほうも投稿していますので、こちらを読んでからご覧くださった方がよいかと
才改学園のある部屋。
大きなテーブルが中心に設置され、それを取り囲むように椅子が存在している。
その中で一つ、やたら豪華ででかい椅子に、とてもではないが似合わない男が深々と、有り体に言えばふざけたような格好で座るともいえないような体勢でそこにいた。
「・・・・・・ぉおおおぉおおお・・・!・・・・・・うわぁぁああああ・・・!・・・」
泣いていた。
それはもう盛大に泣いていた。
ここまで泣くかと言われるんじゃないかってくらいに泣いていた。
「うぐぅう! あ、ああ! おぉおぉおぉぉおおお!!」
流れ出る涙をそのままに、身体を弛緩させただただ泣くことに身を任せて感情を露にしていた。
「・・・・・・そろそろいいですかね?」
そんな男に声を掛けるのは男の右腕的な存在、ではあるものの上司のその姿に彼は軽く引いていた。叶うなら相手をしたくはなかったが、周りの視線がどうにかしろと訴えかけて止まないので自分がするしかなかった。
「う、うぅ・・・・・・。すまない、本当にすまないね。だって・・・だって・・・・・・」
顔を覆う手によって、表情が隠れる。だいたいそうなるだろうなと経験していた男、左右堕は気持ち身を退いていた。
「---だって、喜ばしいかぎりじゃないかっ!!!」
やあ! 画面の前の皆様! 私だ、希望ヶ峰 絶だ!!
「素晴らしい! なんと素晴らしい!! そうだそうでなくては!! ああ、なんということだろう!!!」
私は嬉しい。こんなにも嬉しいと思ったのは人生で何度目だろうか。順位でいえば五本の指に入るくらいに嬉しい!!
「この私の! この私の予想をだ! 越えてきたのだあの娘は!!」
さんざん天才だなんだ言ってきた私だが、ああ、なんということだろうか!
ここまでか、ここまでの成長を見せるか、我が娘よ!!
「あの脳無はいい練習台にしか見ていなかったが、なんだよなんだよそうくるかい! そうしちまうのかい!!」
私の興奮についてこれない面々を置いてけぼりにしていたが、私もうかうかしていられないな。これは早急に会議をまとめて次の動きに入らなければ。
◆
「すまない諸君。取り乱したね」
改めて、ドウモ、ドクシャ=サン。キボウガミネ=ゼツです。
挨拶は大事、古事記にも書いてある。
「さて、雄英に送り込んだ彼らのお陰で素晴らしいデモンストレーションを行うことができた。我々もその働きを無為にせぬよう動かねばならない」
視線を向ければそれで理解したのだろう、秘書のような格好をした女性が整えた黒髪を撫でながらファイルを開いて立ち上がる。
「お任せを。この『超超人級の秘書』
テーブルの真ん中が開きモニターが全面に展開される。そこには雄英で起こった一部始終が映されていた。
それはどれも有名なブログを占領するように改造されたもの。私が更新していたブログは私のものではなく、彼もしくは彼女たちのものだったのだ。
当然、それは多くの民衆の目に晒されていることだろう。
「コメントなどの反応を見ればわかると思いますが、概ね本物だという認識をされています」
某動画コミュニティみたく動画にはコメントが流れるようになっている。それを見れば確かに、そのような意見に紛れる程度にしか否定的な意見はない。これは成功と見ていいだろう。
「よし、ではさらに計画を進めよう」
世間は認識したはずだ、これを起こした無個性という新たな脅威を。そしてまた、こうも感じたはずだ。
個性とは絶対ではない、ならばあの集団はなんなんだ、と。
「撒き散らそうじゃないか、絶望の種を。同じく社会に不安を持ち、不満を持つ者たちに、居場所を与えてあげよう」
それを合図に集まった面々、才改学園の教師陣が各々動き出す。全てはそう。
「正義が蔓延る世界にて、悪に勝てども意味はなく。救いなくして希望なし。絶たれた望みよまさしく絶望。永劫連鎖の限りの果てに、残るはいかなる望みだろうかな」
絶望は伝染する。より広く、深く、人々を飲み込むだろう。さあ、私も動くとしよう。
読了ありがとうございました
感想など大歓迎ですので遠慮なくお願いします
いやー、疲れました
これにてUSJ 編は終わりますがこれからが本番だと思うと気がおかしくなりそうですね
オリジナルも混ざるわ、戦闘描写満載の体育祭がくるわ
これからも頑張りますので、応援よろしくお願いいたします