連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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どうもアゲインと申します

父、久々の登場 ニューフェイスあらわる
そんな二十一話でございます


影差す処 蠢くものあり

 けして明るいとは言えないそこは廃墟のような建物が建ち並ぶ寂れた場所にあり、背景に潜むような印象を受ける。

 一見、人などいないようなこの場所に似合わないような集いの場所、酒場のような造りのここで私は少々酒を嗜んでいた。

 

「・・・ふぅ」

「どうかされたのですか?」

「いや、ね」

 

 忘れられてないかな~、なんてことは言えないので曖昧に答える。

 やあ、久しぶりだね。希望ヶ峰 絶だよ。

 こうして画面の前の皆さんに挨拶するのもいつぶりだろうか、こことは時間の流れが違うかもしれないので二週間とか経っていそうだね。その間私は教育というものの難しさというものを嫌というほど体験していたよ。

 

「マスター、おかわりを頂こう」

「何になさいますか?」

「カミュ、ロックで」

 

 いくら優秀な教師陣がいるとはいえ、彼らも元から教師であったわけではない。天才と言われる彼らはその経験を他者に授けるのにそもそも向いていないところがあるのだ。そういった点をカバーしていたのだがその多いこと多いこと。

 

 あるものは加減を間違えて骨を折り、あるものは実験に参加させ、あるものは動物の相手をさせては危うく食われる寸前といった事態になったりと、それ以外にもまあいろいろあったものだ。

 

 幸いにもそこまで被害は広がらなかったので問題を収めるのに時間が掛からなかったのだが、その頻度が頻度である。

 一日に何回起こせば気が済むのやら。

 

「さて、そろそろ本題に入るとしようか」

「でしたらあの方をお止めになっていただけませんか?」

 

 私をここに連れてきてくれた黒霧というバーテンダー風な彼の指す方向は床であり、そこには二人の人間が重なりあうようにして存在していた。

 さながらセッ、いややめておこう。余計なことを言ってまた疲れる事態になっては面倒だ。

 

 二人の内、下になっているほうは手足を床に拘束されて行動を制限されている。いつだか会ったことのあるあのクレイジーボーイだ。

 用事があってわざわざここに来させてもらったのだが、顔を見せたとたんまたもや襲いかかってきたのだ。当然そんなことをさせるわけなく制圧したのだが、ちょうど同伴させていた子に対応をさせていたのだ。

 

「御鏡君。そろそろいいかね?」

「はいっ! 学園長!」

 

 私の呼び掛けに元気よく反応してくれたのは、短い灰色の髪を跳ねさせた、顔に大きな傷を持つ少女が彼の背から勢いよく飛び退いた。

 

 御鏡(みかがみ) ミラ

 

 私が集めた生徒の一人であり、おおよその教育を終えた一期生と言える人材だ。

 

「悪いね死柄木君」

「・・・・・・ふざけたことしやがってよ」

 

 手元の機械を操作し彼の拘束を解く。立ち上がろうとするその体に力は感じられず緩慢な動きで席に着くと、深いため息のようなものを吐きだした。

 

「しょうがないだろう? 君は話をする態度じゃなかった。当然の対応さ」

「だからってよう・・・・・・」

 

 彼の視線が私の後ろに控えている御鏡君に向く。どうやら先ほどまで彼女にさせていたことがお気に召さないらしい。

 

「ただのマッサージだろう? なあ?」

「はい。しっかりとさせていただきました」

 

 彼女の才能は『整体師』。

 その指先から放たれる指圧は対象のこりを駆逐し、骨格を正し人体を矯正する。的確に体の歪みを見つける眼力を持ち、その才能が敵に発揮されればそこを突かれ悶絶するだろう。

 

「揉み返しに注意してくださいね」

「・・・気に入らねぇ奴だ」

 

 おやおや、気分を損ねてしまったようだ。よかれと思ってしたことがあまり受けなかったのは悲しいことだね。

 まあ、それは置いておいて本題といこう。

 

「それじゃ早速交渉といこうか」

「あのふざけたことか」

 

 私はその言葉に笑みを深める。なんたってこれほど丁度いい舞台はないだろうからね。

 

 

 

「そうだ。君たちの雄英襲撃に私たちも混ぜてほしいのさ」

 




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