連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~ 作:アゲイン
アゲインと申します
娘に話しかけた同級生の正体は?
そんな十一話でございます
わたしは声を掛けてきた男の子、金髪の彼に連れられて、人影がない校舎の裏に来ていた。
このシチュエーションは色々考えさせられるけど、告白ということはあり得ないだろうから、ここはあれ、なんだろう。
「ここなら誰にも邪魔されねぇ。さあ、答えてもらうぜ転生者!」
そんなことを言う彼は確か、1-Aクラスメイトの・・・名前がわからないけどクラスメイトだ。
朝こちらを見てきていた男子の中で、他とは質の違う視線を向けていたはず。あれは・・・・・・疑いの視線だったかな。
「だんまりかよ。でも意味ないぜ、俺にはわかってんだからな!」
一クラス二十人が定員だったけど、わたしたちのクラスは二十二人。二人多いのだ。
わたしが特待生として招かれたけど、彼もそうなんだろうか。それにしてはなんというか・・・・・・チンピラ?っぽい。わたしを睨むようなその目がなんだか濁って見えるのだ。これはいったいなんなんだろう?
「・・・おい、いつまでも無視してんじゃ---」
彼の手の中に光源が発生する。どうやらあれが彼の個性のようだ。それはそのまま収束し、こちらへ放たれる。
む、不穏な気配。前方周域を警戒、可視領域を拡大する。熱源の発生を確認、こちらへの攻撃と認識。軌道予測により命中はしない模様。危険度は高いが回避の必要性なし。
「---ねぇ!!」
言葉が届くより速く、光の帯はわたしの近くを通りすぎた。熱の放射によって煽られた風がわたしの髪を巻き上げる。むー、せっかく綺麗にできていたのに、また櫛を通さないと。
「はっ! どうだよ、ビビって声もでねぇか! 俺の個性は光を操る。ここも光学迷彩みたいに見られることはねぇ。さあ、なにが目的なんだ! さっさとしゃべらねぇなら次は当たるかもな!」
よく分からないが彼はとても興奮している。目的もなにも、わたしはヒーローになりにここにいるのだ。それ以外の目的はないし、転生者? というのもよくわからない。
「みんなとおんなじ。わたしはヒーローになりにきた」
「嘘だな。そんなんに騙されるかよ」
なんということだ。正直に話したのに嘘だと言われてしまった。だったらわたしはここに何しにきたことになるんだろう?
「てめぇの思惑はわかってんだ。どうせクラスの男子で逆ハー作る気なんだろ? それじゃ俺が困るんだよ」
「・・・・・・りありー?」
これは困った。彼はどうやら正気ではないらしい。一刻も早く教師の誰かに押し付けたくなってきちゃった。
「わたしにそんなつもりはないよ」
「はっ、どうだかな。わざわざそんな姿にしてもらって、さらに強力な個性を持ってんのが証拠だ。原作にお前みたいなのはいねぇんだよ。残念だったな!」
どうせ前世じゃブスだったんだろ!
そう挑発してくる彼の言葉を、わたしは冷静に聞き流した。どうにも彼はありもしない妄想でわたしを、わたしの両親を侮辱している。
わたしに前世などない。この身体、精神は、父の愛情と母の想いでできている。そのわたしをそこまで言うのなら、それがどれだけ恥知らずなことか理解してもらわなければいけない。
「わかった」
「あ? なんだ、観念したのかよ。まあ別に? 身の程を弁えて俺のもんになるなら許してやるよ。お前は顔だけは良いからな」
・・・・・・本当に、本当に下らない。
こんな奴に時間を使わなくてはならないことが許せないくらいだ。もういい、こいつは---敵だ。
「二つ、言っておく」
「おいおい。俺に物言える立場じゃないっていってんだろ? お前は黙って「一つ」
もうその口を開くな。聞きたくないんだ、その声。
「わたしは手加減が上手いほう。安心してほしい」
「・・・」
わたしが何を言いたいか、そのトチ狂った頭でも理解できたようだ。目に見えて戦闘体制に移っている。
「二つ」
でも、もう遅い。いくら速く攻撃できようが、わたしを止められるわけがない。
「あなたには---折れてもらう」
こいつの性根は腐っている。そんな奴を、のさばらせておくものか。
「・・・ふざけてんじゃねぇぞおおお!!!」
彼は瞬時に真っ赤に染まる顔で個性を発動させる。ではこちらもお見せしよう、悪の娘の戦いというものを。
わたしはある装備郡を展開する。それは父が造り出した、『心折』を目的するものだ。存分に楽しんでもらおう。
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