連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~ 作:アゲイン
短編であげていた作品を読んでくださる方が多く、興がのったので書いてしまいました。
初めての二次創作故至らない点は多いとは思いますが、感想、批判などもらえれば幸いです。
ちなみにプロローグは短編と同じなのでそこまで見ていただかなくても大丈夫です。
とりあえず書けた分をこれ合わせて五話ほど投稿いたします
プロローグ
さて、皆様ごきげんよう。
ここでこうして挨拶し、画面の向こうの君たちに語り掛けているのはご存じの通り、私が転生者だからだ。
私は元々ただの学生だったのだが、ひょんなことからこの創作の世界である『僕アカ』の世に生まれた訳である。すでに前世より長生きをして子供までいるので人生の絶頂を感じているのだが、ここまでくるのにそれはもう大変だったものだ。
まあ私の経験上、こういった善悪きっちりした世界観は肌に合わない。特に正義側の奴等がなんというか、気にくわないためある程度内情を調べさせてもらってからは敵として活動してきた。その時のあいつらの顔ったらもう驚き100%といったかんじでなんとも飯ウマだったよ。
最近は活動を控えて日陰でいろいろしてきたが、そうもいっていられなくなる事態になってしまった。
「やはり決めたのかい?」
私の言葉に目の前の少女は薄く頷く。あまり感情を露にしないが、私の愛しい愛娘だ。その目には固い覚悟が見てとれる。
「うん」
私と同じ灰色とピンク、黒のメッシュが入った特徴的な髪色。こちらは短髪だが彼女は美しいロングストレート、これに櫛を通すのが楽しみだったんだが。いやはや、因果なものだ。
「わかった、他ならぬお前の頼みだ。私が断るはずもない」
「ありがとう、お父さん」
ああ、こんなにも美しい娘がこれから私の手を離れてしまうとは、これほどの悲しみがあろうことか。わかってはいたことだ、いずれ飛び立ってしまうことなど。だがしかし、旅立つ娘に泣き顔を見せるようでは親の名が廃る。そのような醜態、私の矜持にかけて見せることはない。
「ではこれを持っていきなさい。彼らへの手土産になるだろう」
懐から手帳を取り出すとそれを手渡した。これには私がマークしてきた敵の情報が詰まっている。これを餌にすればこの娘のことを邪険にはすまい。
「それじゃ、いくね」
「ああ、達者でな」
迷うことなく部屋の出口に向かっていく愛娘、去り際すら美しい。娘は外へ向いたまま、私に語りかけてくる。
「わたし、ヒーローになるよ。そしてあなたを捕まえてみせる」
「娘よ、ならば私も敵としてあろう。いつかお前に対峙しよう」
その言葉を最後に私たちは別れた。次会うときはお互いに明確な相手として、戦う相手として、顔を合わせることだろう。
私の名前は希望ヶ峰
娘の名は希望ヶ峰
この物語は彼女がヒーローになる物語。私の悪の物語だ。
読了ありがとうございました。
次からは娘の活躍をご覧ください。